青い長椅子を納品してきました。
町家の玄関の、広く空間を取られた土間のところに置くと、
ぴったりと落ち着きました。
前に小さなコーヒーテーブルでも置けば、
ちょっとした談話コーナーになりそうです。
町家の改築に合わせて張り替えられたこの椅子、
御依頼主のおじいさま、おばあさまが使われていたものだそう。
詰め物もバネも堅く、「板のよう」だった座り心地が
すっかり取り替えることで改善されました。
落ち着いた青のモケット生地、肌触りも良く、
この椅子によく似合っています。
張り替え前、底から見たところ。
この椅子、ちょうど椅子作りの一つの時代の境目に
作られたもののようです。
まず目についたのは鉄のパイプ。頑強に木枠を支えています。
この一見新しそうな部品を止めているのは、
今はほとんど使われないマイナスのネジ。
こういうタイプの椅子ではバネは、コイルバネを手作業で吊り、
生地は釘で張ってあるのをよく見ます。
その後、コイルバネを簡易化したSバネ(ウェーブバネ)が登場、
釘もタッカーに変わっていきます。
が、この椅子では珍しい、Sバネと釘との組み合わせでした。
そして、随分傷んでしまっている張り地はくすんだベージュ系、、
でもよく見るとなんだかキラキラ。ラメいりでした。
当時の最新の技術で作られた椅子だったんでしょうね。
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