2021年に描いた作品の加筆修正です。
イタリア・アッシジの、観光客は誰一人気づかないだろうと思われるほど目立たない
壁の中の小さな祠(礼拝所)がモデルです。
一旦仕上がった際の記事
花が供えられた祠のアーチ型石組み以外の壁が
やや単調で、質感不足・雰囲気不足だったと思います。
全体の茶系の色調は、そのままでも良かったかなとも思いますが
現場の壁の色調に近い色合いに変更してみました。
◆ 「花の祠」 日本画 4号 ( 32.0 × 24.8 cm)

私は若い頃から日本画に色鉛筆を多用しています。
正直なところ、私の一番好きな、と同時に、最も使いやすい画材は、鉛筆・色鉛筆なのです。
制作途中で形が消えそうになった場合の描き起こしは、ほぼ色鉛筆だけを使いますし
最終的に絵具では描きづらい微妙な描写・調子も、色鉛筆を併用しています。
この「花の祠」でも、石と石の間の漆喰や、石の質感などは絵具と色鉛筆の併用で
最終的に色鉛筆だけで仕上げている部分も多いです。

石と石の間の白い漆喰、石の表面の表情などは、絵具の上に色鉛筆を重ねています。

花の明るい部分(黄色い部分)は、ほぼ色鉛筆だけです。
色鉛筆でどこまで、どう描くかは作品によると思います。
この作品の場合は、画面に相応しい雰囲気作りを主眼にして色鉛筆を使っています。
日本画は最初から最後まで絵具を使う、という考えは私にはありません。
絵具でしかできないこと、色鉛筆でしかできないこと、それぞれに特徴があり欠点もあります。
それらを見定めて、適材適所で使っていくことが大切なのだと思っています。
------------- Ichiro Futatsugi.■
イタリア・アッシジの、観光客は誰一人気づかないだろうと思われるほど目立たない
壁の中の小さな祠(礼拝所)がモデルです。
一旦仕上がった際の記事
花が供えられた祠のアーチ型石組み以外の壁が
やや単調で、質感不足・雰囲気不足だったと思います。
全体の茶系の色調は、そのままでも良かったかなとも思いますが
現場の壁の色調に近い色合いに変更してみました。
◆ 「花の祠」 日本画 4号 ( 32.0 × 24.8 cm)

私は若い頃から日本画に色鉛筆を多用しています。
正直なところ、私の一番好きな、と同時に、最も使いやすい画材は、鉛筆・色鉛筆なのです。
制作途中で形が消えそうになった場合の描き起こしは、ほぼ色鉛筆だけを使いますし
最終的に絵具では描きづらい微妙な描写・調子も、色鉛筆を併用しています。
この「花の祠」でも、石と石の間の漆喰や、石の質感などは絵具と色鉛筆の併用で
最終的に色鉛筆だけで仕上げている部分も多いです。

石と石の間の白い漆喰、石の表面の表情などは、絵具の上に色鉛筆を重ねています。

花の明るい部分(黄色い部分)は、ほぼ色鉛筆だけです。
色鉛筆でどこまで、どう描くかは作品によると思います。
この作品の場合は、画面に相応しい雰囲気作りを主眼にして色鉛筆を使っています。
日本画は最初から最後まで絵具を使う、という考えは私にはありません。
絵具でしかできないこと、色鉛筆でしかできないこと、それぞれに特徴があり欠点もあります。
それらを見定めて、適材適所で使っていくことが大切なのだと思っています。
------------- Ichiro Futatsugi.■
わぁお、まるで別の絵のような印象となり、全体が茶系だったのが、涼しい、花の色が素敵に見える様に変身した様で、驚きました!!
これは大変失礼な質問かもしれませんが、加筆をされようと思った時に、既にこの様な灰緑色、が頭にあったのでしょうか?
それとも、少しグレイっぽく、という様な感じで始められ、そして渋めの緑色が加わり、という感じだったのでしょうか?
こういう質問をお許しください。 というのも、私自身が加筆とか、手入れ、を始めるのは小さな箇所に気が付き始め、それが広く及び、という感じで進むからなので、
わが師はどの様に、と思ったのでした。
と、拡大された画面に見える白い線、石と石の間の漆喰の色、と書かれていますが、
使われている紙が土佐麻紙のゴツイ繊維のある紙だとお聞きしているので、
上から白の色鉛筆でなする様に掛けたときに、この様な紙の繊維が白く染まる、その様子なのでしょうか?
とても興味深く拝見しました!!
私も色鉛筆を使っているので、なおの事興味があるのかもしれませんが、
今迄は全部水彩色鉛筆のみを使っていたのですけど、
マーブル紙に描くようになる少し前から白だけは油性タイプを使い始め、仕上げの白が欲しい場所に、
で、最近は、油性タイプをそろえて、水彩色鉛筆で一通り描いた後は、油性を使い始め、徐々に使う幅が増えて行く気がしています。
そんな時と場所に応じての色鉛筆の使い分け、という事もあり、あれこれアンテナも動き始めた感じもします。
加筆を始めた当初は、この仕上がりの色調は頭にありませんでした。
元々の赤茶系の全体色をある程度残しながら
実際の壁の色調に近づけることを目指していました。
実際の壁は、長年の雨風による汚れが蓄積した黄色味のあるグレーが主体でした。
石と石を繋ぐ漆喰から色鉛筆で描き始め、全体にも絵具を薄くかけながら
また色鉛筆で細部を描き、絵具をかけるという作業を繰り返していたら
予想に反して、赤茶色は急速に消えていったのでした。
色調は、当初イメージしていたものとは少し異なりましたが
加筆の目的は、壁の質感アップと、長い時間が溶け込んだような雰囲気でしたので
こういう色調でも”よし”と判断しました。
私がよく使う土佐麻紙の裏は、とても凸凹していて
時には繊維の塊が入っていたりして、描きやすいとはお世辞にも言えません。
でも、その凸凹が私にとっては格好のマチエールなのです。
石の上の細い白い線は色鉛筆で描いたもので、紙の繊維が染まったものではないのです。
質感と雰囲気を同時に表現しようとしたものです。
描写をしたい時は、色鉛筆を普通に持ち
雰囲気を出したい時は、わざと不安定な持ち方をしています。
この細い線の大半は、不安定な持ち方をして描いたものです。
絵具も色鉛筆も、工夫次第で様々な表現ができますね。
そこが絵を描く面白さの一つですね。