イスコ日記

「村上椅子」の、椅子のこと日々のことあれこれ

ローズウッドの椅子

2008-06-27 | 張り替え
今や稀少なローズウッドをフレームに使った椅子の張り替えです。
何十年も前に京都の老舗の家具屋さんで購入されたそう。
張り替えのしごとをしていると、そういう普段お目にかからないような
椅子に出会えるのが楽しみでもあります。
その分、今買おうと思っても手に入らないものだけに、
(もちろんその家の歴史もつまっているわけですし)気も使います。

この椅子は本体フレームに座と背のクッションがおいてあるタイプで
肘の下の部分にはクッションと同じ革を張ったパネルがぴっちりとはまりこんで
いました。

椅子の張り方というのはだいたいパターンがあるので、経験上
これはこうやって分解するのだなとか、めくっていくのだなとか、わかるものですが、
このパネル、フレーム下から留めてあるビスをはずしても取れない!
おかしいなあ、他にもどこかでとまっているのかなと、いろんなところを分解…。

結局は長年の使用で革がフレームとぴったり張り付いていていただけでした。ほっ。



テープも張り替えるのでフレームを分解。
良く考えられた椅子です。背、座とそれぞれのパーツが分解でき、
木工と張りの職人が分業しやすく、たくさん作っておいても場所をとらない。
シンプルで合理的ですね。

たいていの椅子は、張ってからフレームに取り付けるか、分解しなくても張れるように、
また張り替えがきくようにつくられているものですが、
たまに、ほんとにどうしようもない椅子もあります。
張ったのをもう外れないように組み立ててしまってあるのとか。
張り替えることまで考えて無いのでしょうね、、、。
そんな場合でも、出来ませんとはいえないので、前の張りかたとは変えて、
なんとか近い姿を再現します。
ちゃんと後々のことを考えてデザインしてほしいものですね。

村上椅子のHP

一級建築士事務所expo

2008-06-20 | 雑記
村上椅子の建物を設計して下さったexpoさんが、このたび「ようやく」重い腰をあげられ

ブログを始められました。(待ってました。)

第一弾は自分達の自己紹介。第二弾は村上椅子のことを書いて下さってます。

読んでいると、もはや自分達のことじゃないみたいにウキウキして見られ、

こんなことも、あんなこともあったなーなどと、あの時の楽しさがまた思い出されて、

うれしくなりました。

非常に苦労した(一応、柄も合わせてみたりして)椅子生地の壁の質感が良く出ていて

はじめて見る方には面白いのではないでしょうか。


expoブログ


教訓!外構工事 は工務店にお願いしましょー



6月18日

2008-06-18 | 張り替え
月曜日、店は休ませて頂いて、久しぶりの現場仕事にいってきました。
備え付けのソファなど持って帰れないイスを、現地に出向いて張替えるのです。
もちろん事前に寸法や型をとりにいって、ウレタンの加工や張り地の
裁断縫製など準備しておき、後はめくって張るだけ、
という状態で臨むのですが、予期せぬ事態(サイズが違う!とか)
が起こりうるので、いつもあらゆる道具や材料を車に積み込んでいきます。
なので、けっこう大仕事。

さて今回の現場はとある飲食店の待合室。
部屋の二辺にびっちりとソファが造り付けてあります。
座だけははずれるのですが、5m程あるL字型で1人ではちょっと
手に負えないということで、私もかりだされました。

しっとりとした和風建築、簾の向こうには緑のお庭が見えて
いい雰囲気です。でも、ソファがちょっとぼんやりしてますね。

、、、それが



赤系のストライプの布で張り替わりました。
ぱりっと、きもちのよい仕上がりです。

こういうわけで、時々日曜日以外にも店をお休みしていることがあります。
ご迷惑おかけしますが、予定が分かり次第ホームページにて
お知らせしていますので、チェックしてご来店くださいね。

村上椅子のHP

乾燥中

2008-06-14 | 作業風景

ビスケットのように見えますが、椅子の座面です。
並べて、乾かしている最中。
というのはヌメ革は堅いので、そのままではカーブに馴染まず
裏に巻き込んで張れないため、水で濡らしてしなやかにして椅子に張るのです。
そうして乾いてしまえば、初めは白っぽくて軽やかな雰囲気ですが、
使い込むうちにどんどん色が深く飴色のようになっていきます。
椅子本体もオイル仕上げのナラ材とのことで、使うほどに味わいを増す椅子となることでしょうね。

村上椅子のHP

思い出のつまった椅子

2008-06-09 | 張り替え

このソファ、こどものころからご実家で使われていた中の一脚を、
張り替えて使いたいというご依頼で、うちにやってきました。

まるっこくて懐かしい感じのかたちです。
今はあまり見られませんが、こういう肘のない1人掛けと、
片方に肘の付いているのとを何脚か組み合わせて並べて使う、
というタイプのものが一時期よくみられたようです。

さて、座面がやぶれてしまっていて、クッションもへたってしまっているので、
総張り替えです。柔らかな座り心地を気に入っておられるとのことで、
あまり硬くなり過ぎない程度にバネ、ウレタンを補強。

せっかく張り替えるのだから雰囲気を変えたい、でも面影は残したいとの
ご希望で、悩んだ末に選ばれたのは渋い紫とベージュ系の2色で張りわけるという
ちょっと凝った張りかた。そして、雰囲気を残すために、太いパイピングが回って、
側面に大きなボタンが留まっているという仕様は、そのまま同じように張り替えました。





古いものと新しいものをうまく組み合わされた、センスのいいお部屋に
しっくりと納まって、ソファもちょうどよい居場所をみつけた、という感じでした。

そしてこのソファ、もうひとつ話が。
椅子の中からいろんな見つけものが出てくるのは前にも書いたかと思いますが、
今回は記録的な数の文房具(鉛筆、クレヨン、はさみ、ペン、、)が出てきました。



それが、懐かしくなるようなものばかりで、、、
自分もいろんな隙間に鉛筆をつめこむ癖があったな、なんてことも思い出したり。
このソファを使われていた子供のころのことなど想像して
なんだかあったかい気持ちになりました。

思い出の詰まったソファ、これからも長く愛用してくださることでしょう。

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