ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

300 <スリーハンドレッド>

2007年11月02日 | 映画レビュー
 この映画を見たくてたまらなかったうちのS次郎は、R-15なのでやむなく劇場鑑賞を断念。しかしこれ、リアリティなどまるでない劇画調なので、首が飛ぼうが腕がちぎれようが、ちっとも残虐感がない。「パンズ・ラビリンス」のほうがよっぽど痛さが身に染みる映画なのにPG-12とはこれいかに。

 スパルタ教育の語源となったギリシャの古代都市国家スパルタ、その名の通り、男の子は赤ん坊のときから兵士として鍛え上げられる。生まれたときに身体脆弱な者は容赦なく捨てられてしまうのだ。あ~、こわ。こんな国に「人権問題」なんて訴えても無意味ですね。

 で、そのスパルタを征服すべくペルシャが100万の大軍を送ってきた。迎え撃つはスパルタの精鋭300のプロ兵士。さてこの勝負の行方やいかに。で、ここに伏線があって、うちのSは「ふむ、なるほど。あいつがああなってこうなって最後にこうなるということやな、もうわかったわ」と見事に読み解きました。我が家の息子は映画リテラシーが高い、と親ばかになる。いやまあ、中学生に先を読まれるぐらいだからそのぐらい単純なお話なんですな。

 ストーリーは単純で映像はまるっぽ劇画。これが気に入る人にはたいへんウケが良いと思う。徹底した劇画タッチの様式美はなかなかのもの。スローモーションだのストップモーションだのザラザラの質感の画調だの、劇画というか油絵のようでもあり、リアリズムなんて無視無視。どうせ300人対100万人なんていう無茶な戦争やってんだから、見せ方はあくまでも優雅に残虐に。てなわけだかどうか、死体を積み上げて壁にしてしまうなんていう壮観な図もあります。この話はほんとうに史実なんだろうか? いくら狭い谷間に敵を誘いこんだと言っても限度があろうに?


 最初30分で退屈しかけたところで戦闘シーンが始まって、あとは延々と戦争やってるけど、退屈しそうになったら巨大サイを登場させたり象を送り込んだり火薬を使ったりと工夫も凝らしてある。それにペルシャの王が装飾品の贅を尽くしたビジュアルなお方。なかなか面白かった。

 それにしても、こういう無謀な戦いをやってはいけませんね。暴力はやめましょう。てか、スパルタって存在そのものが暴力のためにあるのよね。この人たち、戦争以外にすることないんだから。王妃の発言権が大きいのには驚いた。スパルタもジェンダーフリー教育をやってたんだろうか(笑)。(レンタルDVD)
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300
アメリカ、2007年、上映時間 117分
監督: ザック・スナイダー、製作: ジャンニ・ヌナリほか、製作総指揮: フランク・ミラーほか、脚本: ザック・スナイダー、マイケル・B・ゴードン、カート・ジョンスタッド、音楽: タイラー・ベイツ
出演: ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディ、デヴィッド・ウェンハム、ドミニク・ウェスト

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