これはとても楽しい! 18人の監督が5分ずつで撮ったオムニバス。とても全作品にコメントできないし、こんな短い作品を解説してしまうとかえって面白くない。
映画館に行く途中、春爛漫の光を浴びて少々汗ばみながら歩いた。大阪駅北側はいま、広大な空き地になっている。塀で囲ってあるのだけれど、工事中のそのようすを隙間から見ると、すっかり更地になった部分が広々と気持ちいい。とてもよく見渡せるこんな状況はあと数年で消えてなくなる。今にここには大きな商業ビルが建ってしまうのだろう。なぜここに公園を作ろうとか考えないのだろう? 梅田に公園を作ればまさに都会のオアシスとなるし都市のヒートアイランド現象も緩和できるというのに。キタにはこれ以上の商業施設は不要だ。これ以上作ってもパイを取り合うだけなのに、そんなこともわからないのだろうか。
翻ってパリの街はどうなのだろう。行ったことはないけれど、梅田よりは遙かに緑が多そうだし、美術館もある(梅田とパリ全体では広さが違うので比べてはいけないかもしれないが)。この映画を見終わる頃にはすっかりパリが好きになっていた。パリの裏通りを歩いてみたい、行ってみたい。
さて、18話すべての感想は書けないので、特に印象に残ったものだけコメントしてみよう。
最高に受けたのはコーエン兄弟の「チュイルリー」。パリを舞台に出会いの映画を5分で撮ってくれとオファーがあってこういう作品を作るかぁ、ふつう?! あり得ないぐらい面白い。これはもう必笑ものです。一言もセリフがないのに存在だけで演技しているスティーヴン・ブシェミがすごいっす。それにしても彼はこういう情けない役しかやらせてもらえないの? 異邦人のパリ、とってもよくわかります。
続くウォルター・サレスの「16区から遠く離れて」。貧富の格差をこんなふうに描くこともできるんだ! これは切なかったです。母親としては辛い。
諏訪敦彦の「ヴィクトワール広場」、泣きました。5分の映画でよく泣けるもんだと我ながら感動するけれど、この監督は名前も知らなかった。で、5分しかないのに泣いてしまうから、次の作品のときもまだ涙目。その次もまだ涙が残っている。という妙な事態になりました。
トム・ティクヴァ「フォブール・サ・ドニ」 、これもすごい作品だ。たった5分でよくこれだけ詰め込みました。これ、意外と金がかかっているんではなかろうか。
フレデリック・オービュルタンとジェラール・ドパルデューの「カルチェラタン」、熟年カップルの離婚話。これも会話がしゃれててよかったわ。フランス映画らしくていいです。ぐっと来ました。
個人的にはこれも受けた、ウェス・クレイヴン監督「ペール・ラシェーズ墓地」。冗談の通じない真面目な恋人に愛想を尽かす婚約者。この二人はどうなるの?!
そのほか吸血鬼ものとか、いろいろあって、全然退屈しない2時間でした。なにしろパリを舞台に出会いの映画を撮って欲しいというのがプロデューサー側の依頼だったのに、それでこういう映画ができるんだからすごいですね、アイデアを出し合った監督たちもすごいです。正攻法なのもあればとんでもものもあり。いやぁ~、実に楽しかった。劇場用パンフレットによれば、次はNY篇を作るとか。東京篇も企画に上っているそうです。楽しみね。
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パリ、ジュテーム
PARIS, JE T'AIME
上映時間 120分(フランス/ドイツ/リヒテンシュタイン/スイス、2006年)
監督・脚本: ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン
出演: ブリュノ・ポダリデス、フロランス・ミューレル、レイラ・ベクティ、スティーヴ・ブシェミ、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、ナタリー・ポートマン、ジーナ・ローランズ、ジェラール・ドパルデュー、エミリー・モーティマー、カタリーナ・サンディノ・モレノ、イライジャ・ウッド
映画館に行く途中、春爛漫の光を浴びて少々汗ばみながら歩いた。大阪駅北側はいま、広大な空き地になっている。塀で囲ってあるのだけれど、工事中のそのようすを隙間から見ると、すっかり更地になった部分が広々と気持ちいい。とてもよく見渡せるこんな状況はあと数年で消えてなくなる。今にここには大きな商業ビルが建ってしまうのだろう。なぜここに公園を作ろうとか考えないのだろう? 梅田に公園を作ればまさに都会のオアシスとなるし都市のヒートアイランド現象も緩和できるというのに。キタにはこれ以上の商業施設は不要だ。これ以上作ってもパイを取り合うだけなのに、そんなこともわからないのだろうか。
翻ってパリの街はどうなのだろう。行ったことはないけれど、梅田よりは遙かに緑が多そうだし、美術館もある(梅田とパリ全体では広さが違うので比べてはいけないかもしれないが)。この映画を見終わる頃にはすっかりパリが好きになっていた。パリの裏通りを歩いてみたい、行ってみたい。
さて、18話すべての感想は書けないので、特に印象に残ったものだけコメントしてみよう。
最高に受けたのはコーエン兄弟の「チュイルリー」。パリを舞台に出会いの映画を5分で撮ってくれとオファーがあってこういう作品を作るかぁ、ふつう?! あり得ないぐらい面白い。これはもう必笑ものです。一言もセリフがないのに存在だけで演技しているスティーヴン・ブシェミがすごいっす。それにしても彼はこういう情けない役しかやらせてもらえないの? 異邦人のパリ、とってもよくわかります。
続くウォルター・サレスの「16区から遠く離れて」。貧富の格差をこんなふうに描くこともできるんだ! これは切なかったです。母親としては辛い。
諏訪敦彦の「ヴィクトワール広場」、泣きました。5分の映画でよく泣けるもんだと我ながら感動するけれど、この監督は名前も知らなかった。で、5分しかないのに泣いてしまうから、次の作品のときもまだ涙目。その次もまだ涙が残っている。という妙な事態になりました。
トム・ティクヴァ「フォブール・サ・ドニ」 、これもすごい作品だ。たった5分でよくこれだけ詰め込みました。これ、意外と金がかかっているんではなかろうか。
フレデリック・オービュルタンとジェラール・ドパルデューの「カルチェラタン」、熟年カップルの離婚話。これも会話がしゃれててよかったわ。フランス映画らしくていいです。ぐっと来ました。
個人的にはこれも受けた、ウェス・クレイヴン監督「ペール・ラシェーズ墓地」。冗談の通じない真面目な恋人に愛想を尽かす婚約者。この二人はどうなるの?!
そのほか吸血鬼ものとか、いろいろあって、全然退屈しない2時間でした。なにしろパリを舞台に出会いの映画を撮って欲しいというのがプロデューサー側の依頼だったのに、それでこういう映画ができるんだからすごいですね、アイデアを出し合った監督たちもすごいです。正攻法なのもあればとんでもものもあり。いやぁ~、実に楽しかった。劇場用パンフレットによれば、次はNY篇を作るとか。東京篇も企画に上っているそうです。楽しみね。
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パリ、ジュテーム
PARIS, JE T'AIME
上映時間 120分(フランス/ドイツ/リヒテンシュタイン/スイス、2006年)
監督・脚本: ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン
出演: ブリュノ・ポダリデス、フロランス・ミューレル、レイラ・ベクティ、スティーヴ・ブシェミ、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、ナタリー・ポートマン、ジーナ・ローランズ、ジェラール・ドパルデュー、エミリー・モーティマー、カタリーナ・サンディノ・モレノ、イライジャ・ウッド