＞トランプ氏は習主席と貿易について協議－話し合いは「順調」
Bloomberg 2018年11月1日
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、今月のアルゼンチンでの首脳会談を前に楽観的な見通しを示した。トランプ氏は、習主席が激化する貿易戦争に終止符を打つ合意を望んでいると述べた。
米中首脳は約半年ぶりに公表された電話会談の後にコメントした。北朝鮮や貿易について建設的な話し合いが行われたと米中双方で報道され、中国国営メディアは、トランプ大統領が両首脳の「頻繁な直接対話」と、20カ国・地域（Ｇ20）首脳会議に合わせて計画された米中首脳会談を「準備する共同の取り組み」を支持したと伝えた。
トランプ大統領は１日に「協議が順調に進展している」とツイート。その後、同日のミズーリ州の集会で「彼らは取引を望んでいる」と語り、習主席が「取引をまとめたいと望んでいる」と付け加えた。
米中首脳が電話会談しただけで、株式市場が反騰に転じました。
それでは、米中首脳は何を話し合ったのでしょう。
＞トランプ氏は、習主席が激化する貿易戦争に終止符を打つ合意を望んでいると述べた。
20カ国・地域（Ｇ20）首脳会議に合わせて計画された米中首脳会談を「準備する共同の取り組み」を支持したと伝えた。
トランプ氏はツィッターで「協議が順調に進展している」と。
株式市場は、米中が話し合いで貿易戦争を終結することを望んでいる。
その願望が市場の反騰に表われたということなんでしょう。
中国は、貿易戦争終結を切望している。
これは本当のところです、貿易面ではいまのところそれほど影響は出ていませんが、国内経済は萎縮しつつあります。
貿易戦争が長期に及んでくれば、貿易面で甚大な影響が出てきます。
当初は強気に報復関税で対抗していた中国ですが、既に玉切れで対抗手段は狭められいます。
これ以上の対抗措置は、米国債の売却や中国進出の米国企業への締め付けなどですが、これをやると、米国の反発でより厳しい制裁を受ける可能性が高まります。
も一つですが人民元の引き下げでこれをやれば、貿易戦争は世界へと広がってしまいかねませんし、外貨の逃避が起きて、中国の力の源泉であるドルが、海外へ逃げ出してしまいます。
それでは他によい方法はないのでしょうか。
そこで習近平はトランプ本人と直接会って、泣きつくという策に出てきたのではないでしょうか。
都合の良いことに、11月30日～12月1日の日程で、南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催される20カ国・地域（G20）首脳会議に合わせ、米中首脳会談を開くことになりました。
＞トランプ政権、対中貿易協定案の策定指示せず＝ＮＥＣ委員長
ロイター 2018年11月3日
［ワシントン ２日 ロイター］ - カドロー米国家経済会議（ＮＥＣ）委員長は２日、ＣＮＢＣテレビとのインタビューで、トランプ政権が当局に対中貿易協定案の策定を指示した事実はないと明言し、当初の報道内容を否定した。また米中２国間の交渉の行方について、以前ほど楽観視していないとの考えを示した。
米中首脳会談は今月アルゼンチンで開催される２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会議に合わせて行われ、通商問題が議題になると確認。協議の結果次第で中国製品にさらなる関税をかけることは「あり得る」とした。
これは今日の記事ですが、１日の記事と大分様子が違います。
１日の記事ではトランプ大統領も良い結果を期待した発言でしたが、今日の記事は一転して慎重ムードな記事に変化しています。
中国には本当のところ手の打ちようないのです。
米中貿易が均衡するようにするには、アメリカからいまの３倍以上輸入を増やすか、逆に中国側がアメリカへの輸出を自粛すかしかないわけです。
一時的に米国製品を爆買いしても、すぐにもとの木阿弥に戻ってしまいますから、貿易の態様を劇的に変えるほか、貿易戦争に終わりは来ません。
ですから首脳会談で一気に解決するなぞということは起きません。
米国の事務方は分かっていることですから、電話会談後のトランプ氏のリップサービスを打ち消したんだと思います。
このニュースで、また週明け株式市場は悲観ムードに逆戻りするかもしれません。
貿易戦争は米中間の対立の本当の核心ではないのです。
貿易戦争は、これまで中国が莫大な貿易黒字でドルをかき集め、それを人民元に交換して国内の財政投資に投入し、驚異的な経済成長の源泉としてきたのです。
一方ドルは国が一元管理し、外準だけでなく、海外開発や援助に振り向けてきたのです。
ですから米国は、貿易で中国へ流れ出すドルをこれ以上放置できないということで、貿易戦争を発動したというわけですから、アメリカ側から見ても、生半可な妥協は出来ないことがわかります。
首脳会談までには、まだ１ヶ月近く有りますから、中国はその間に米国工作を懸命にするのでしょうが、結果的には徒労に終わるだけではと思います。