香り、について書こうと思うのだけど、本当言うとそれほど明確な思いがないので、今までに聞きかじったこと体験したことをかき集めることになりますね。
香り、匂い、というと自分だけのちょっと不思議な思い出があります。
子供時代、冬の時期、風邪気味になった時に読書をすると独特の匂いを感じてうっとりとする感じがしたものです。これが本当に本から発せられていたのか、しかしそれなら冬の風邪気味の時に限らないでしょうし、自分だけの思い込みだったのか、大人になってからはそういう恍惚感を味わえなくなってしまったのでなんとも言い難いのです。甘いオレンジの香りに包み込まれるような思いで本を読んでいたのですが。
同じような体験をされた方はおられるのでしょうか。今まで一度も聞いたこともないのです。
しかしその体験は私をますます本好きにしていたことは確かです。あれほど良い気持になれることはなかった気がします。
つまり良い香り、というのはそれほど感覚を刺激し、快感をもたらすものでありますね。
香り、と言えば花の香りを思い浮かべることが一番多いのではないでしょうか。
秋になると町のあちこちで金木犀の香りが満ちて多くの人を喜ばせます。
薔薇の香りはとても甘く豪華な感じがします。
百合、特にカサブランカの香りの高さは有名ですね。お見舞いには控えたいほどの強い香りです。私は百合の茎を折った時の香りが好きです。
茴香(ウイキョウ)薬剤のような(というか薬用として用いられる)独特の香りがありますので、好みが分かれるのではないでしょうか。私は好きな香りです。
マトリカリアは小さくて繊細な花びらですがとても強くて香りも高く大好きな花です。カモミールとの区別がなかなかできませんが、カモミールがハーブ、マトリカリアが鑑賞用、というのが大まかな区別でしょうか。虫を寄せ付けず、心に安らぎを与えてくれるという心強い花でもありますね。
珈琲の香り。大好きな香りの代表です。町にコーヒー屋さんがあって挽きたての香りが漂ってると幸せです。
赤ちゃんの香り。一番幸せを感じる香りです。何故あんな可愛い香りがするのでしょう。
パンの香り。これも幸せの香り。
果物の香り。
柑橘類の香りは一番好きです。先に書いた読書の香りが甘いオレンジの香りなのも自分がうっとりできる香りだからです。
日向ぼっこの香り。布団の干したやつの香りとかもですね。あれはなんなんですか。
雨の香り。じとっとして嫌だと思う場合もありますが、ちょっとアンニュイな気持ちにさせてくれる良いところもあります。
美味しい食べ物の香り。ラーメン、焼き肉…生きるための香りだからですね。
早朝の香り。あれは香りというのではないかもしれませんが、朝早い時の独特の空気感は爽やかです、
新しい布、新しい紙の香り。
「源氏物語」の続編ともいうべき「宇治十帖」に登場する二人の青年の名前「匂宮」「薫の君」
貴公子らしく高価な香りを身に着けている「匂宮」
生まれつき品の良い香りが体から漂うという「薫の君」
中村祥二著「調合師の手帖」という本があります。香りのスペシャリストが書かれた本で大変興味深い話がたくさんあるのですが、その中で著者がスパイスの中で“ナツメグ”の香りを特に好む、と書かれている箇所があります。
ナツメグはストレス解消に有効であるとのことです。一時的に上昇した血圧を緩やかに収めてくれるのだそうです。
また森林浴の香りも体に良いそうなのですが、これは私は行けないものなのであきらめるしかないですね。森林の香り、という人工的なもので代用しますか。
それでも身近な場所で木々があると少しほっとするのはやはり作用があるのかもしれません。
また自分の体臭で虫を追い払った体験は面白かったです。
つまり虫を見てぎょっとしたときに自分の体臭が強まったのを(さすが調合師の嗅覚)感じたそうです。それで虫が逆に驚いて逃げたのではないかというお話なのです。犬嫌いの人が近づくと犬が反応するのも「嫌だ~」「怖い~」という体臭を発してしまうからではないかということなのです。確かにそんな臭いがしたら誰でも気を悪くします。(緊張した汗のにおいを敏感に感じる、という理由ですが)
ということは、犬好きな人からは{可愛い~」という体臭が発してしまうのかもしれませんね。これは私の想像ですけども。
よく女性が「あの男性の匂いが嫌」と言いますがこれはどちらが先なのでしょうか。
私はむしろ「あの男性は嫌い」となったから、その男性の匂いを嫌なもの、として感じているのではないか、と思ってるのですが。純粋に匂いだけで判断する、という実験でもしないとわかりませんね。
宗教にも香りはよく使用されます。
仏壇に花を飾るのも死者が香りだけは感じることができるから、と聞いたことがあります。
キリスト教での香油、仏教でのお線香など、必ず良い香りの話がありますね。
よい香りというのは良い心を感じさせてくれるのはなぜでしょうか。
良い香りが記憶に残り、忘れられない思い出になることは嬉しい宝物です。
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