ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

ストレンジャー・ザン・パラダイス

2007年05月05日 | 映画レビュー
 巻頭とラスト(近く)が飛行場のシーンで、飛び立っていく飛行機がフィックスの画面を横切るのだが、巻頭とラストの時間的差異は約1年。そこに込められたシニカルな笑いに思わずうなる。

 ハンガリーから自由の国アメリカにやって来たティーンエイジャーの美しい少女が、アメリカでも口うるさい婆ちゃんに監視され、鬱屈する日々を過ごすその憤懣やるかたない様子がとてもよく描けている。

 だが、物語じたいは極めて退屈だ。ハンガリー系の若者とその従姉妹たる少女、そして若者の友人、この3人のロードムービーになるのだが、いっこうに話は進展しない。最後になってようやく笑わせてもらった。ああ、こういうオチだったのか!

 ジャームッシュのすっとぼけた味がむくむくと芽生えはじめる作品。決してヒットすることなどない、地味なモノクロ映画。退屈でたまらないのに、ワンシーンごとにきっちり幕が引かれるリズムがなんともいえない独特のおかしみを生んでいる。この人とは波長が合うかどうかだけの問題、という感じがしますね、ジャームッシュ。(レンタルDVD)

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STRANGER THAN PARADISE  上映時間90分(アメリカ/西ドイツ、1984年)
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ、製作:サラ・ドライヴァー、音楽:ジョン・ルーリー
出演: ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン、セシリア・スターク