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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

バイオ燃料: The world being pushed into ‘a danger zone’

2008-07-05 | 環境・エネルギー・食糧
日本政府は、洞爺湖サミットにおいて、原油・食糧価格高騰対策のための資金援助を議題として提案することに決めていますが、Robert Zoellick世銀総裁は、サミットを前にして、「世界は食糧問題で、危険領域に入った」と警告しています。

G8としては、緊急資金援助で当面の解決を図るという道筋を考えているようですが、一方世界で広く活動を展開しているOxfamやActionAidのような有力NGOは、長期的観点から、現在の各国政府が取っている政策を批判しています。

FTにも引用されたActionAidの主張は:

①先進国の食糧援助は80年の半分の39億ドルまで圧縮されたが、これは先進国内での国内農業補助金の3%に過ぎない。

②バイオ燃料への助成措置を全廃し、農地のバイオ作物への転用を5年間停止すべきである。

③1台のSUVを満タンにするバイオ燃料の製造に必要なとうもろこしは、人一人を1年間養える量に匹敵する。

④農作物のバイオ燃料への転用による食糧価格高騰で、世界の全人口の四分の一の人々を飢餓の危険に曝している。

食糧危機、難民を直撃: forced displacement of refugees

2008-06-18 | 環境・エネルギー・食糧
国連の難民高等弁務官事務所が、昨年1年で、家を捨て国外脱出せざるをした人の数は50万人増加しその総数は1140万人に達したとの年次報告を出しました。

この世界の難民の太宗は、アフガニスタン人300万(パキスタン・イラク),イラク人200万(シリア・ヨルダン)が占めます。そしてパレスチナ難民の460万は別勘定として存在しています。

さらに国内にとどまっているが、国内の紛争などが原因で家を捨てた人の数は、昨年2600万人となり、さらに加えて自然災害で家を失った人の数は2500万人に達したとのことであります。

高等弁務官事務所が保護する対象は、国外脱出した人びとと、国内にとどまっている2600万の半数の合計約2510万人となっているとのことで、これらを含めたすべての難民の生活上の苦難の上に、さらに食糧・燃料の急速な値上がりが直撃している状況はまさに危機といわざるを得ません。

世界人口65億人のうち、一日1ドル以下の収入の人々が10億人、2ドル以下の人々が40億人というのが国連統計であります。世界は貧困と格差に充ち、そしてその格差は拡大しているというのが、厳しい現実です。


原油価格250ドル: Gazprom warns it could clime to $250

2008-06-11 | 環境・エネルギー・食糧
ロシアの世界最大のガス供給会社ガスプロムのミラー総裁は、原油価格は2009年に250ドルまで上昇するとの見解を発表しました。

世界エネルギー機関(IEA)が、「原油への過度の需要を抑制するためには、原油価格が上昇して、需要を’窒息’させるべきである」との公式見解を示した直後に市場は素直に反応し、先週価格は140ドルまで急上昇しています。

オイルメージャーのBPのCEOである、トニー・ヘイワード氏は、「価格上昇は投機資金の流入によるものだというのは神話に過ぎない」との立場から、「価格は需給関係が決定するもの」にすぎず、「高価格は、エネルギー使用効率の向上、新規油田開発、技術開発などに対する投資を催促しているのだ」との主張をFT紙に投稿しています。

そしてその投稿記事の見出しは'Let the markets end the energy crisis'(市場にエネルギー危機を終焉させよ)となっています。

炭酸ガス料金 Carbon emission offsets to rise to $200/ton

2008-06-07 | 環境・エネルギー・食糧
国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までに二酸化炭素の排出量を現在の50%ないし85%まで下げるという目標を達成するためには、炭素税ないしは排出権取引いずれに依存するとしても、排出量1tonあたり、200ドルとする必要があるとの試算を発表しました。

現在二酸化炭素の排出権取引は、EU域内では、$43/tonのレベルとなっているので、5倍のレベルに上げなければ、目標値達成のための技術開発や、設備投資の費用をまかなえぬということであります。それを総コストでいうと4500兆円を要するとの試算は先のG8でも、認知された数字となっています。

具体的には、毎年原発32基、風力発電機17,500基、石炭火力からの炭素捕捉装置35基の建設を行い、2050年までに電気自動車ないし燃料電池自動車を世界中で、10億台走らせなければ、排出量の半減目標は達成できないとのことです。

このような技術開発と設備設置ができなければ、炭素の価格は$500/tonにする必要があるそうです。

食糧危機は”静かなる津波”(the silent Tsunami)

2008-05-30 | 環境・エネルギー・食糧
地球温暖化や砂漠化、急成長を遂げる新興国の需要急増、バイオ燃料への用途転換などによる食糧の需給バランスの劇的な変化に加えて、投機マネーの流入による更なる価格の押し上げが起こっています。

そして自国消費優先のための輸出禁止や制限によって、さらに問題は拡大しています。食糧と原油の価格高騰が最貧国の飢餓をさらに悪化させている現況を、Robert Zoellick世銀総裁は”Silent Tsunami”と表現して、緊急対応を呼びかけています。

4月に、世銀で150カ国によって緊急対応策が採択されて,12億ドルの飢餓救済基金が設定されることになっています。また6月には、ローマで国連主催の首脳会議、さらに、7月には洞爺湖でG8サミットが予定されていますが、これらの首脳会議においては、食糧問題対策が最重要議題の一つとなるはずです。

グローバリゼーションの進展で、国連・世銀・IMF・WTOのような国際機関の機能不全が目立ちますが、地球温暖化・金融危機・石油危機・食糧危機と立て続けに全人類的共通課題が起こっている情勢のもと本来の活躍が期待されます。


自然破壊:Clash over Amazon development plans

2008-05-15 | 環境・エネルギー・食糧
ブラジルは、いわゆるBRICsの一角を占め、石油とガス資源が豊富にあることが近年世界に知れ渡り、そしてその鉄鉱石の生産を通して世界の鉄鋼業に対する存在感はいやがうえにも増しています。そして、サトウキビのバイオ燃料化でも世界のトップを走っています。

一方、貧しき民の味方として登場した、小学校卒の経歴を持ち、労働運動の旗手であったルーラ大統領の最近の発言を見ていると、かなり登場時点とは変わったと言う感がします。

時同じくして、アマゾン流域の乱開発に反対してきた、シルバ環境大臣(女性)が、積年の問題への抗議を表明して、辞任に踏み切ったのです。

ルーラ大統領の、アマゾン乱開発反対派へのコメントを紹介しておきましょう:「ブラジルの経済開発は、ほんのわずかな魚のおかげで、停滞を余儀なくされている」