風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

何気に松茸の話などを…

2010年10月19日 | 日常雑記
自慢するつもりは毛頭ありませんが…

長野の親戚から実家に松茸のお裾分けが届きました。
そして我が家にも、お裾分けのお裾分けが配給となりました。

今年は松茸が大豊作なのです。
市価は平年の半額程度。
それでも、とても椎茸並みというわけにはいきません。
平年の半額程度と喜んでいるのは、それなりに懐具合に余裕のある人の場合。
私ら庶民は、麗しき香りに鼻をくすぐられながら、そのまま素通りするしかないのです。





信じられないことに、昔、松茸は庶民の秋の味覚だったのです。
事実、私の父親(80歳)が語るところによると
父親が幼少の頃は、田圃の畦道にすら松茸が生えていたそうです。
食卓に並ぶのは、昨日も松茸、今日も松茸。

「また今日も松茸かよ…」

そういう許しがたい不満を、日常的に呟いていたのだそうです。


松茸は、主に赤松という内陸部に生息する松の根本に生えます。
赤松があればどこでもOKというわけではなく、特定の条件が整った場所に生えます。
松茸の生える場所を「シロ」と言います。
赤松の根本の周囲の地中に、根本を取り囲むように、松茸の菌糸が環状の「シロ」を形成します。
年々「シロ」は同心円状に外側に移動して行きますので
松茸の生える位置は根本から次第に遠ざかっていくことになります。
そして、やがて「シロ」は衰退し、松茸は生えなくなります。


自慢するつもりは毛頭ありませんが…

私は松茸探しが結構上手いのです。
高校生~大学生の頃、父親に連れられてずいぶん経験しました。
安曇野の旧実家の裏山にも松茸が生えるからです。
当時はまだ止め山(権利者以外は入山禁止)でない場所が結構ありました。
しかし、闇雲に捜しても見つかるわけではありません。
何より、「シロ」のある場所を知っていなければ
しかも、誰も知らない「シロ」を知っていなければ、発見することはまず不可能です。

地面からニョッキリ突き出て、傘の開いているものは誰でも見つけられます。
見つけにくいのは、地面から顔を出すか出さないかという程度の、傘の開いていないものなのです。
こちらの方が美味しいんです。
松茸探しは、僅かな地面の盛り上がりと匂いを頼りにします。
腰を低くして、山の斜面の下側から見上げながら探していきます。
地表に堆積した落ち葉が、僅かにポッコリと盛り上がった場所があったなら
逸る気持ちを抑えて、落ち葉をそっと退けてみます。
発見したら、松茸の根本に木の棒などを深めに突き刺し、テコの原理で上に押し上げます。

で、運良く松茸をゲットできても、これで終わりではありません。
大切な仕事を忘れてはいけません。
地面には穴が残っていますから、ちゃんと埋め戻し、表面に落ち葉を敷いておくのです。
掘り取った痕跡を残しておくと、他人に「シロ」を教えてしまうことになりますからね。

一般の人は…落ち葉に隠れているものを発見するのが難しいため
地表を手当たり次第掻き回してしまいがちです。
そうすると「シロ」が破壊されて生えなくなってしまいます。
私も一般人ではありますが、そんなマネは絶対しません。
松茸の生育環境は非常にデリケートなのです。
「シロ」を壊さないようにキノコだけを採取する。
それが鉄則というものです。
それが松茸における環境保護というものなのです。

イヤミな言い方かもしれませんが…
そのような理由で、私は若い頃から比較的松茸を食べ慣れているのです。
自慢するつもりは毛頭ないのですが…


しかし、10年前に両親が安曇野から引っ越して以来
ほとんど口にすることはなくなっていました。

と言うことで、今夜は久方ぶりに信州産松茸の炊き込みご飯をいただきました。

ところで…
皆さんは、もうお召し上がりになられました?
え?
声が小さくて聞こえないのですけど…。

自慢するつもりは毛頭ありませんでしたが…
松茸のお話は、これでおしまい。


-------------- Ichiro Futatsugi.■


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2 コメント

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Unknown (shinkai)
2010-10-21 06:13:12
こんばんは!
あはは、自慢するつもりは毛頭ありませんが…、ですって?! 大きな声で、繰り返して、自慢されているではないですかぁ!!
いやぁ、美味しそうです!! 
今年はポルチーニの入ったパスタはあれこれ食べましたが、大きいのを家でバター炒めして食べるのをうっかりし忘れました。 悔しい、来年は大きな写真を載せる事にしよう!

それにしても、お父様よりはかなり若い私めも、子供の頃松茸を焼いてご飯の時に食べさせられるのがちっとも美味しいと思えずに、不満だったのを思い出しました。ははは。
今罰が当っている事、確実ですねぇ。

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Unknown (二木一郎)
2010-10-21 10:31:44
ポルチーニの本場のshinkaiさん、こんにちは。

ポルチーニのバター炒め!!
あ~羨ましい!悔しい!
ポルチーニの名前を出されると、松茸の自慢話も霞んでしまいますね。

松茸の記事を書きながらも…
内心はポルチーニが食べたい!タルトゥーフォが食べたい!と、実は思っていたのでありました。
毎年秋になり天然のキノコが店頭に並ぶのを見ると、もちろんそれらも楽しみではあるのですが
条件反射のようにポルチーニとタルトゥーフォの姿が頭に浮かぶのです。
私がイタリアを旅したのは秋冬が多かったものですから、楽しみの一つがキノコ類でした。

ポルチーニ様とタルトゥーフォ様のご尊顔を拝すことができなくなって、もう20年近くになります。
来年は是非、飛び切り美味しそうなポルチーニ様のお写真を、思い切り自慢げに載せてくださいね。
私も速攻で羨望と嫉妬のコメントを入れさせていただきますので…。
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