世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

ゴールドマン幹部議会で、訴追全面否定 A Combative Hearing

2010-04-28 | グローバル企業
2010年4月28日(水)

全世界が注目してきたゴールドマン幹部と社員を召還した上院委員会の宣誓証言が予定通り、火曜日に行われた。

これを受けたNYSEの同行株はわずかに上げた。この議会証言内容は今月に入りほとんどがSECとゴールドマンから開示されてきたので、市場はそれを十分織り込んできたこともその理由のひとつである。

一方、金融株全般とダウ平均株価は、S&Pがギリシャとポルトガルの長期・短期債務に関する格付けを大幅に引き下げ、格付け方向の見通し(outlook)を、ネガティブとしたことを嫌気して大幅安となった。通貨では、ユーロはPIGS諸国のギリシャとポルトガルの国債利回りが上昇し、価格を下げたことを受けて、大幅に下落、円は相対的に上昇した。

議会証言内容は、すでに本欄でも取り上げてきた内容どおりで、新味はなかったが、しかし質問に立った議員の舌鋒は鋭く、The Wall Street Journalは、その様を、「戦闘的聴聞会(a combative hearing)」と表現し、議員たちの糾弾対象は、ゴールドマンが「いんちきカジノ(a crooked casino)で「客をだました(deceiving customes)」こと」であると総括した。

受けてたったゴールドマン側は、首尾一貫して、「まったく違法行為(wrongdoing)はなかった」との趣旨で自己弁護を行った。「破綻した金融商品CDOを組成した過程でも、自らその商品の暴落を予想して空売りを行ったことも、なんら糾弾されるべき行動はなかった」との趣旨である。

注目すべきは、「自社の利益を守ることが株主への忠実な行為であり、その義務からの経営陣の指示に従業員が従ったまで」、「空売りは自社のポジションから来る巨大なリスク回避のための必要な手段」、「リスクを張る投資を誘引して市場活性化を図るために空売りは当然の手段」との主張を、ゴールドマンが繰り返していることである。

顧客に破綻が確実化している金融商品を買わせ、自らはその商品の暴落を見越して逆張りに走ったことを肯定し、破綻確実な住宅金融証券をかき集めてそれをまとめた仕組み証券を組成したことについては、意図的ではなかったと否定したのである。

金融商品を売る主体が、自らの資金を投入して逆張りの空売りに走ることを自社の利益のためと主張することの正当性や、客先にその商品が「第三者の中立アドバイザが、組成したもの」として売り込んだことの客観性の証明が、これから問われていく。

ところで、今回同行幹部のe-mailがSECによって多数公開されて物議をかもしているが、その中でも最も有名になったトレーダー”Fabulous Fab”の証言台での発言は次のようなものであった。

"These emails were personal emails that I deeply regret. They reflect very bad on the firm and on myself."

SECの今後の行動と、オバマ金融改革法案の成否に注目しよう。