ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

大統領暗殺

2007年10月21日 | 映画レビュー
 現職の大統領を登場させて、その暗殺事件を捏造してしまう恐るべき「ドキュメンタリー」映画。大統領暗殺事件は2007年10月19日に起こった。あ、もう過ぎてるやんか! ブッシュ大統領、何事もなく無事なようで。

 この映画は、大統領の側近や警備担当者の証言によって大統領暗殺の真相を探り、その一部始終を再現するフェイクなドキュメンタリー。ブッシュが登場するというふざけた内容なので本国では上映禁止になったとかいうから、さぞや彼はコケにされているんだろうとお笑いものを期待したのに、意外や意外、内容は極めて真面目で、いや、真面目過ぎるぐらいで、面白かったのは最初だけ、途中ですっかり退屈して寝てしまったわ。要するに、これがまったくのフェイクであるとうことが面白いのであって、そのことをのければ、ごく普通のドキュメンタリーだ。まるでテレビの1時間スペシャルみたいな。

 ブッシュへの大規模な反対デモといい、過剰な警備、警察の暴力といった一部始終はリアルで、ほんとうの報道映画を見ているようだ。ブッシュへの批判も、それに対する側近の擁護発言も、どちらも納得の出来だ。それだけに、この映画はブッシュを持ち上げて絶賛しているかのようにもとれるし、でもやっぱり現職の大統領の葬式まで描いてしまうんだからコケにしているには違いないけど、でもでも…。と、どう評価していいのかわからない。しかも途中で寝たから、いっそうよくわからない。

 わたしが最初に期待したようなはっきりそれとわかるコメディやパロディではなく、これは実に緻密に事実を捏造した映画なのだ。こういうものが出来るということは恐ろしいことだ。この手でメディアはいくらでも情報を操作できるし、事実無根のできことだって実況中継できてしまう。怖いですねぇ~、震えますねぇ~。しかし映画は面白くなかったなぁ。わたしの隣席の高齢家族3人組は喜んで見ていたみたい。団塊世代ぐらいかそれ以上とおぼしきお父さんは、ブッシュの葬式の場面で「おいおい、こんなんええんか」と呟いていました。

 ちゃんと最初から最後まで見た人に感想を聞いてみたいです(PG-12)。

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DEATH OF A PRESIDENT
イギリス、2006年、上映時間 93分
製作・監督・脚本: ガブリエル・レンジ、音楽: リチャード・ハーヴェイ
出演: ヘンド・アヨウブ、ブライアン・ボーランド、ベッキー・アン・ベイカー
、ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー