2010年4月7日(水)
今週木曜日に米ロ間で、核軍縮条約STARTの条約改定に調印, 来週にはワシントンで核兵器サミットを主催、来月核拡散防止条約国会議を予定しているオバマ政権は、昨日「核戦略の現況報告書」(Nuclear Posture Review)を公開するとともに、米国の新核戦略構想について発表を行った。
NPRの内容が全面公開されたのはこれが始めてであり、米国は今後新たな核兵器開発を行わないし、核実験も行わないと公約したことは注目されるが、もっとも注目されるのは、非核保有国には核攻撃をしないとの保証をするという部分である。
オバマ大統領は、「ここ数十年にわたり支配してきた冷戦構造に別れを告げ、核兵器の拡散の防止を誓うために意義深い第一歩を踏み出した」と演説の中で語り、「核の脅威は、いまや二国間の核戦争ではなく、核テロ問題、核拡散問題に焦点が移った。この二つが米国にとって、もっとも大きな問題(at the top of America’s nuclear agenda)となった」ことを強調したとABC放送が伝えている。
米国内で今後もっとも論議を呼ぶと予想されるのは、上記にも触れたが、「核拡散防止条約(NPT)締約国に対しては核攻撃をしないと誓約し、これらの国が、化学・生物兵器で米国を攻撃した場合でもそれが適用される」という政策である。
オバマ大統領はこの点に関して、「この誓約を行うことで、生物・化学兵器が使用されるという事態(contingencies)への抑止効果が上がり、核拡散防止を遵守しようとする動機付けになる」と狙いを説明した。
オバマ大統領は、「米国は、非核攻撃抑止のために核武装するという政策から引き続き手を引いていく。いわゆる「核不使用保証」政策'negative security assurance'と呼ぶ「核拡散防止条約に加盟し、遵守する国に対しては核兵器を使用しない」という政策をとる。
しかし生物・化学兵器を使用した国々に対しては、通常兵器で徹底的な撃滅方針で懲罰を加えるし、そうした兵器を使用したテロ行為を行った個人や政治家は草の根を分けても責任を追及していく」と補足説明を加えた。
この政策は、イランと北朝鮮に、核拡散防止条約への参加の道を促すことを主目的としているが、マケイン上院議員を始めとする共和党保守グループからは、「米国はあらゆる核戦略オプションを堅持する」ことを明言すべしとの反対論がすでに出ている。
Financial Timesは、今回の発表の中の表現の変更を指摘している。それは「核攻撃抑止力は、米国の核保有の基本的な目的」( the “fundamental role of US nuclear weapons”)へと、核軍縮推進派が要求していた「核攻撃抑止力は、核保有の唯一無二の目的」( the exclusive purpose of the US arsenal)から、用語の変更があったことである。
確かにfundamentalとexclusiveの違いは大きい。fundamentalであれば米国は核兵器を攻撃のために使用が可能となる。exclusiveであれば、自らの意思で核兵器を使用することを完全に放棄することになるからである。
オバマ大統領は、今週ロシアとプラハでSTARTに調印するが、ロシアはミサイル防衛網の欧州配備に留保条件をつける構えであり、最終段階まで予断を許さない。そして調印しても共和党の反撃と戦わねばならない。
今週木曜日に米ロ間で、核軍縮条約STARTの条約改定に調印, 来週にはワシントンで核兵器サミットを主催、来月核拡散防止条約国会議を予定しているオバマ政権は、昨日「核戦略の現況報告書」(Nuclear Posture Review)を公開するとともに、米国の新核戦略構想について発表を行った。
NPRの内容が全面公開されたのはこれが始めてであり、米国は今後新たな核兵器開発を行わないし、核実験も行わないと公約したことは注目されるが、もっとも注目されるのは、非核保有国には核攻撃をしないとの保証をするという部分である。
オバマ大統領は、「ここ数十年にわたり支配してきた冷戦構造に別れを告げ、核兵器の拡散の防止を誓うために意義深い第一歩を踏み出した」と演説の中で語り、「核の脅威は、いまや二国間の核戦争ではなく、核テロ問題、核拡散問題に焦点が移った。この二つが米国にとって、もっとも大きな問題(at the top of America’s nuclear agenda)となった」ことを強調したとABC放送が伝えている。
米国内で今後もっとも論議を呼ぶと予想されるのは、上記にも触れたが、「核拡散防止条約(NPT)締約国に対しては核攻撃をしないと誓約し、これらの国が、化学・生物兵器で米国を攻撃した場合でもそれが適用される」という政策である。
オバマ大統領はこの点に関して、「この誓約を行うことで、生物・化学兵器が使用されるという事態(contingencies)への抑止効果が上がり、核拡散防止を遵守しようとする動機付けになる」と狙いを説明した。
オバマ大統領は、「米国は、非核攻撃抑止のために核武装するという政策から引き続き手を引いていく。いわゆる「核不使用保証」政策'negative security assurance'と呼ぶ「核拡散防止条約に加盟し、遵守する国に対しては核兵器を使用しない」という政策をとる。
しかし生物・化学兵器を使用した国々に対しては、通常兵器で徹底的な撃滅方針で懲罰を加えるし、そうした兵器を使用したテロ行為を行った個人や政治家は草の根を分けても責任を追及していく」と補足説明を加えた。
この政策は、イランと北朝鮮に、核拡散防止条約への参加の道を促すことを主目的としているが、マケイン上院議員を始めとする共和党保守グループからは、「米国はあらゆる核戦略オプションを堅持する」ことを明言すべしとの反対論がすでに出ている。
Financial Timesは、今回の発表の中の表現の変更を指摘している。それは「核攻撃抑止力は、米国の核保有の基本的な目的」( the “fundamental role of US nuclear weapons”)へと、核軍縮推進派が要求していた「核攻撃抑止力は、核保有の唯一無二の目的」( the exclusive purpose of the US arsenal)から、用語の変更があったことである。
確かにfundamentalとexclusiveの違いは大きい。fundamentalであれば米国は核兵器を攻撃のために使用が可能となる。exclusiveであれば、自らの意思で核兵器を使用することを完全に放棄することになるからである。
オバマ大統領は、今週ロシアとプラハでSTARTに調印するが、ロシアはミサイル防衛網の欧州配備に留保条件をつける構えであり、最終段階まで予断を許さない。そして調印しても共和党の反撃と戦わねばならない。