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臭化カリウム

2015年12月20日 | 治療・予防など

臭化カリウム「ヤマゼン」  医薬品インタビューフォーム

製造承認年月日:1985年12月26日
発 売 年 月 日:1971年11月1日

開発の経緯
臭素Brom はギリシア語βρωμοσ(ブロモス)「悪臭」を意味する言葉からきたもので、1826年このBrom の発見者、フランス人Balard により初めて製造され、ヨウ化カリウムの代わりに医薬用に使用された。

外観・性状:無色または白色の結晶、粒または結晶性の粉末で、においはない。
溶解性:本剤は水又はグリセリンに溶けやすく、熱エタノール(95)にやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくい。
吸湿性:わずかに吸湿性がある。
有効成分の含量:本品1g中、日本薬局方臭化カリウム1gを含有する。

薬理作用
少量ではその作用が著明でなく、健康なヒトでは1回 0.5g 程度では認めるべき作用はない。
しかし生体内で臭素イオンを遊離し、大脳皮質の知覚並びに運動領域の興奮を抑制し、知覚過敏が消失し、弱い安静・倦怠感を促し就眠を容易にする。
4~8g の大量になるとこの効果が強くなるが、クロラールと異なり直接的な催眠薬ではなく、その鎮静作用で就眠を容易にするだけである。
カンフル、コカインなどの大脳刺激興奮薬に拮抗作用を持つ。
しかしストリキニーネけいれんのような脊髄性興奮又は動物の反射機能には作用は弱い。
このように本薬は特徴ある持続性の大脳皮質の中枢神経系興奮抑制薬である。
大量に内服させると胃粘膜を刺激し、圧感、温感などを感じる。

治療上有効な血中濃度:血中ブロム濃度 50~100mg/100mL、てんかん患者の場合は 75~100mg/100mLに維持する。
中毒症状を発現する血中濃度: 血中ブロム濃度 160mg/100mL 以上でも発現することがあるが、個体差があり、80mg/100mL でも中毒を呈することがある。

吸収:消化管から容易に吸収する。 

分布:脳を除く組織に容易に分布する。組織と血清の分布の比は極めて近い。
血液脳関門通過性:動物実験(ウサギ)で脳への移行が認められる。

排泄:すべての排泄器官から排泄されるが、特に尿が多い。
排泄率:尿中排泄率は投与量の 1/4~1/10(24~36 時間)しかし、これ以降は徐々にしか排泄されず、消失半減期は約12日である。

原則禁忌者とその理由

  1. 本剤又は臭素化合物に対して過敏症の既往歴のある患者。
  2. 腎機能障害のある患者
    [血中濃度の上昇を招き中毒を起こすおそれがある]
  3. 脱水症、全身衰弱のある患者
    [体液量の少ない患者では血中濃度が上昇し、中毒を起こすおそれがある]
  4. 器質的脳障害、うつ病の患者
    [臭素中毒が潜在していることがあり、また本剤に対する感受性が亢進している場合があるので中毒を起こすおそれがある]
  5. 緑内障の患者
    [臭化カリウムの薬物体内動態及び血圧に対する作用は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡しているので、眼圧を上昇させて症状を更に悪化させるおそれがある]
  6. 低塩性食事を摂取している患者
    [臭化カリウムの薬物体内動態は塩化ナトリウムに類似し、かつ体液中濃度は総ハロゲン量として平衡しているので、吸収が促進され、血圧上昇、中毒を起こすおそれがある ]

併用注意薬剤とその理由

副作用:
本薬は体内に蓄積するのでしばしば慢性中毒を起こす。軽症では皮膚、粘膜に瘙痒、膿痂疹などの発疹を生じ、これは臭化物が分泌線から排泄され臭素酸塩となり、さらに遊離の臭素を生じるためといわれている。
また悪心、食欲不振、下痢などの胃腸障害を起こし、さらに中枢神経障害(記憶減退、無欲状態、運動障害)を起こす。
中毒を起こした場合は投薬を中止し、塩化ナトリウム12~15g を毎日3~4Lの水とともに服用させる。
これは生体内で、Br により置換された Clの位置に、再びCl を入れてBr を排泄させるためである。
循環不全、浮腫などの場合は塩化ナトリウムの代わりに塩化アンモニウムを用いる。
また副腎皮質製剤も有効であるといわれている。

一般社団法人 日本神経学会 てんかん治療ガイドライン2010 第12章 薬物濃度モニター 

 

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