風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

1月14日月曜日

2008年01月14日 | 仕事場
年が明けて1月もすでに半ば。
現在制作中の作品は10点あります。
遅筆の私はなかなか完成できません。

久しぶりに水彩を描いています。
岩絵具で描く前に、試しに水彩で描くことがあります。
紙はカラーキャンソンをよく使います。
これも薄い黄緑の地色です。



これは長野県安曇野市穂高の山葵田にある水車小屋です。
穂高で最も規模が大きく、観光客の絶えない大王わさび園の脇にあり
黒澤明監督の「夢」に登場した水車小屋です。

私は穂高の山葵田の中でここが一番好き…というわけでもないのです。
小規模で、風情のある山葵田は他にもたくさんあります。
この水車小屋も元々ここにあったものではありません。
それでも広い安曇野を取材していて、疲れると、なぜかここに来てしまうのです。

丸太のベンチに腰掛けてワサビソフトクリームを舐めていると
周囲に繁茂するニセアカシアの香りを含んだ微風が癒しになります。
山葵田に面した山小屋風内装の食堂でコーヒーの香りに包まれながら
山葵の手入れをする人々をぼんやり眺めるのもいいものです。

この水彩の構図は、水車小屋脇を流れる万水川(よろずいがわ)の上流側からの眺めです。
写真を撮ったり絵を描いたりする人たちは山葵田側の下流から眺めることが多いようです。
私もそちら側から何点か描いたことがありますが、現在はこの位置が一番気に入っています。
水車小屋西側の駐車場の一番西の端から川に沿って10歩くらいの岸辺です。
川の上には樹木の枝が茂っていますから、立ったままでは水車小屋はあまり見えません。
水際ギリギリまで降りてしゃがむと、この景色が見えます。
夏場は川面が樹塊を鏡のように映し込み、一面の緑のなかに水車小屋だけが浮かび上がります。

今年また寄る機会があったら、今度はワサビジュースを試してみようと思っています。
山葵は根ばかりではなく茎や葉も辛いのです。
それをミキサーにかけて液体にしているということでしょうか。
そのままだったら口が焼けるほど辛いと思うのですが…。
はたして、どんな味がするのでしょうか。



この写真は駐車場から北アルプスを望んだものです。
ここから見て右手に万水川が流れています。
2年ほど前のものですが、生憎この日は厚い雲に覆われていました。
中央の雲の向こう側に安曇野の主「常念岳」が鎮座しています。
因みに、右手前に写っている黒い車が12月27日まで愛車だった初代「ポチ」です。

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植木の街のイタリアン

2008年01月08日 | 日常雑記
前回も触れましたが、この年末年始は徹底的に遊び呆けていました。
16年ぶりに車を替えたのが嬉しくてドライブ三昧の日々でした。
50歳を過ぎたオヤジなのですが、オモチャを買ってもらった5歳の子供と何も変わりません。
こういう状況になると、その人の本当の精神年齢が露見するものなのです。

納車から10日ほど経った1月6日の日曜日。
何となく、本当に漠然と、埼玉県の安行(あんぎょう)へ行ってみようと思いつきました。
1999年に両親が長野から引っ越して来た際、庭木を捜しに何度か通ったことがありました。
安行は植木・盆栽などの業者が集まる、関東でも有数の園芸の街なのです。
盆栽好き・庭好きの私には、さいたま市の盆栽町と並ぶ聖地の一つでもあります。

東京外環自動車道に沿った外環道路をのんびり走って安行まで来たのですが
6~7年ぶりのことで、どこに何があったのかほとんど記憶がありません。
思いつきで「安行西」という交差点で南下して街の中に入って行きました。
たまたま入りこんだ道路の両側には、安行らしく園芸業者の農園が並んでいます。
ここが安行の中心部ではないようですが、緑の多い街というのはいいものです。

しばらく進むと、左側の生垣からイタリア国旗が突き出ているのが見えてきました。
どうやらイタリア料理店のようです。
ゆっくり走りながら店をチラ見した瞬間、ピンと来るものがありました。
「ここは良いかもしれない…」
時間は昼の12時半を少しまわっていました。
まだ昼食はとっていません。

店の外観は木造で、田舎の分校のようです。
イタリアの小さなレストランをイメージしているのかもしれませんが
安曇野育ちの私には、懐かしい山の分校といった趣きが感じられます。
隠れ家っぽくて、豪華そうに演出していないところがまず気に入りました。
昼はパスタとコーヒーだけで充分なのですが
店の雰囲気と、漂うオリーブオイルのいい香りに誘惑されてランチのコースにしてしまいました。


前菜はチーズのムース。
付け合せにイチゴが添えられていて、見た目はまるでデザートのようです。
いきなり意表をつかれて、何だか楽しい食事になりそうです。
ムースと二種類のソースが期待感を高めてくれます。

スープは緑色のミネストローネ。
ほうれん草ではなく、春菊で色をつけたとのことでした。
春菊の癖を抑えながら、とても上品に仕上がっています。

メインは、パスタ・リゾット・魚・肉から選ぶようになっていて
私は魚のリゾットを選びました。
米の芯が消えかかる寸前で仕上げた歯応えは正に絶妙でした。
適度にコッテリした米と魚の塩味の組み合わせは、やっぱり日本人には嬉しいものです。
何より、スープもリゾットもベースとなるブロードがとても丁寧に作られているようです。

デザートはパンナコッタ。
パンナコッタはあまり食べた経験がなかったのですが
杏仁豆腐のような明快な風味づけが施されてあり、とても滑らかで心地よい舌触りでした。

最後の締めはエスプレッソです。
久しぶりで爽快な苦味のエスプレッソを堪能することができ
イタリアのバールの情景が懐かしく蘇ってくるようでした。

以上のコースで2300円です。
予想と期待を遥かに超えた料理が展開されて、思いがけない満足感に浸ることができました。
普通の胃袋でしたら苦しくなるくらいのボリュームもあります。
どれも口当たりの優しい味なのですが、主張すべきところははっきりとしていてメリハリが効いています。
たまたま思いついて出かけた街で偶然に入った店でした。
こいつは新年早々縁起がいいぞ!

さて、肝心のお店の名前は「ANTICO BASILICA(アンティコ バジリカ)」と言います。



メニューは、おそらく毎日変わるのでしょう。
ランチには1800~4500円の三つのコースがあります。
ディナーには5000円前後で三つのコースがあるようです。



家に帰ってネットで調べてみると、案の定、かなり評判の良い店でした。
給仕をしていたオーナーシェフの奥様と思しきご婦人によると
普段は混んでいることが多く、予約をした方が安心とのことでした。
6日は正月明けで、たまたま空いていたようです。
私の家からは車で一時間くらいかかりますが、たまにはここまで出かけてくる価値は充分にあります。
安行近郊の方には是非お勧めします。

唯一心残りだったのはワインが飲めなかったことです。
飲酒運転は絶対ダメですからね。
ワインのないイタリアンは、三つ葉のない親子丼と同じで画竜点睛を欠きます。
今度は公共交通機関を調べてから出かけるぞ!

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さよなら「ポチ」

2008年01月07日 | 日常雑記
遅ればせながら、新年のごあいさつを申し上げます。
年末年始はずっと遊び呆けていて、ブログを書くことなどすっかり忘れていました。
今日から心を入れ替えて、真面目に地道に暮らして行きます。

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人生に別れはつきもの。
肉親や友人・知人からペット・物に至るまで、たくさんの別れを経験します。
最後には自分自身がこの世とサヨナラすることになります。

昨年末、16年間乗り続けた愛車と別れました。
1991年2月28日にやってきた初めてのマイカーで、我が家ではいつのまにか「ポチ」と呼ぶようになりました。

***

私はペットを飼うなら柴犬と決めています。
柴犬以外は考えられないほど好きなのです。
携帯の待ち受け画面もずっと柴の仔犬ですし、免許証入れにも写真が入っています。



しかも名前は「ポチ」と決まっています。
それ以外にはありえません。
オスだろうとメスだろうと関係ありません。
メス犬に「ポチ」と名づけたら一生恨まれるかもしれませんが
私にとって柴犬は「ポチ」なのです。
日本童話界の大御所である花咲爺さんの愛犬以来の由緒正しい名前なのであります。
しかし、残念ながら我が家には本物の柴犬はいません。
ペットの飼えないマンション暮らしの身にとっては、いまだ見果てぬ夢なのです。

***

16年間雨ざらしの割には外観は遠目には綺麗でした。
小さな傷は数え切れないほどありますが、日陰で見れば新車時代の面影は残っています。
それでもこの一年、屋根の塗装が急速に傷んできました。
白いシミができたかな…と思ったら、たちまち白変が広がって剥げてきたのです。
「ポチ」のボディーカラーは黒です。
非常に目立ちます。
錆びているのではなさそうなのですが、私の頭と同じようにみすぼらしくなってきました。
飼い犬は主人に似ると言いますが、16年も使うと車も持ち主に似てくるのでしょうか。


 ↑「ポチ」の頭(部屋の窓から見下ろした様子)

 ↓ 私の頭(まもなく52歳)


老化現象は塗装だけではありません。
駆動系からは時々異音がするようになり、エンジンを切ると冷えるにつれてカーンカーンと大きな音も出ています。
昨年から仕事で月に一度は長野へ出かけるようになって、先行きの不安も感じ始めたところでした。

私は10万キロに達するまでは乗り続けようと決めていました。
我が家のスケジュールでは、10万キロを超えると予想される今年4月頃に買い換える予定でした。
ところが12月中旬、購入候補の車を見るだけ見に行こうと出かけたのですが、何とその場で購入決定!!
必要な書類を数日中に揃えれば年内には納車できるとのこと。
私は本当に見るだけのつもりだったのですが、我が家の財務大臣の主導の下、あれよあれよと言う間に決まってしまいました。
度胸・決断力共に財務大臣には遠く及びません。

そんなわけで12月27日、「ポチ」に乗ってディーラーに出向き、二代目を連れて帰ってきました。
私は物に対しても情が移りやすい性格なので、何も考えずに努めてサラッと別れてきました。
10万キロには僅かに届かず、総走行距離98862キロ。
16年間本当にお疲れ様でした。

「ポチ」のいた駐車場には、顔も色も違う二代目がポツンと座っています。
きっと、こいつとも永い付き合いになるのでしょう。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


コメント (2)
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