物凄いものを観てしまった。。。
美術も衣装も所作もひたすらに美しいんだけどキレ味ハンパない。
「昔話だと思う?」とカメラ目線で訴える視線が痛い。
こんなに美しい自然なのに、牢の中で刑を受けているような人生よ。。
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女の子を産んだ途端「男じゃないのか」と言われた、というのは最近ツイートで読んだ話。
21世紀の日本の話。
この映画は19世紀のベトナムの話。
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ほとんど〝産む機械〟として嫁にとられた3人の夫人。
しかも〝男を産む〟ことを望まれている。
この3人、微妙な関係性ではあるけど、お互いに境遇の辛さは誰よりもわかり合えるので、
この牢獄のような家でなんとなく力を合わせて生きている。
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しかし、
妊娠した第三夫人が果物を食べようとすると
第一夫人が「果物はお腹に障るからダメよ」とストップかけて
自分は果物パクパク食べるという地獄シーンもあり。
これがポスターに使われている三夫人がピクニック的なことしてるシーン。
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養蚕と家畜のシーンをたっぷり見せてきて、
どのシーンも迫力だし綺麗。
蚕は幼虫のときに自分で頑張って細い糸で繭を作って
「さぁ成虫になるぞ」ってとこで
人間に茹でられて糸だけ抜き取られる。
女性らはその絹で編んだ美しいアオザイを着てる。
蚕や鶏や牛を長々と映すことで
女性らも「子供を産む」という点のみを搾取されていることが浮き上がってくる。
この残酷さ。。
女性監督ならではかと。
男性ではここまでは踏み込めない。。
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ラストもすごい。
ラストは賛否両論あるだろう、っていう感想を観ましたけど
そうでしょうかね。
「そりゃそうだろうよ…」って思うラストでした。
それでも衝撃でしたが。
ラストについては以下に。。
第三夫人は娘を産む。泣き止まない赤ちゃんの口元で毒草を揺らす。
息子に嫁いできた女の子は息子に拒絶されて、「唯一の役目さえ果たせないのか!」と父に言われ、川で首吊り自殺。
「大きくなったら男になりたい。仏様に頼んでるの」と言っていた孫娘は長い髪を自分で切り落とし、カメラ目線。
エンドロール。
しばらくは川のせせらぎの音。
からの歌。
終わり