SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

ゾニサミド、トピラマートによる発汗抑制作用

2018年06月17日 | 治療・予防など

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」 抗てんかん薬による発汗抑制と高熱に注意

発症頻度は比較的高く、ゾニサミド服用中の患者の2.6~24.8%に発汗障害があるとの報告がある。

トピラマートは、新規の抗てんかん薬で、他のてんかん薬で十分な効果が認められなかったてんかん患者の部分発作に対する併用療法として認められている。2007年7月に認可された後、2014年5月に細粒10%の剤形が発売され、小児でも使われるようになった。同薬による発汗抑制は、成人の臨床試験においても少数に認められていたが、小児での臨床試験では、乏汗症15.1%、熱中症1.2%と比較的高頻度に発汗抑制作用が認められた。このうち「熱中症」として報告された1例(1.2%)は、高熱を伴い、重篤な副作用として報告された。

作用機序には諸説あるが、ゾニサミドやトピラマートが有する炭酸脱水酵素阻害作用が関与しているという説が有力です(下図)。ヒトのエクリン汗腺には炭酸脱水酵素があり、汗の調節を行ってる。ゾニサミドはエクリン腺中の炭酸脱水酵素を抑制し、汗腺への水の移動を抑制し発汗を阻害すると考えられている。

図 トピラマートとゾニサミドの発汗抑制の作用点
炭酸脱水酵素は二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から重炭酸イオン(HCO3-)を作る。HCO3-は能動輸送によりエクリン汗腺腔に輸送され、それに伴いNa+も輸送される。Na+の移動により、水(H2O)も血管腔からエクリン汗腺腔に移動し、汗が作られる。トピラマートやゾニサミドは炭酸脱水酵素を阻害することで、これら一連の作用を阻害し、汗の産生を抑制する。


発汗障害は、一般的に気温の上昇や運動負荷により生じることが多い。また、投与中止後速やかに正常に回復するため、可逆的な抑制であると考えられる。ゾニサミドやトピラマートを服用中の患者には、投薬時に発汗が抑制されること説明し、炎天下での運動を控え、早めのクールダウンを心掛けるよう指導する必要がある。また、炭酸脱水酵素阻害作用による利尿作用があるので、失われた水分を補給することも大事です。特に夏の暑い時期は熱中症になりやすいので注意が必要。


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