風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

日本画の新作 秋の御射鹿池 20号(途中経過)

2024年01月02日 | 仕事場
本来でしたら、新年のご挨拶から始めるところですが
昨日午後4時6分頃、能登半島で震度7の大地震が発生し、甚大な被害が確認されています。

地震の瞬間、ちょうど私はこの記事を作成中でした。
震源地から遠く離れた千葉県東葛地区に暮らしていますが
テレビから久しぶりに緊急地震速報が流れ、スマホからも大音量の警報が響き、肝を冷やしました。

我が家では震度2〜3程度の揺れで、何の被害もありませんでしたが
震度5強〜6弱の揺れに見舞われた東日本大震災の時の悪夢が蘇りました。

被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。


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御射鹿池 は、長野県の八ヶ岳の裾野、茅野市豊平地区北端にある池です。

み しゃ か い け と発音します。
しかし、私は初めて知った時から み しゃ い け と誤解して呼び続けていて
それがすっかり癖になってしまいました。
おそらく、泉鏡花の「夜叉ヶ池」が頭にあったせいだと思います。

正しくはないのですが、この呼び方が気に入っていますので
この先ずっと み しゃ い け と呼ぶことにしています。


御射鹿池 は農業用溜池として昭和初期に作られた人工の池です。
全くの実用として、ひっそりと農耕地に水を提供し続けるだけの存在だったと思いますが
年月を経て、画家や写真家に注目され、観光客が押し寄せ、テレビCMにも登場する名所になりました。





2009年11月に取材した際の現地の実景。
とても気に入っているモチーフで
積雪の厳冬期以外は、もう何度も取材している場所です。

2008年に初めて描いて以降、何点も作品にしてきましたが
その神秘的な雰囲気を表現するのに、毎回苦戦を強いられてきました。

今回は急遽描き始めたもので、小下図などは作らずに始めています。
今までに描いた作品群が小下図代わりです。



◆ 途中経過




今回は、いつもとは違う描き方をしています。
通常は物の形を鉛筆などで一通り描いてから彩色に移るのですが
水際と主要な樹木の位置だけを鉛筆で粗描きし、すぐに絵具を使っています。

池の背後は丘のような小高い山が聳え、樹木が覆い尽くしています。
樹木の暗い陰の中に、落葉松・白樺・その他の雑木の幹が明るく浮かび上がる景観ですので
樹木の陰の暗い諧調の基調となるグレーを最初に全体に置き
徐々に樹木の形を描き起こしながら、明度と彩度を上げて行く方法を採ることにしました。

普段ですと、使う絵具は岩絵具の白番と粉末顔料といった微粒子のものばかりですが
樹木の形を決めて行くのに色鉛筆を多用する予定のため
色鉛筆の乗りを良くする目的で、やや粒子の粗い岩絵具の13番を混ぜています。

使っているのは天然白亜+アイボリーブラックに
岩黒(13番)・方解末(13番)を混合したものです。

主だった樹木のみ、色鉛筆で形を描き起こし始めています。






色鉛筆を中心とした有彩色での描き起こしが続いています。

まず最初に、池と山・空をざっと絵具で塗り分けました。
池と山には黄土・カドミウムイエローなど。
空にはターコイズブルー・セルリアンブルーなど。
その後、色鉛筆で樹木を描き起こしています。
描き起こしにある程度目処が立ったら絵具に切り替えます。


こうして見ると、水際のラインがやや右下がりに感じます。
そのために画面全体が右に傾いているように見えてしまいます。
水際のラインが水平で横一直線になっているわけではありませんが
少なくとも池の水面が水平に見えるように処理すべきです。

本当に右下がりになっているのか、撮影後の画像の水平補正に問題があったのか確認して
本当に傾いているのであれば修正します。


------------- Ichiro Futatsugi.■
コメント (2)
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