風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

小下図 その15 ヴェネツィア

2022年04月23日 | 仕事場
◆ 小下図 運河沿いの館 4号大( 30 × 21 cm )

イタリアが世界に誇る水都ヴェネツィアの一隅です。

何か得体の知れないものが飛び出てきそうな細い路地を歩いていると
唐突に運河に突き当たり、路地よりは開けた空の明るさと煌めく水面に少しホッとし
運河を越える短い橋を渡って、再び細い路地に吸い込まれて行く。

ヴェネツィアの大通りを一歩入ると、そんな状況の繰り返しです。

細い運河の両岸には、ひしめき合うように建ち並ぶ建物。
ビザンティン様式を取り入れたヴェネツィアン・ゴシック様式が随所に組み込まれ
ヴェネツィア独特の、異国情緒のような雰囲気が醸し出されています。

ヴェネツィアの顔とも言える風景は?と問われれば
サン・マルコ広場をはじめ、いくつかの華やかな場面を思い浮かべますが
運河沿いの景観もまたヴェネツィアの顔の一つなのだと思います。

本番では20号くらいで描く予定です。






ドローイングペンと鉛筆で描き起こし。

この画面のベースとして選んだ場所は
サン・マルコ広場の西の端から、さらに西へ200mほど離れたサン・モイゼ運河の畔です。
その景観をベースに、他の場所のディティールを組み合わせて作ったものです。







ガッシュで彩色。

比較的派手なイメージの付きまとうヴェネツィアですが
暮れなずむ頃の落ち着いた裏街の雰囲気を目指しました。

画面右端には、手前に延びる建物が少し入っていますが
結果的にほとんど存在感がなくなっていますので
これが必要かどうか、本番前に検討するつもりです。



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本日のおまけ

ロンドンのナショナルギャラリーが所蔵する
エドガー・ドガの作品「ロシアの踊り子たち」が
「ウクライナの踊り子たち」と、改題されたことが発表されました。

描かれた3人の踊り子がウクライナ人であることは、ほぼ確実なのだそうで
ドガ自身が「ロシアの踊り子たち」と題した証拠もないとのことです。



(C)The National Gallery,London、共同


今、このタイミングで改題された理由は言うまでもありません。
ウクライナの首都名は「キエフ」から「キーウ」へ。
「チェルノブイリ」が「チョルノービリ」へ。
ウクライナの地名表記が、ロシア語由来からウクライナ語由来に変更になったのは
現在のウクライナ情勢に関わらず当然のことだと思います。


ナショナルギャラリーは30年前に一度訪れていますが
このドガの作品が展示されていたかどうかは記憶にありません。
それどころか、ある1点を除いて何が展示されていたか、ほとんど覚えていないのです。
今思えば、勿体ないことをしたと後悔しています。

その時は、どうしても、何を置いても絶対に観たい作品があり
それだけを目指して行ったようなものでした。

「 聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ 」 通称バーリントンハウス・カルトン



ウィキペディアより


昔は「聖アンナと聖母子のカルトン」と呼ばれていた下図です。
レオナルド・ダ・ヴィンチが残したタブローからスケッチに至るまで
全ての絵画の中で、私が一番好きな作品です。
対面を果たした時は、動揺するくらい見惚れたことを鮮烈に覚えています。


------------- Ichiro Futatsugi.■

コメント (2)
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