ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

「自由の平等」

2004年06月02日 | 読書
 ソネアキラさんのBlogを読んでてこの本のことを思い出した。

ソネさんもこの本がわかりにくいとおっしゃっているが、まったく同感。一文ずつはすごくクリアに書いてあるのに、文章としてまとめて読んでいくと脈絡がわかんなくなるっていうようなしろもんなんだよね、立岩さんのは。

能力に応じて働き平等に分配する社会をめざそうって立岩さんは主張していて、それってまさしくマルクスの言う「共産主義社会」じゃないの。えーやんか、それ。

で、立岩さんは、この主張への異論・反論をひとつずつつぶしていこうとしてこの本を書いている。だもんだから、「○○という意見がある。こうこうこうだ。だがそれは本当だろうか」「××は△▲である。確かにそうかもしれない。だがそうは考えない」とかいう論調で淡々と文章を書いていく。
延々と書いていった命題を最後に「いや、違う」とか否定するので、いったいどこまでが立岩さんの意見で、どこまでが反対者の意見なのか、わけがわからなくなる。

『自由の平等』って読んでいて思ったのは、
「この文体、どっかで読んだ覚えがあるなあ…。あ、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』やんか」

やっぱりソネアキラさんもおんなじことを感じたみたい。

それに、立岩さんの本には註が多いこと多いこと。これじゃまるでウェーバーみたいやんか。とにかく読了するのに四苦八苦しました。

確かにいいこと言ってるとは思ったけど、こんな文体だから最後まで読み通した人って少ないんじゃなかろうか。それに、正直言って、それほど説得力があったとは思えなかった。むしろ、わたしみたいに、立岩さんのテーゼをあらかじめ納得して読み始めている読者にもう少し何か具体性を与えてほしかったなと思う。