ふうてんの猫の猫耳東風的フリチベ生活

働きながら和製MBAと工学博士取得をしていた自称苦学生バックパッカーの日記。
今は学位もとって大阪で技術戦略考えてます

反原発についての考察

2012年09月17日 | 政治・経済・社会現象
原発についてtwitterでも散文的につぶやいていましたが、一度、自分の論をまとめようと思います

私は、安全性の確認された原発の再稼働を進めていくべきだと考えていますが、もし原発廃止について、国民が覚悟を決めるのであれば、同意せざる得ないと思っています。

しかし、その覚悟とは、相当なものだと言えますし、その覚悟を国民の大多数がしているとは思えません。
例えば、自民党から民主党に変われば、幸せになれるだろう、という程度の甘い見通しのポピュリズムの結果としての反原発に留まっていると思います

原発を各国が競って導入してきたのは、それが安価で安定した電力だからです。
核保有と結び付けたがる人もいますが、すでに核兵器を保有しているアメリカ、フランス、イギリス、ロシア、中国やインドが原発を建設していることからもわかるように、他国が原発に見出すメリットは、核保有のメリットとは本質的に関係ありません。


その原子力発電を日本が失うことで、大きく三つのデメリットがあると考えています。
一方、今の原子力行政で続けていくことにもデメリットが2つあると考えています。

3つのデメリット
1 経済成長、雇用、アジアのパワーバランスへの影響

原子力を止めたことによる火力発電の燃料代として、数兆円の増額分を海外(産出国)へ支払っています。
このお金は、原子力を動かしていれば、別の目的に使えるお金です。
この費用を電気代から徴収をすれば、日本経済には、製造業の競争力劣化や、家計の可処分所得の減少としてジワジワと効いてきます。

反原発に多い左派の諸氏は、3.11以前は
雇用、年金、生活保護などを政策論の中心において闘争していました
しかし、これらの課題は、「お金」があれば、解決する問題です。
基本的に彼らが欲していたのは、税収からの現金給付です

今まではお金を求めていた社会活動家が、反原発に転向したとたんに、
「お金より大切なものがある」
と言っていますが、本当に、「お金」を失い続ける政策をとる覚悟があるのでしょうか? 
実際には、彼らは反原発と右肩上がりの成長が両立して欲しいという、願望を述べているに過ぎません

今も、日本の領海が中国や韓国に脅かされています。

フィリピンなどの海域は、既に中国に不法に実行支配されてしまっています
フィリピンにも米軍は常駐しているにも関わらずです。
日本とフィリピンの明暗を今まで分けてきたのは、その経済力の差です。
そして、今、中国が強気に出ているのは、中国の経済力が増しているからです。

今後、日本が、反原発で経済力を失っていくなかで、中国の横暴に対抗しうるアジアの国がインドただ一国になるということは、アジアで平和や人権の樹立を信じ、行動する人たちに大きな絶望をもたらすと私は思います。



2 化石燃料の国際相場への影響

かつて、バイオエタノールにアメリカ企業が商機を見出し、結果として、トウモロコシ相場が急上昇しました。
そのマネーゲームの割を食ったのは、再生可能な燃料よりも、今日を生きる食糧を必要としていた人たちです

同様に、日本が、原発を全停止させている間に、LPGの相場は倍に上昇しました。
富裕国である日本にとっては、払える額かもしれませんが、諸外国の市民にとっては決して安い上昇ではありません。

いま、日本の先鋭的な反原発が、世界のエネルギー安全保障を脅かしています。
「火力にするから、金を払えばいいんだろ。」という態度を改めるべきです。
火力を3.11以前と同程度にできるようになるまでは、原発を動かし続けるべきです。


3 代替エネルギーによる環境破壊

再生可能エネルギーは、環境への影響が強い発電です
水力発電は生態系に大きな影響を与えますし、村を数個水没させることもあります。

地熱発電は、温泉の湯質や湯量の変化を生み出して、時として温泉街に多大な被害を及ぼします。

風力発電は、1キロ圏内に住む人たちに頭痛や不眠などの健康被害をもたらしますし、猛禽類がブレードに突っ込むというバードストライクをもたらします。(日本の場合、絶滅危惧種が、自殺するわけです)

太陽光発電は、広大な面積の土地を必要とします。それが、原発跡地などなら、まだしも、いま農地である場所に、貴重な土や生態系を捨てて、ソーラーパネルを設置することは、一種の環境破壊です。
そしてEUではソーラーパネルの8割は中国製だそうです。欧米企業は利益が出ず、東日本大震災以降に倒産が相次ぎました。

 

デメリットについては、
一つ目が、古い安全基準で作られた原発の安全性の確認や、災害時の地元住民の避難や自衛隊などの派遣ルートの確保などの事前準備が不十分であること。

二つ目が、核の最終処分の仕方が決まっていない事です

しかし、二つ目については、いま、火力で3兆円から5兆円ぐらいの追加費用を見込んでいるのであれば、数兆円をかけて、世界のどこかに最終処分地を見つけるというのは、経済合理性の観点からはあり得ると考えています。
# 最終処分地の国が、核保有をするリスクなど、いろいろとあるので、簡単ではないですが。


結論として、
国の経済を守り、アジアのパワーバランスを守り、自然環境を守る
そういうことができる範囲内で、原発を縮小させていくべきだと思います。

しかし、もし国民が、国の経済や雇用や税収を投げ出し、再生可能エネルギーのためなら農地や漁場の強制立ち退きも辞さないという、「覚悟」を選択するのであれば、反原発の道を歩むのも致し方なしと思います。

ただ、大義も覚悟もなしに、沈む船に同乗させられるのは、たまらない と思っています。

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