イスコ日記

「村上椅子」の、椅子のこと日々のことあれこれ

グレーのソファ

2008-10-27 | 作家さんの椅子

坂田卓也製作所さんのソファの、生地張りを担当させてもらいました。
デンマークの椅子を思わせるデザイン、
シンプルながら肘から背に向かっての曲線と、木の肘掛けの美しいソファです。

座り心地を確保しつつすっきりした感じに仕上げるため、
本体の座面下にはかさばらないSバネ(ウェーブバネ)を使用、
その上にややウレタンフォームと綿を層にしたクッションを置きました。
背もたれも、別クッションタイプです。
三人でも余裕で座れる、ゆったり2人がけ。
肩の上まである背もたれクッションがしっかり体をささえてくれ、
安心できる座り心地に仕上がりました。
さすが本体フレームも家具用の無垢材で頑強に作ってありますからね。
ウール混の織りのしっかりしたグレーの生地も、
ブラウン寄りなので冷たい印象にならず、よく似合っています。

日曜日、あいにくの雨でしたが
オーダーされたご夫婦もこられて我が家リビングにて撮影会の後、
無事納品となりました。



家具をオーダーメイドするって、とても特別なことのようですが、
結婚、引っ越しという人生の節目はよいきっかけではないでしょうか。
時には、その家具がやってきた時の事を思い出しながら、
一緒に時をすごし、育てていく楽しみ。
次々に新しいものに買い替えていくよりも、豊かな、
贅沢な楽しみ方のような気がします。

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青いベンチ

2008-10-14 | 納品事例 店舗
イスオさんが久々の現場仕事にいってきました。
京都市内某所で準備中のカフェの、造り付けベンチソファです。

このカフェ、先日のお茶会でもお世話になった、美術家小山田徹さんのおしごと。小山田さんはほかにもバザールカフェや喫茶六花などの素敵なカフェを手がけられていて、そのほかに、小屋や屋台なども製作されてます。
美術家という職業と、カフェのプロデュース(ただデザインをするというのではなく、現場での作業ももちろんされます)。ちゃんとお聞きした事がないので、それがどう繋がるのかうまく説明できませんが、キーワードは『共有空間の開発』ということのよう。たぶん、人の集まる場所を作ることで、そこからいろんなものが広がって、というようなことでしょうか。、、いい加減な説明でごめんなさい。今度ちゃんと聞いておきます。

ともかく、そのお店の壁に沿って設置されたベンチソファを張りました。生地は写真では紫がかって見えますが、濃いブルーのモケット(いわゆる別珍)です。床に貼られたブルー系のタイル、濃い茶色の柱や梁、腰板、白い壁。すべてがなんだか懐かしいような、落ち着いた雰囲気をつくり出しています。ゆっくりしたカフェ、になる予定だそうで、完成が楽しみです。

オープンは11月の初めだそう。詳しくは後日またご紹介しますね。

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おしらせ

2008-10-08 | おしらせ
みなさまにお知らせがあります。

勝手ながら11月8日(土)以降、当分のあいだ、ショウルームの営業を
毎週土曜日のみとさせていただきます。
営業時間は11時から18時までです。

それ以外の曜日、時間帯でも、ショウルームをご覧になりたいかたは、
事前にご連絡くだされば対応させていただきます。
また、張替え業務はいつも通り行っていきますので、
お電話、メールなどでお問い合わせくださいね。

実は、私ごとで恐縮なのですが、12月に出産予定のため、
お仕事は少しのんびりさせていただくことになったのです。

移転してもうすぐ一周年を迎えられるというところで、
気軽にお店に来ていただきにくくなるというのも、とても心苦しいのですが、
新しいいのちを迎えることで、私たちも成長し、
違う視線でモノ作りがしていけるのではないかと思っています。
そしてまた、本格的に復帰できたときには
次なる村上椅子を展開していきたいなと思っています。

どうぞ見守っていてくださいね。


お茶室にて

2008-10-06 | 展示会、イベント

先週末、大山崎山荘美術館の『お茶会』なるものに、ゲストとして行ってきました。

このお茶会、会場は山荘の森の中にあるお茶室です。
でも、和服で正座をしてお作法にのっとってお抹茶をいただく、、、
といった堅苦しいものではありません。
本来、お茶室は文物を愛(め)でるコミュニケーションの場である、
ということから、何かを『愛でている』ひとを招いて、皆でテーブルを囲んで
美味しいコーヒーをいただきながらお話を聞きましょう、
という企画をされているのです。
これまでに、洞窟探検家、手作り靴作家、ミュージシャンなど
いろんなジャンルのかたがお話をされたそう。

そして今回は『椅子を愛でる』ということで私たち村上椅子のふたりが
僭越ながらお話をさせていただきました。
といってもわたしたちは椅子張り職人。椅子の評論家でもなんでもありません。
なので、椅子の歴史やデザイン、名作椅子とは、、といったことはさておいて
椅子張りってどんな仕事?とか、椅子の中身ってどうなってるの?という、
どちらかというと地味~なお話をさせていただきました。

でも実は、こういう話って意外に聞く機会がないんですね。
お客様の中にも、椅子の張替え経験者は誰もおられなかったよう。
これだけ椅子に囲まれた暮らしをしているけれど、
「椅子張りやさん」の存在はあまり知られていないんです。

1日目は爽やかな風に緑がそよぐ中、2日目はあいにくの雨でしたが
これはこれでしっとりとした素敵な雰囲気の中
各日十数名の方々にお集まりいただきました。



上手には話せませんでしたが、ナビゲーターの小山田徹さん(美術家)
のリードのおかげで、みなさんにも『椅子張り』の世界をちょっぴり覗いて、
お楽しみいただけたようです。

人前で話すことなんて大の苦手の私たち。
依頼されたときはなかなかハイとは言えなかったけれど、やり終えてみて、
椅子という「もの」を通じてだけでなくこうやって「ことば」で
ひととつながり発信していくことも、とても大事だなと感じました。
このような機会を持たせていただいて、
小山田さん、美術館の方々、お越し下さった皆さま、
本当にありがとうございました!

大山崎山荘美術館は私の好きな場所のひとつでもあります。
展示品だけでなく建物の調度や、眺めの良い喫茶室、
庭園、道すがらにある様々な木々まで、全体を楽しめます。
これからの季節、紅葉も素晴らしいでしょうね。
秋のお出かけにぜひどうぞ!

張り替えの季節

2008-10-02 | 作業風景

いよいよ秋らしくなってきました。
日差しもずいぶん柔らかくなったような気がします。
お店の前の芝も夏の暑さですっかり元気をなくしていましたが、
部分的にイスオさんが植え替えてくれました。
もう少ししたらふさふさ元気にはえてくることでしょう。

今張り替えているのは革のこんな椅子。
くるみボタンがあたってじゃまだということ、
しかももうとれてしまっているので、ボタン無しにデザイン変更です。

椅子張り替えのシーズンがあるとしたら、
やっぱり秋と春のような気がします。
季節の変わり目に、インテリアをあれこれ考えるのは楽しいですよね。
これから長くなっていく夜をおうちでゆっくり楽しむために、
椅子もさっぱり綺麗に衣替えしてみませんか?

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