SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

ドラベ症候群の患者で使用を避けた方が良いとされる抗てんかん薬・抗てんかん薬の作用機序

2016年10月08日 | 治療・予防など

他の方のブログを見ていて、ドラベ症候群の患者で発作を誘発するかもしれない薬剤に気を付けているとのことなので、そのような薬をまとめてみます。

一概に、どの薬がどの程度の確実性で発作を誘発・増悪させるかは、報告によっても異なり、有効性と同様に各個人によって異なる確率論ですが、医学論文のまとめ(review)などでドラベ症候群の患者に使用を避けた方が良いとされていて、国内で製造販売承認のある薬剤は一般薬剤名で、カルバマゼピン、ビガバトリン、ラモトリギン、フェニトイン等です(別記事:ドラベ症候群に関するレビュー記載のまとめを参照)。

各薬剤の国内で販売している薬の販売名(商品名)は下記の通り

カルバマゼピン(一般薬剤名)

  • カルバマゼピン錠「アメル」

  • カルバマゼピン錠「フジナガ」

  • テグレトール錠

  • レキシン錠/レキシン50%細粒
     

ビガバトリン(一般薬剤名)
  • サブリル散分包
     

ラモトリギン(一般薬剤名)
  • ラミクタール錠
     
フェニトイン(一般名)
  • アレビアチン散10%

  • アレビアチン注

  • アレビアチン錠

  • ヒダントール散10%

  • ヒダントール錠

  • ヒダントールD配合錠/ ヒダントールE配合錠/ ヒダントールF配合錠

  • ホストイン静注

  • 複合アレビアチン配合錠

長時間持続するけいれん発作時に発作を止める目的で使用する薬剤は注射薬か坐薬なので、上記の薬剤のうち該当する剤形はアレビアチン注とホストイン静注の2剤です。
 

上記、カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトインの3剤に共通していえることは、主な作用機序がナトリウムチャネルを阻害する薬剤ということです(下の図表で3剤と同様にナトリウムチャネルの阻害を主な作用機序とするオクスカルバゼピンは、日本での製造販売承認がありません)。

ただし、抗てんかん薬の作用機序については分かっていないことも多く、同時に複数の作用機序も持つ薬も多いため、上記3剤以外のナトリウムチャネルを阻害する作用を持つ可能性がある薬剤を内服していると、問題になるということではありません。

Pharmacological management of epilepsy 

ビガバトリンは、脳における抑制性神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)の異化に関わる酵素GABA トランスアミナーゼ(GABA-T)の不可逆的阻害剤で、脳内GABA濃度を上昇させることにより、抗てんかん作用を発揮すると考えられています(サブリル散分包500mgに関する資料)。

 

日本語で公開されている抗てんかん薬の作用機序については、日本神経学会のてんかん治療ガイドライン2010 第5章難治てんかんの薬物療法に下記の表がまとまっています。
それぞれの薬剤の作用機序は、不明な点、新たに分かってきた点、作用の程度、相互作用等と複雑なので、実際の処方薬やその組み合わせについては主治医とよく相談されて下さい。

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2 コメント

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アレビアチン終了 (佐々木陽子)
2022-08-09 08:00:28
375mg/日を服用していたアレビアチンが7月30日で終了しました。20数年間、体の中にあった薬が0になりました。
1ヶ月に5mg/日ずつ減薬しました。本人が飲みやすいように5mg単位の粉末はカプセルにしてくれた薬局と根気よく進めてくれた主治医のお陰で、在宅での減薬が可能となりました。重積があり中断したこともありました。5mg減るたびに、反動が大きく、形の変わった発作が現れ、どうなることか、本当に抜いて良いのか、何度も迷いました。救急車を呼んで緊急入院する事が何回もありました。その度に、このブログや、ドラベ症候群患者家族会の存在に励まされて来ました。
アレビアチンが抜けていくことで、反動の発作が出たり、違う発作が出たり、言葉が戻って来たり、手が動くようになったり、変化する薬への対応は本人にとってどれほど不安だったか計り知れません。でも、週に1、2回座薬が必要だったものすごくきつい発作はなくなりました。あれがないだけ、体は楽になったと思います。
痙攣重積や呼吸停止にもめげず、本人、主治医、私がアレビアチンを抜き続けられたのは、ひとえに、このブログのお陰です。本当に励ましていただきました。お礼の言葉もありません。ありがとうございました。
アレビアチンを抜きながら、ディアコミットを入れて、今は7錠/日になっています。
コロナワクチンも2回目を打てました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
佐々木陽子
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Re: アレビアチン減量 (管理人)
2022-08-29 09:23:23
コメントいただき、ありがとうございます。
また、確認及び返信が遅くなりまして、すみません。

成長につ入れて発作も変化していくもので、無事10歳になった長男は、覚醒時の発作はほとんどなく、ほとんどが朝方に発作が起きて、1回起きると1時間くらいの間隔で2-3回繰り返すというパターンになっています。

昨年末に申請されたフェンフルラミンが早ければ年内にも承認されるかと思いますし、選択肢が増える中で、個々に合った処方内容を調整するのもなかなか大変な作業だと思います。

最終的には本人と保護者の満足がアウトカムだと思うので、最近、更新していませんが、ブログの情報も参考していただきつつ、日々健やかに過ごされますことをお祈り申し上げます。
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