風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2013年 10月31日 木曜日

2013年10月31日 | 仕事場
ここのところ「仕事場」の記事が途絶えておりました。
途絶えたとは言いましても「仕事場」の記事に限ってのことでして
月一ブログと揶揄される当ブログにしては、今月の更新はこれで3回目という快挙!
凄い! 月一ブログの汚名返上か?!

前回は8月3日でしたので、「いつまでサボっとるんだ?」という声が聞こえてきそうです。
言い訳をさせていただきますと、9月半ばまでは個展用の小品5点に集中しておりましたし
10月は私の個展、新開さんの個展と、イベントが目白押しでしたので、予定通りの休止状態。
しかし、その合間にもチョコチョコとは手を入れ続けていたのです。
とりあえず今回は、まだ生きてるよ~!というご報告がてらの更新というところです。



■シエナのドゥオーモの夜景(20号)



前回8月3日の状態です。






これが今日の状態です。

一見して大きな変化はありません。
前回とは色調が少し違いますが、今回の方が実際の色に近いです。

主に薔薇窓内部、月や雲の調整をしていました。
前回の状態は、まだ全体に平板な印象がありましたので
薔薇窓に映る夜空と、聖堂本体とのメリハリを出すことを主眼として進めています。
物の形・色調・全体の諧調は大筋で出来ていると思いますので
今後は細部の調整をしながら、徐々に仕上げていきます。

月の左下の部分は形が歪んで見えますので要修正ですね。
聖人などが彫られた壁も、まだスッキリ見えるとは言えません。
一番彩度の高い青も少し浮いて見えますね。



さて、今回はここまで…と思ったのですが
月間3回更新の快挙を記念して(?)シエナのドゥオーモの名前について少し書いてみようと思います。

普段、日本では「シエナのドゥオーモ」と呼ばれてばかりで(イタリア語では Duomo di Siena )
私の知る限り、本当の名前を紹介されることはほとんどなかったように思います。
フィレンツェのドゥオーモでしたら「花の聖母教会」という訳語をよく聞きますし
サンタ・マリーア・デル・フィオーレというイタリア語の名前もしばしば紹介されます。
ではシエナは?と聞かれて答えられる人はいらっしゃいますか?

シエナのドゥオーモの名前はサンタ・マリーア・アッスンタであると、つい最近、そこまでは聞いていましたので
それならば、イタリア語での正式名称は Cattedrale di Santa Maria Assunta(カッテドゥラーレ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ)になるはずだと思っていたのです、が…。

ははは、イタリア語を書くのは気が引けるなぁ…。
なぜって、イタリア在住22年の大目付がネットの向こうで目を光らせていますからねぇ。
すっ飛んで来てダメ出しされそうだなぁ…と思いましたので
事前に大目付にお伺いを立て、ご教示を賜ってから書いております、はい。

名前を確認するためイタリア語版ウィキペディアで調べてみたところ Cattedrale metropolitana di Santa Maria Assunta
カッテドゥラーレ・メトゥロポリターナ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタと載っておりました。
あれ? 予想とはちょっと違う!

カッテドゥラーレとはカトリックでの司教座聖堂、つまり教区を統括する教区長(司教や大司教)が座る席(司教座)のある教会ということで
要するに、司教がいらっしゃるのに相応しい格式を持った教会ということなのです。(英語ではカテドラルと言いますね)
簡単に言えば教区の中央教会ということで、ほとんどが所在地の街の中央教会(ドゥオーモ)でもあります。

サンタ・マリーア・アッスンタというのは聖母被昇天を意味します。
聖母被昇天とはカトリックの解釈で、聖母マリアは最期に肉体を保ったまま天に引き上げられたというものです。

では、メトゥロポリターナとは何?
私の頭の中のイタリア語辞書には「地下鉄」という意味しか載っていません。
聖母被昇天地下鉄大聖堂? そんなバカなぁ!
何ともトンチンカンな私を見かねた大目付がイタリア語版ウィキを見て下さり
おっしゃるには、都市部の司教達の本拠地と言えるような格式を意味する名称であろうと。
都市? そういえばニューヨークにメトロポリタン美術館ってのがありましたねぇ。
あれは地下鉄美術館じゃなくて、街の美術館というような意味だものねぇ。
シエナは、トスカーナ州シエナ県の県都でもある大きな街なのです。
つまり、都市と言えるような規模の街にあり、複数の司教座聖堂を束ねる地位にある教会を表す言葉なのでしょうね。


その後、日本語版ウィキペディアでドゥオーモ一覧というものを見つけたのですが
確かに大きな街のドゥオーモには Cattedrale metropolitana というのがいくつかありました。
でも、ドゥオーモは必ずしも司教座聖堂とは限りませんので、いろいろな名前があるのです。

シエナの少し北にあり、クリスタルグラスで知られる街コッレ・ディ・ヴァル・デルザのは Concattedrale dei Santi Alberto e Marziale
コンカッテドゥラーレ・デイ・サンティ・アルベルト・エ・マルツィアーレ
コンカッテドゥラーレとは、共同聖堂という意味があるようです。

塔の街として有名なサン・ジミニャーノのは Collegiata di Santa Maria Assunta
コッレジャータ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ
コッレジャータにも、共同教会・合同教会という意味があるようですが(大学の、という意味も)
コンカッテドゥラーレより格下ということなのでしょうか?

水の都ヴェネツィアのは、あまりにも有名なビザンティン建築であるサン・マルコ聖堂なのですが
Basilica Cattedrale Patriarcale Metropolitana Primaziale di San Marco Evangelista という長~い名前。
あまりにも長過ぎて、カタカナに直すのも面倒臭い~!
ほとんど寿限無寿限無の世界ですねぇ。
ですから普段は Basilica di San Marco と略称されています。
長い名前の冒頭に Cattedrale ではなくて Basilica という文字があるのは
永いこと司教座が置かれていなかった歴史を表しているのだと思われます。


…と言うようなことで、今回は少し横道に逸れまして
教会の名前を題材にして、実用的とは少しも言えないイタリア語のお勉強をしてみました!
アイ・カピート?(分かりましたか?)


ps

「この場合、アイ・カピート?ではなくて、アヴェーテ・カピート?が正しいぞよ」との大目付のお言葉が…。
あっちゃ~! またやってしもうたぁ!

-------------- Ichiro Futatsugi.■
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へへへ … やってしまいましたぁ!!

2013年10月25日 | 日常雑記
まずは、新開志保展の御礼から。

イタリア在住の友人の画家 新開志保さんの個展は10月20日に終了いたしました。
9日間の会期は、おかげさまで大成功と言える結果を残して幕を閉じることができました。
お忙しい中をご来場いただきました皆様には、私からも、心より御礼申し上げます。





おそらく、2・3年後に再び新開さんは作品を携えて来日されることと思います。
その折には、是非とも、より多くの皆様のご来場を賜りますようにお願い申し上げます。

ありがとうございました!!




個展会場での新開さん。
右にいるのは、どこぞの馬の骨です。



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さて、新開さんは23日の午前11時15分成田空港発のオーストリア航空機で帰国されました。
ウィーンで乗り継ぎ、ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港に降り、無事コネリアーノの自宅に戻られたのでした。
早々にご自分のブログで個展の報告記事をアップされているのですが…
ゲ、ゲェ~!! 成田空港で私がしでかした大ドジのことがバラされているではないですかぁ!!
あっちゃ~! バラしたなぁ!!
私も正直に告白しようと思っていたのに、先を越されたぁ!!
新開さんがご自分のブログで、私の予告通り、来日早々の成田空港での大ドジを告白されていますが
ついでに、道連れとばかりに私の大ドジをバラしてしまっているのです!

http://italiashio.exblog.jp/19871424/


では、その一部始終をご報告いたします。

私が車で新開さんを成田空港までお送りし、すぐに搭乗手続きを済ませました。
余裕を持って到着しましたので、出発までにはかなり時間がありました。

新開さん「へば、お茶すっか?」
私「へい!お姉様。ゴチになりやす」

私たちはスターバックスに入りました。
私は新開さんが持ち帰る2点の作品が入った包みを足元に滑り込ませました。
2人してカップッチーノを頼んだのですが…

私「スタバは他のカフェより高いけど美味しいんだよ」
新開さん「ぬぁにぃ~? これがぁ~?」

カップッチーノの本場イタリアに20年以上暮らされていて
血の半分がワインとオリーブオイルに変化してしまった人の批評は手厳しいのです。

私「展望デッキに行って飛行機を見ようよ」
新開さん「おう、よかとね!」

私は時々飛行機を見に成田に来るのですが、新開さんも飛行機がお好きだそうです。
私は作品の入った包みを提げて、2人してエスカレーターで上の階の展望デッキへ。
しばらく離着陸や駐機場の様子を眺めていたのですが、ふと私は異変に気付いたのです。

私「あれ?!」
新開さん「どうしたん?」
私「バッグがない!!」
新開さん「な、何じゃとぉ~~!!」

財布や運転免許証などが入ったショルダーバッグを肩にかけて…いないのです!!

私「スタバだ! スタバに忘れた!」
新開さん「行けぇ~! 走れぇ~! 飛んで行けぇ~、スタバにぃ~!!」

顔面蒼白、意識朦朧、前後不覚、支離滅裂。
行かなきゃ!行かなきゃ!スタバに行かなきゃ!お願いだから無事見つかってくれぇ~!!
ん? ところで、スタバってどこにあったっけ?
最近めっきり方向感覚と記憶力が鈍っている頭をフル回転させて、エスカレーターで上ってきたことを思い出し
近くのエスカレーターで下に降りたのですが、視界の範囲にスタバは見えず。
新開さんが、すかさず近くのテナントでスタバの位置を聞き出してくださり、私はその方向へ猛ダッシュ!

あった! あったぁ~!! バッグは私の座っていた椅子の下に転がっておりました。
中身も全部無事でしたぁ!! やったぁ!! ああ、良かった~!!

新開さん「良かった! 良かった! 無事に戻って良かったよぉ~!!」
私「うん、うん、ありがとう、ありがとう~!!」

私たちは抱き合って喜びました。
新開さんも嬉しそうに満面の笑顔をされています。

しかし…
その笑顔の裏にあるものを私は察知したのです。
新開さんの笑顔には2つの意味が込められていたのです。
もちろん、私のバッグが無事に戻ったことを喜んでくれているのですが、もう一つは…

『ひひひ、私のドジを散々笑ってくれたけど、所詮、君も同じ穴のムジナなんだよぉ~だ、ぎゃはは!』

常日頃から新開さんの数々のドジ話を聞いて笑い転げていた私でしたので
笑顔の奥から、そんな声が聞こえてきたような気がしてゾク~ッとしたのでした。


…以上が事の顛末なのですが、セリフなどには多少の脚色を加えていることをお断りしておきます。

来日早々に新開さんが大ドジ。
最終日には私が大ドジ。
しかも、場所も同じ成田空港で。
はい、私たちは、これほどまでに共通点の多い、気の合う仲良しなので~す。


成田空港には魔物が潜んでいますので、皆様、充分にご注意召されよ!
きっと、空港建設で住処を追われたタヌキかキツネが人間に復讐しているのです。
え? タヌキに化かされるようなヤツは、お前たちくらいのものですって?

 

では新開さんの個展成功を祝して、最後に、とっておきの一枚を!
諏訪大社上社本宮の参道での、私の会心のショットです。
掲載の許可はもらいましたよね?
かなり嫌がっていましたけど、ぎゃはは!



新開さん、トコロテン美味しいですか?
久しぶりの日本を満喫されましたか?


Sorellona shiho !  Ci vediamo ! !


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新開志保展のご案内

2013年10月08日 | 展覧会案内
最初に、私の個展の御礼から。

長野県伊那市のベルシャイン伊那店での私の個展は10月8日に終了いたしました。
ご来場いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
また次回以降の展覧会にもご来場いただけますよう、謹んでお願い申し上げます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この記事は、前回の記事より「新開志保展のご案内」を抜粋したものですが
新たな情報も加えて、多少加筆修正しています。


イタリア在住の友人の画家、新開志保さんの個展をご案内いたします。

長野市出身でイタリア在住20数年の新開さんは、それ以前に暮らしておられた広島などで何度か個展を開催されていますが
昨年のイタリアでの初個展に続き、今回は生まれ故郷長野県での初個展となります。
何卒ご高覧賜りますよう、私からもご案内申し上げます。

ペンと水彩と色鉛筆による、イタリアの風景やワンちゃん・猫ちゃんを中心にした30点が出品されます。
私も1ヶ月ほど前に送られて来た実物を拝見したばかりです。

す、す、凄いぃぃぃ~!!

私の感想は、この一言に尽きます!
新開さんの日常に満ちあふれる明るい光を画面の隅々にまで溶け込ませたような
緻密で繊細に描き上げられた、重厚かつ透明感のある作品群です。
新開さんの作品はブログを通じてずっと拝見してきましたが
画像では本当の良さは分からない!ことを改めて実感しました。
ブログで新開さんの作品をご存知の方も、是非1度実物をご覧いただきたいと思います。


さて、新開さんは10月6日に来日されました!
成田空港に到着後私の個展会場に直行してくださり、ご本人と悲願の初対面を果たしましたぁ!! きゃっほ~!!
4年ほどメールでのお付き合いが続いていますし、昨年はテレビ番組でも取り上げられましたので、初めてお会いしたという気がしませんでした。
幼い頃に生き別れた姉に何十年かぶりで再会したような気分かな? ぎゃはは!
想像していた以上に素敵なお姉様でした!!

素敵なお姉様なのですが、来日早々成田空港で大ドジをしでかしまして…。
まあ、それにつきましては本人が帰国後に告白・懺悔の記事をブログに掲載されると思いますので、私が先にバラすのはやめておきます。
どんな大ドジだったのか早く知りたい方は、どうぞ会場にお越しいただいて本人の口から直にお聞きください!

個展のために来日した新開さんではありますが、しかし、頭の中から絵のことは綺麗サッパリ消えているようです。
その代わり頭の中を占拠しているのは、ずばり日本食!
あれも食べたい! これも食べたい! 食べて、食べて、食べまくるぞぉ!!…とのことです。
それが何より証拠には、新開さんのブログをご覧になれば一目瞭然。

イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!

そりゃあね、久しぶりの日本ですから心情はお察し致しますがねぇ…。
丸々と肥えて帰国されるのは一向にかまいませんが、お腹がピーピーゴロゴロにならないようにしてくださいね!




新開志保展

10月12日(土)~20日(日)
ギャラリー橋田

〒392-0017 長野県諏訪市城南1-2550
TEL 0266-52-3420 FAX 0266-52-3653
10:00~18:00
入場無料


ギャラリー橋田ホームページ
http://www.hashida.jp

新開さんは毎日会場にいらっしゃいます


  


新開さんの作品が掲載されているブログはこちら。
水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村



長野県にお住まいの皆様へ!

長野朝日放送のテレビ番組で、再び新開さんが紹介されます。
新開さんは昨年の10月に放送された 「おぉ!信州人」北イタリアでブラボーな出会い旅 で取り上げられましたが
今回は、その番組の姉妹番組と言える短編番組「週刊・おぉ!信州人」に再び登場されます。
先日、個展会場となる諏訪市のギャラリー橋田にて収録が行われました。
そして再び私も金魚のフンのように登場する予定です、ぎゃはは!
ただし、3分間という短い放送時間ですので、どうぞお見逃しなく!

長野朝日放送「週刊・おぉ!信州人」
10月15日(火) 夜6時55分~6時59分



-------------- Ichiro Futatsugi.■
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