上の絵はジョヴァンニ・ベリーニが描いた「キリストの神殿奉献」という宗教画であり、
また、家族の肖像画でもあります。
ヴェネチア・ルネサンスを代表する3人の画家。
父のヤコポ・ベリーニは真ん中、眼光鋭く、
幼いキリストの後ろに立っている白いひげの男。
右から二人目は長兄ジェレンティーノ(マンティーニャ説もあり)
この絵を描いた兄とは腹違いの弟、
ジョバンニ・ベリーニが一番右端でこちらを見ています。
幼いキリストを抱くマリアは、
彼らの姉か妹か、マンティーニャと結婚したニコロシアといわれています。
マリアの後ろにいる女性たちも家族の誰かなのかもしれません。
もう一枚そっくりな絵があります。
こちらはマンティーニャが描いた絵。
右端はマンティーニャ本人です。
2枚の絵が描かれた正確な年代がわかっていないので、
どちらが先に描かれた絵なのか不明です。
ジェレンティーノ、ジョバンニ、マンティーニャはほぼ同い年。
1430年生まれです。(確か、ボティチェリも同年生まれ)
3人で切磋琢磨しあっていたのか、
どろどろのライバル関係だったのか、
想像力を刺激してやまない関係ですね。
さて、3人ともに素晴らしい画家であることは確か。
知名度で抜きんでていたのはジョバン・ベッリーニです。
ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵の「レオナルド・ロレダンの肖像」
小さな動物がたくさん描かれている「荒野の聖フランチェスコ」
ジョルジョーネやティツィアーノに影響を与えた「化粧する女」
女神やイヴではない、初めてのヌード?
手鏡を持ち、後ろにも丸鏡があります。
鏡はベラスケス(ラスメニーアス)にも影響を与えたといわれています。
美しい可憐な絵ですね。
兄ジェレンティーノの細密描写は北方の絵画と共鳴します。
ジェンティーレは行きたくもなかったけど、
オスマントルコの王様にも気に入られたとか。
イスラムの人が肖像画を残すのは非常にめずらしいらしい。
腹違いの兄と弟、絵について、人生について、
どんな会話をしていたのか気になって仕方ない。
何も資料が残っていないのなら、そこは残された絵画を見て、
想像するしかないのです。
そこが美術史の醍醐味でもあるのです。
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