ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

談志ひとり会@国立演芸場

2008年01月15日 | Weblog
マクラで伝説の「芝浜」に触れ、今後の落語への取り組み方に言葉を濁らせる。耳の具合が悪く半分聞こえない中、体の不調を訴えつつ声の調子を整える準備体操で小噺。「アダム」の彫物の小噺、「マダム」と言い間違えた談志に客席からダメ出し。かなり大胆な内容であるにもかかわらず前に坐っていた上品なおばあさんが二つ折れになって大ウケ。今日は「旧友」が訪問するということもあってか、客席への目の配り方が念入り。

そして「堪忍袋」。夫婦ゲンカが絶えない夫婦の仲裁に疲れた大家の一計で、女房が堪忍袋を縫う。談志の針仕事の仕草、そこに針と糸があるかのようにとっても丁寧。縫い上がった堪忍袋に早速悪口雑言をぶちまける夫婦。その言葉と、ひきつった笑顔のギャップが不気味。お蔭ですっかりケンカが収まった夫婦の噂を聞いて集まってくる長屋の連中~犬まで、あっという間に一杯になった袋、もう破裂寸前のところに酔っぱらいがやってきて袋を奪い取る。そのはずみで箍がはずれて長屋中の悪口が一気に溢れてしまう。それを舞台ソデで待ち構えていた一門が口々に叫び、会場は言葉の渦で一杯になる、そんな演出が盛り込まれた談志ワールドだった。

仲入後は「疝気の虫」。マクラにお気に入りの小噺(=かわいい系)。
疝気の虫の形状説明が細やか。その色、形は次々に変化し変幻自在な捕えがたさが逆に夢から覚めた医者に疝気の虫のリアリティーを与えているように感じる。急患の知らせに駆けつけると、患者の男性は疝気で苦しんでいる。夢を頼りに虫の好物の蕎麦を注文、食べる奥さんに匂いだけ嗅がされる患者のやりとりが続く。権太郎の音源では食べる奥さんがその息を「ハァ~」っと色っぽく旦那に吹きかけ、蕎麦をすする音と息を吹きかける音が繰り返されることで音楽的な仕上がりになっていたが、談志は匂いをかがせる仕草は箸で鼻先に蕎麦を押し付ける、結果、静かなやり取りが繰り返される。しかしこの夫婦もどういうわけだか色っぽい気分になり、「チュ~は後でね」ということになる。蕎麦の匂いに誘われ別荘から隊列を組んで出てきた疝気の虫たち、しかし匂いばかりで蕎麦は見当たらず、とうとう男の口元まで上がってくる。対岸に蕎麦を発見した虫達、奥さんの口元にジャンプ、飛び移った虫たちが蕎麦をむさぼり大フィーバーする場面で鳴物が入る。踊り浮かれて蕎麦に食いつき大暴れする虫の表情や仕草、満面の笑みで踊る談志は天使のようにお茶目で、そんな談志を見ているだけで幸せな気分になれる。

夕食は代々木の「田んぼ」。おひつごはんのお店で、テイクアウトの客が5割、かなりくだけた雰囲気の店。味については特筆事項なし。


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