ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

佐藤史生

2018-11-08 07:19:58 | マンガ


SFマンガ好きなら押さえておかねばならない方であるでしょう。
SF、というカテゴリは昔ほど特別な括りではなくなっているように思えますが(違う?)かつては常人は足を踏み入れがたいような特殊性として見られていたような気がします。

その中でも佐藤史生のSF世界は少女マンガとしてはかなりの強面であったのではないでしょうか。今でいう「ガチ」ですね。といってもその絵柄は男性的ではなく、むしろ女らしい繊細さでできているのですが、キャラクターがクールで細身なのは女性の好みであるけど、破格に面長な主人公というのは珍しいことでした。

代表作は「夢みる惑星」そして「ワン・ゼロ」でしょうか。この二つは既読ですが、彼女の作品数は結構あって私が読んだことがあるのは半分くらいかもしれません。短編SFも秀作が多く読み返していたらはまってしまいました。

例えば単行本「チェンジリング」
表題作「チェンジリング」と「ネペンティス」
人間であるヒロイン(とんでもない形容だけども)とヒューマノイド型ロボットとのやりとりが面白い。独特の明るさとユーモアはSF好きが持つ特性でありましょうか。つまりこういう話を悲劇ではなく「面白い」と思ってしまうのがSF好きなのですね。

「塵の天使」幻想SFとでも申しましょうか。宇宙の様々な星から集めてきたものを売っている店、っていうのがなんともロマンチックではありませんか。後はもうその作家の想像力の如何によって面白さの個性が出てくることになります。佐藤史生の発想はいつも皮肉な可笑しみを持っています。

「夢みる惑星」の遠い昔的な世界観も多くの短編SFにある未来世界も憧れさせる魅力を持っています。こんな凄い着想をもつ作品がそれほど有名でないのが不思議でなりません。
アニメやドラマ・映画になった作品はあるんでしょうか。
今からでも作られないのかな、と思ってしまいます。

惜しいのは佐藤史生が2010年に57歳の若さで亡くなられてしまったことです。本当に残念なことです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿