今朝の産経ニュースに「米中覇権争い回避「最後の機会」」と言う記事が載っていましたが、なんだかな~という感じです。
米中対立は会談したから回避できるほど単純なものではありませんからね。
双方の大義がぶつかり合う解決できない問題だと思うんです。
麻生副総理が「米中対立「トランプ大統領の思いつきでない」」
麻生太郎財務相は27日の閣議後会見で、米国のペンス副大統領による対中冷戦宣言を重視する必要があると強調し、米中対立が安易に解消しない可能性に対して警鐘を鳴らした。
麻生氏はペンス米副大統領が10月「ハドソン研究所で行なった講演に答えが書いてある」と回答。
中国を米国に挑戦する国と位置づけた厳しい対中批判に対して「中国は公式に何の反論もしておらず、(中国側の対応が)出てこないと、(米国の対中)対応としては進んでいく」と指摘し、米中対立は長期化が必至との見解を示した。
日本にも情勢を的確な判断出来る副総理がいてよかったです(わらい
日本のマスコミもペンス演説をちゃんと取材していれば、ことの重大性に気づかないはずないのに、問題を貿易不均衡だけに矮小化しようと必死だ。
見る聞く喋る。これはマスコミの命だ。
それすら今のマスコミには期待できないと言うことか、情けない。
そんな無能なマスコミはさて置いて、米中対立はヒートアップしてきている。
中国が覇権を目指す上で最も重要な半導体産業の育成
その為に立ち上げた福建省晋華集成電路(JHICC)は60億ドル(約6790億円)規模の半導体工場。
建設は順調に進んでウエハー換算で月6万枚程度の本格生産開始までの期限が数カ月以内に迫っていた。
同事業はスマートフォンに使われる半導体メモリー生産で中国を競争力のある生産国とするための重要なステップだ。
ところがこれに待ったを掛けたのが米国司法省
米国製テクノロジーをJHICCが盗んだと主張し、商務省は同社が必要としている半導体製造装置の輸出を禁じた。
このため欧米のサプライヤー各社が晋江市(JHICC)を素通りするようになり、拡張工事は中断した。
なぜ米国は輸出に待ったを掛けたのか。
それにはまずJHICCについて知っておく必要があろう。
2015年に中国政府は中国の製造業のロードマップ「中国製造2025」を打ち出し、その中で独自のDRAMチップを製造することが国家安全保障上の優先事項であると発表しました。それに伴って中国沿岸部の産業拠点である晋江市にメモリ製造企業JHICCを設立するため中国政府は50億ドル(約5600億円)以上の資金援助を行いました。
と言うことで半導体を造るために国家プロジェクトとして創建された企業です。
ですからJHICCはメモリ製造に関する技術を持っていませんでした。
そこで、台湾のファウンドリUnited Microelectronics(UMC)からの技術供与を受けました。
UMCのスティーブン・チェン副社長がアメリカのメモリ大手Micronの子会社の従業員だったチェン・チェンクン氏を引き抜いた。
引き抜いたのはチェン・チェンクン氏だけでなく、チェンクン氏は一緒にUMCに移籍する同僚を募り、Micronが保有していたDRAM技術や営業秘密などを含む900もの機密ファイルを持ち出した。
そうアメリカ司法省は認定している。
検察当局はその機密文書の価値を「4億ドルから8億5000万ドル(約500億円から960億円)と見積もっています。
Micronは2017年12月にアメリカ・カリフォルニア州の裁判所にJHICCとUMCを企業秘密を盗み出したと訴えた。
反対に、JHICCとUMCは中国・福州中級人民法院でMicronに対して特許侵害を理由としてメモリ製品の販売を差し止める訴えを起こしており、2018年7月にはMicronの子会社2社に対して製品の販売差し止めの仮処分が下された。
これにアメリカ司法省は「盗人猛々しい」と激怒したわけです。
JHICCとUMCに加えてチェンクン氏を含む3人の個人を提訴し、さらにExport Administration Regulations(EAR:米国輸出管理規則)に基づき、JHICCをエンティティリストに加えました。
エンティティリストに加えられたJHICCに対しては、メモリ製造に必要となるアメリカ製品の輸出制限が課されます。
EARは管轄権の及ばない他国での取引にも適用されるため、アメリカからの直接の輸出だけでなく、すべての再輸出取引にも制限は及びます。
こうなると、事実上中国製メモリは製造する機器がありませんから作ることが不可能です。
取りようによっては、この紛争で一番ほっとしているのは、韓国のサムスン電子とSKハイニックスではないでしょうか。
来年には、中国市場から締め出されるばかりではなく、世界市場でも中国半導体に市場を奪われる直前だったわけですからね。
G20で米中首脳会談やりますけど、解決できる問題じゃないと思いますよ。
そんなくらいだったら、とっくに解決してると思うんです。
米中対立とは言いますが、アメリカが覇権防衛のために中国共産党体制潰しをやってるわけで、「中国製造2025」の核心事業を再開させるはずありませんものね(わらい