Groovista Blog

Copyright©2006-2010 Groovista All rights reserved

いたい。

2005年09月13日 | 

大石 圭【死人を恋う】

石原は自殺しようと入った山の中で、
偶然、集団自殺の場面に出くわす。
死人たちの中で一人の女子高生に惹かれた石原は、
その死体を連れ帰り、犯し続ける。
欲望を抑えきれなくなった石原は、その後も次々と女性を…。

ネクロフィリアという言葉がある。
ネクロは“死”、フィリアは“愛”。
つまりは死体への愛や死姦を表す言葉だ。
そういった感情や性欲が世の中にある事は、
歴史を見ても事実だ。
しかし、僕はそれに甘美で淫猥な感情を抱く事は無い。
美しさも切なさも感じない。
この小説は、
倒錯者の犯罪を描き続けているだけなので、
嫌悪感しか覚えない。

先日、実際に起こった殺人事件と同じように、
この小説でも自殺サイトが使われる。
死にたいと思っている人が集まる場所が現代にはある。
他人の死に魅力を感じる人間にとって、
そんな都合のいい場所は無いだろう。恐怖だ。

自殺は特に若い世代~中年では死因のトップだ。
生きてても辛い事ばかりの人に、
生きていれば良い事も…なんて言うつもりは、
サラサラ無い(知り合いだったら必死で止めるが)。
しかし、思春期には時に厭世観を持つこともある。
自分の存在意義に疑問を持つこともある。
成績や恋で悩み、死の魅力に取り付かれることもある。
そういう、思春期の自殺願望と、
現実的に追い込まれているのでは根本的に違うと思う。
自殺サイトは本来なら自分で抜け道を探せた人の背中も、
ポンっと押しているはずだ。
これまで、一緒に自殺してくれる人なんていなかったのに、
今は、それを探すのがそんなに難しくない。
ネットが普及して光が強くなっただけ、
闇の濃さが増したようなものだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿