ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

最高の人生の見つけ方

2008年06月02日 | 映画レビュー
「死ぬまでにしたい10のこと」オヤジ版。それにしても大富豪のオヤジはスケールが違う。「死ぬ前にしたい…」でサラ・ポーリーは慎ましいことしかしなかったけれど、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンは金に糸目を付けずに庶民が決して叶わぬファンタジーを実現してみせる。いやぁ~、お見事でした。


 脚本がこじゃれているので、見ていて爽快。特にジャック・ニコルソン演じる大富豪エドワードとその秘書との会話が絶妙だ。金だけは有り余っているのに偏屈で他人へのやさしさを持ち合わさないために実の娘にすら縁を切られて、今や話相手は秘書しかいないといういやな男エドワードを、ジャック・ニコルソンはまったく「地のまま」のように演じる。

 対する実直な自動車修理工で驚異の知識と教養の持ち主カーターを演じるモーガン・フリーマンもまた「そのまんま」のイメージ。この二人が脱力して演じているから見ているほうも安心できる。おそらくロブ・ライナー監督もこの二人に好きなように演じさせたのではなかろうか? ベテラン3人がお互いに肩肘張らずに、「あ、ちょっとやってみようかね、はい、カット」てな具合にひょうひょうと撮ったという雰囲気が溢れている佳作だ。


 末期癌で余命6ヶ月を宣告されたオヤジ二人の旅にしてはあまりにもド派手に金を使いすぎるので、その点にはわたしのような人間は眉をひそめてしまうけれど、「まあ、所詮は映画だし。映画的には面白い、まあ、えっか」と思っているうちに、最後の最後に「やられた!」というちょっとしたどんでん返しがある、楽しい映画。
 

 死を目前にした二人が、「棺桶リスト」として、死ぬまでにやり残したことを書き留めては一つずつそれを実現していく。そのさまが爽快だ。金をかけなければできないこともあればそうでないこともある。最後に残った一つをどのように実現したか? それがまた可笑しいというか泣けるというか…。


 ところで、この映画を見ていて興味深かったのは、死を目前にして「さあ、あなたは誰と何がしたい?」と訊かれて、実際どうするだろうか、ということ。普通は「家族と過ごしたい」とか「思いっきりご馳走を食べたい」とかいろいろ考えるだろうに、なぜこの映画の二人は「まったく見ず知らずであったのに、たまたま癌で入院し同室になっただけ」という縁で家族すら放擲して二人で旅に出てしまうのだろうか? ここに見られる、「家族愛よりも友愛」を優先する思想がアメリカでも受け入れられ始めているのだろうか? 最近のアメリカ映画は家族回帰ものが多いのに、本作はその流れに逆行すると感じた。ところが、最後にはやはり「家族愛」で落とすオチがついているので、なあんだやっぱり。と、ありがちな結末にちょっとがっかりしていたのだが……ま、その先は言わないことにしましょう。

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THE BUCKET LIST
アメリカ、2007年、上映時間 97分
製作・監督: ロブ・ライナー、脚本: ジャスティン・ザッカム、音楽: マーク・シェイマン
出演: ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ビヴァリー・トッド、ロブ・モロー

5.28「専門職の集い」、ご参加ありがとうございました

2008年06月02日 | 図書館
 わたしとドーンセンター木下みゆきさんが呼びかけ人になった5月28日の「集い」は、無事終わりました。ほんのささいな集会のつもりでいましたが、おかげさまで会場の定員オーバーとなりました。

 詳細はこちらにありますのでご高覧ください。なお、明日には全体のもようがわかる「会議録」をアップします。

http://shaunkyo.exblog.jp/i9/