風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

10月28日 金曜日

2011年10月28日 | 仕事場
自動書記。

本人の意思とは関係なく、手が勝手に動いて何かを書く。
超自然現象の世界ではよく聞く言葉です。

今の私は、まさに自動書記状態。
もちろん自分の意志で絵を描いているわけですから
自分の意思と無関係に手が動くというのは正確ではないのですが…。
最近の私の描いている姿を傍から見れば
自動書記をしているように見えるかもしれません。
素直に、自分のやり方で描写に徹することを今まで以上に実行していますので
迷うことが少なく、自分でも驚くほど手が動いています。


岩の台地の街の続きです。

街明かりは、まだ色鉛筆を使って描いていますが
そろそろ絵具で描き起こす段階に来ているように思います。
崖も、相変わらずハッチングや点描のようなコマゴマとした描写をひたすら重ねています。

夜は、仕事場の窓から絶えず夜景を眺めて参考にしています。
夜に外出した時は、窓明かりがどう見えるか、建物はどのように暗くなるのかなど
夜景をできるだけ観察しています。
想像だけで描いていては、どうしても観念的で説明的な絵になってしまいやすいですから。


画面全体の雰囲気や充実感は、だいぶ出来てきました。
私の想い描いていたイメージに近づいているとは思います。
しかし、まだ状況説明に偏っているようにも見えます。
ここまで来ると、今後大きく画面が変化することはないでしょうが
何かもう一味足りないような気がしています。

いよいよ正念場にさしかかって来たようです。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


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10月23日 日曜日

2011年10月23日 | 仕事場
岩の台地の上の街。
今までとは描き方を変え、早い段階から描写することを主体にしています。


これは前回の状態。


薄めた絵具で、とにかく描写、ひたすら描写の数日間。


こちらが本日の様子。

本日の画像は少々コントラストが低くなっていますが
画像補正をあまり厳密にしていませんので、このような結果になってしまいました。
画面は徐々に暗くなっています。

このあたりで、夜景の華である窓明かりやライトアップの光を入れ始めています。


教会付近の拡大図です。

灯は、この段階ではすべて色鉛筆を使っています。
光の明るさや位置、範囲を決めるための下描きなのです。
一応決まったら絵具で描いていきます。


街並みと崖の境目あたりの拡大図です。

いつもよりカサカサした、粗い絵具を使ったような質感で描いています。
しかし絵具の粒子は最高でも11番です。


崖の拡大図です。

細部の描写はハッチング(線の集積)で描いています。
厚塗りしているように見えますが
紙の白や鉛筆の下描きが透けて見えるほどの薄塗りなのです。


さて、だいぶ仕上がりに近くなっているように見えますが
まだ私のイメージとは少し違います。
窓明かりやライトアップはもっと強く、崖や街並みはもっと暗くするつもりです。
どこまで暗くできるか…それが今回の課題の一つでもあるのです。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


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10月20日 木曜日

2011年10月20日 | 仕事場
台地の上の街の続きです。
全面に色が入りました。
最初は固有色に近い色を置くのが私の常です。



街並みと崖は、まったく同じ色を使っています。
岩黄土の13番、方解末の11番、岱赭(たいしゃ:赤茶色)などを混ぜたものです。
樹木は、岩鼠の11番、鶯色の11番、青口緑青の11番、方解末の11番などを混ぜています。
薄っすらと塗っただけですので、下描きの鉛筆や水彩が透けて見えています。
空には水色群青の11番を少し追加しています。
全面に色が入って一息。
ここまでは私にとっては下描きの延長、下準備なのです。

従来ですと、最初に暗めの絵具で少し凸凹したマチエールを作ります。
そして刷毛を使って、その凸凹を埋めていくように大雑把な彩色を始めます。
しかし、今回はその手法を全く行っていません。
よりオーソドックスに、下描きを生かして薄塗りで描写しようと考えています。



全体に少しずつ明度を落としながら夜の雰囲気に近づけていきます。
同時に、崖や街並みを描写していきます。
岩黒13番、濃鼠13番、アイボリーブラック、バーントアンバーなどを使っています。

おつゆ描きと言えるほど薄めた絵具で描いていますので
崖や街並みの明るい部分は紙の色が透けて明るく見えているのです。
従来の手法ですと、この段階では何が描いてあるのか判らないくらい形が潰れるところですが
何だか、仕上げ間近のような雰囲気になっています。

今後しばらくは、ひたすら描写していきます。

-------------- Ichiro Futatsugi.■



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10月18日 火曜日

2011年10月18日 | 仕事場
イタリア中部に点在する、岩の台地の上に造られた街。
オルヴィエートやチヴィタ・ディ・バーニョレージョなどがよく知られています。
そんな実在の街を参考にしながら架空の街の夜景を50号で描いています。
前回、7月末の段階では下図まででしたが
8月以降は制作を中断することが多くなってしまいました。
10月に入って、個展が終わって、ようやく本格的に再開です。


前回掲載した、鉛筆による6号くらいの下図です。
台地や街の基本形を考えるためのものです。

これを基にして、50号に下描きをしていきます。
しかし、単純に下図を引き伸ばすだけではありません。
画面が大きくなると、それだけで印象が変わってきますので
イメージに合わない部分は躊躇なく変更を加えていきます。

本紙(本番の紙:和紙)は50号Pというサイズです。
横116.7cm、縦80.3cm。

以前にも書きましたが、普段私は原寸大の下図はまず作りません。
本紙の下描きは、直接鉛筆で描いていきます。



これはパソコンで下図の画像と自作の16分割線を表示するアプリケーションを重ねあわせ
そのモニター画面をキャプチャして、A4サイズにプリントしたものです。
本紙にも16分割線を描き入れて、このプリントを見ながら引き伸ばしていきます。


下描きが一応終了しました。

下図に比べると、街並みの高さを低くしています。
相対的に崖の面積が増えました。
下描きは、いつものように鉛筆・水彩・薄墨を使っています。

彩色に入る前に、最初に捨て膠(膠水だけを塗る)という作業をしておきます。
今回は鉛筆を多用したため、本紙の表面がいつもより痛んでいます。
修正を重ねて毛羽立ったり、鉛筆で押さえられて凹んだりしています。
膠水が鉛筆を定着させると同時に、痛んだ表面をある程度整えてくれるのです。


彩色(下塗り)の開始です。

まずは、とりあえず空を暗くします。
絵具は、岩黒11番+岩黒13番+アイボリーブラックです。
暗くするだけですので、まだ微妙な色調などは考えていません。



街や崖は下描きのままですので、一気にコントラストが高くなりました。
私の作品は霧がかかったようなボンヤリとしたものが多いので
最初は強めに描いておかないと、画面の芯がなくなってしまうような気がするのです。

この後は崖や街に固有色に近い色を置いて
画面全体に一通り色を入れてしまいます。
そこまでは、いつもの私のやり方なのですが…

それ以降、今回は少しだけ彩色法を変えてみようと思っています。

-------------- Ichiro Futatsugi.■

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個展の御礼

2011年10月07日 | 展覧会案内
長野県松本市の梓川アカデミア館での個展は本日終了いたしました。
お忙しい中、ご来場いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。


今回は平日の3日間という特殊な開催期間で、しかも安曇野では農繁期であったにもかかわらず
思いがけず初日から多数の皆様のご来場を賜りました。
私は事情があって初日しか会場にいることができませんでしたので
2日目、3日目にご来場いただきました皆様には大変失礼をいたしました。

久しぶりにお会いする方、初めてお目にかかる方
多くの方々と歓談する楽しい時間を持てたことが
今の私には大きな励みとなりました。
今年は年頭から様々な出来事が重なり
残すところ3か月弱となった現在でもまだ一段落には遠く
制作の方も中断、また中断の日々が続いております。
今回、皆様から暖かいご声援をいただきましたので
心折れることなく、また今日も、明日も、明後日も
私にできることを、私のすべきことを
イタリアの教会の壁の石のように
一つ一つ、コツコツと、無心で積み上げて行くだけと
改めて身を引き締めております。




次回の個展は、今のところ来年10月に松本市・ギャラリー井上を予定しております。
また皆様とお会いできることを楽しみにしておりますし
私も、少しでも新たな一歩を皆様にご覧いただけるように精進してまいります。
是非またご来場いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

ありがとうございました!

-------------- Ichiro Futatsugi.■

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