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マリファナ(大麻)に含まれるカンナビジオール(CBD)の難治性てんかんに対する効果

2015年06月17日 | 治療・予防など

2015年6月号のNational Geographicにマリファナ(大麻)の特集があり、大麻に含まれる化学物質のカンナビジオール (CBD)が難治性てんかんに有効な例があるとの記事があったので、CBDについて調べてみました。

Cochrane Database Syst Rev. 2014 Mar 5;3:CD009270. Cannabinoids for epilepsy.

背景:
大麻は動物において抗痙攣効果があることが分かっている。現在、てんかん患者に効果があるのかについては知られていない。
アメリカ合衆国のいくつかの州では、てんかんに対する大麻の使用を明確に認めている。

目的:
てんかん患者の単独治療または追加治療に使用する際の、カンナビノイド(大麻に含まれる化学物質)の有効性と安全性を評価する。

方法:
2013年9月9日にそれぞれのデータベースで医学論文を検索。 
the Cochrane Epilepsy Group Specialized Register (9 September 2013), Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) in The Cochrane Library (2013, Issue 8), MEDLINE (Ovid) (9 September 2013), ISI Web of Knowledge (9 September 2013), CINAHL (EBSCOhost) (9 September 2013), and ClinicalTrials.gov (9 September 2013).
加えて、検索結果による研究の引用研究と同様に、個人的に知っている検索できない研究についても評価に含めた。

選択要件:
盲検であるかどうかに関わらず、無作為化比較試験

情報収集及び評価
2人の担当者が独立して選ばれた研究の取捨選択を実施。
主要転帰は痙攣間隔の3倍以上の長期化または1年後または2年後以上での痙攣抑制。
二次転帰は6月以上での反応者率、客観的な生活の質、有害事象等。

主な結果
48人の患者を含む4つの無作為化報告があり、カンナビノイドを治療薬として使用していた。
1つの報告は要約のみであり、もう1つの報告は編集者に宛てたレターであった。
抗痙攣薬は全ての研究で継続使用されていた。
無作為化の詳細はどの研究にも記載されていなかった。
カンナビノイドの使用群とコントロール群に分けた調査はなかった。
全ての報告の質は低かった。
4つの報告だけが有害事象の二次転帰について記載があった。
治療を受けた患者のうち、有害事象に苦しむ者はいなかった。

著者の結論:
てんかんの治療としてカンナビノイドの効果に関して、現時点で信頼できる結論は報告されていない。
1日に200から300mgの容量のカンナビノイドは、一般に短期間の間、少数の症例において安全に投与される。
またカンナビノイドの長期の安全性については確実な評価は行われていない。

コメント:
大麻の成分がてんかん発作のコントロールに効果があるとするwebsiteは多いようですが、科学的に効果と安全性を検証した報告論文はほとんどないようです。
 

一方で、2015年4月に米国神経学会で大麻から抽出された成分が難治性てんかんに有効である可能性を示す報告がありました。
 Medical Marijuana Liquid Extract May Bring Hope for Children with Severe Epilepsy 

2015年4月に開催された第67回アメリカ神経学会学術集会で報告された研究によれば、大麻から抽出した薬用液体がその他の治療に反応を示さない難治性てんかんの子供の治療として希望を与えるかもしれない。
研究の参加者は213人の幼児から成人(年齢の中央値は11歳)の難治性てんかん患者で、知的障害の原因となるDravet症候群、Lennox-Gastaut症候群の他、障害発作が生じるその他の10の難治性てんかんが含まれる。
研究参加者は大麻の成分であり、気分を高めるための精神活性の作用がないカンナビジオールを投与された。
薬剤は液体で経口で毎日服用される。
患者は全て薬剤を内服していることを自覚している非盲検試験で、研究は薬剤の安全性評価のため実施された。
研究者は被験者の薬剤内服中の発作の回数を測定し、12週間の研究期間を、137人の被験者が完了した。
発作の回数は研究の開始から終了時にかけて平均54%減少した。
研究を終了したDravet症候群の23名の患者は、研究終了までに重積発作の回数が53%減少した。
研究を終了したLennox-Gastaut症候群の11名の患者は、研究終了までに脱力発作の無菌腸発作の回数が55%減少した。
6%にあたる12人の患者が副作用のため薬剤の内服を中止した。
副作用は患者の10%以上に生じ、傾眠傾向21%、下痢17%、疲労感17%、食欲減退16%等だった。
研究著者であり、米国神経学会のフェローでもあるニューヨーク大学ランゴーン総合てんかんセンターのOrrin Devinsky医師は、この薬剤の有効性を評価するには初期の研究結果とより大規模な盲検対象比較試験が必要であると言う。
また、これまでのところ、大麻の抽出成分に関する正式な研究はほとんどない。活力を失わせる痙攣発作に対する回答を探し続けている小児や両親にとって、 特にこれらの結果は大変興味深いとも言う。

研究はGW製薬会社の支援を受けている。
また米国神経学会の2万8000人の神経専門医は、質の高い神経学的高度治療を推進している。

コメント:
まだ論文にはなっていませんが、ごく最近では大麻成分のCBDの治療効果を示す大規模な研究も行われてきており、今のところそれらの結果は難治性てんかん患者の治療改善に期待できる内容のようです。
一方で、報告された研究は非盲検試験でプラセボ効果は否定できず、指摘にもあるように盲検比較対照試験が有効性を証明するには必要になりそうです。

関連報道
Groundbreaking Research Suggests Medical Marijuana Could Reduce Seizures In Children (HUFFPOST Healthy Living)

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