風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2015年 12月31日 木曜日

2015年12月31日 | 仕事場
◆ 2匹の猫 パステル 3号 最終回




 前回の状態。

猫本体はかなり進みましたので、そろそろヒゲを描き入れ、仕上げの段階に入って行きます。
2匹とも瞳はもっと丸くし、体の模様も描き込みます。
毛のフワッとした肌触りと体の存在感の両立には神経を使います。

モデルになったニャンコたちは、なかなかの器量良しでしたので
”暗黙のサービス”をする必要はありませんでしたし
あまり表情を変えてしまっても「うちの子とは違う!」とクレームが来そうで
肖像を描くつもりで素直に仕上げてみました。

依頼者には喜んでもらえたようですので、これで良かったかなと思っています。





 「なかよし」 3号F パステル(一部色鉛筆+水彩)






◆ ヴェネツィアの運河 パステル 4号 最終回




 前回の状態。

思い切って彩度を上げるという方針で描き進めてきて、こういう方向性もありだとは思うのですが
私が抱いていた朝の光のイメージからは離れてきました。
画面に配置された物と物との関連性も曖昧になりつつあり、全体に少し騒々しくなったように感じます。

色を抑えつつ、光の表情をしっかりイメージしながら更に描き進め
最終的には下の画像のように落ち着きました。
本当はもう少し彩度を上げたかったのですが、それには格好な場所がヴェネツィアには他にありますので
来年の楽しみに取っておこうと思います。






 「朝の光に」 4号F パステル(一部色鉛筆+水彩)






◆加筆・修正 「小菊」 日本画 41 x 36cm(6号変型)




 加筆前。

6年前の作品です。
この頃はこういう茫漠とした画面が多かったのですが、最近はだいぶ好みが変わり
カチッとした形も必要だと思えるようになってきました。







 加筆後。

花の形を少し変え、花も葉も形をハッキリさせましたが、背景はまったく手を着けていません。
こうして前後を比べてみると、加筆前の状態は何かが喉につかえていて口籠っているようにも感じられます。
単刀直入な物言いが足りなかったような…。







◆ ジークレー下地のパステル サムホール  完成作と途中経過




 「雨後の聖堂」  イタリア・アッシジ サン・フランチェスコ聖堂  作品ベース

これは前回掲載しました「雨の聖堂」(次の画像)と同時に描き始めたもので
全く同じ構図、つまり同じ下図をプリントして描き分けてみたものです。

色調も大きく異なりますが、手前の回廊の照明を省略することによって聖堂を浮き立たせています。
前回は描き入れた正面壁左側の説教壇・鐘楼の照明も省きましたが
これは97年の大地震後の修復以降に設置されたもののようで
今回の方が私の取材した頃のライティングに近いのです。





 「雨の聖堂」





ここからは途中経過です。




雪の落葉松林  長野県安曇野  写真ベース

長野県安曇野市郊外の北アルプスの山裾です。
所々に点在する赤松がアクセントになった落葉松林です。

一通り色を入れた程度ですが、だいぶ形がぼやけ、明度も落ちてきています。
これから細部の描き起こしをして、画面を締めていく必要があります。
降雪を少し入れようかとも考えています。






サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂の夜景  イタリア・ヴェネツィア  写真ベース

サン・マルコ聖堂、パラッツォ・ドゥカーレ、サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂など
ヴェネチアを象徴する建造物はいろいろありますが
私が最もヴェネツィアらしさを感じるのは、このサルーテ界隈の佇まいかもしれません。

まだ空の明るい夕景の写真を元にしており、ようやく夜景らしい明度になってきた段階です。






海野宿(うんのじゅく)  長野県東御市(とうみし)  作品ベース

北国街道の宿場町「海野宿」は、私が長野県松本市や諏訪市へ通う際に利用する道のすぐ近くにあります。
宿場町の景観がよく保存されており、国が選定する「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。

元々が色の少ないモチーフですし、伝統的な日本家屋のシックさを尊重して
このまま、ほぼ白黒で仕上げるつもりです。







御射鹿池(みしゃがいけ)の秋  長野県茅野市郊外  写真ベース

私の作品ではすっかりお馴染みになりました御射鹿池です。
明治時代頃に流行った、白黒に人工着色した写真のような雰囲気を目指しています。
ほぼ白黒になるまで彩度を落としたプリントの上に、水彩とパステルの極薄の色を重ねながら進めています。






◆ シロールの猫 パステル 4号 第1回




また猫を描きます!
初めて猫を描いてから1年経っていないのに、もう3点目。
最初の1点だけでやめるはずだったのになぁ…。
その内、本当に猫専門になったりして、きゃはは!

シロールとは、北イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州にある小さな街の名前です。
絶景で名高いドロミーティ山岳地帯の緩斜面に佇む、風光明媚な可愛らしい街です。

そのシロールの、弦楽器のような背もたれの椅子の上でくつろぐニャンコです。
鉛筆で形をとり、ざっと水彩で下塗りしたところです。




それでは今年の更新はこれで終わります。
何とか滑り込みで年内の更新を果たせてホッとしています。
今回掲載する予定でした描きかけの作品が他にも数点残っているのが心残りですが仕方ありません。

来年は、ヴェネツィアをモチーフの中心に据える予定で準備を進めています。
ヴェネツィア本島もさることながら、ブラーノ島のカラフルな家の壁もなかなか面白いのです。

その他にも、北イタリアのシロール、ポルトガルのオビドスも良いし…。
ウンブリアの某聖堂のロマネスクのレリーフや、アッシジ近くの街の門も描きたいし
トスカーナの教会の廃墟、ドイツの田舎街の街並み、フランスの大聖堂の装飾も面白いし
日本では、九州にある滝も数年前から構想していますし…。

無理して捜さなくても、描きたいものが次々に出てきてモチーフには事欠きません。
とりあえず、順番待ちのモチーフに追われているという状況は、絵描きとしては健全だと思っています。
私のモチベーションは年々徐々に上がっているように感じていますので
ただひたすら、コツコツと前に進んで行くだけです。


皆様どうぞ良いお年をお迎えください!


-------------- Ichiro Futatsugi.■
コメント (2)
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