Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

大日影トンネル遊歩道

2015-05-03 23:40:08 | 甲信越


山梨県甲州市には廃線となった鉄道用隧道を見学することのできる大日影トンネル遊歩道があります。
鉄道隧道を歩ける場所はなかなか珍しいです。


国鉄中央本線用の隧道として、大日影トンネルが掘られたのは1897年(明治30年)のこと。

東海道本線と中央本線は同じく首都圏と中京圏を結んでいる鉄道路線。
しかしに東海道に沿って海側の平野を中心に走行する東海道線とは対照的に、中央本線は甲州路・木曽路といった山間部を通る路線です。
そのため、いくつもの隧道が掘られました。
東京の高尾と山梨の甲府までの区間で、最も甲府側にある隧道が、大日影トンネルです。

5年の歳月をかけて貫通し、翌年の1903年に開通しました。
長きに亘って、首都から甲信地方への動脈を支えてきましたが、新トンネル開通のため現在はその役目を譲り、遊歩道となっています。



勝沼ぶどう郷駅から、鉄道遺産歴史公園を通って線路沿いに続く階段を登った先が大日影トンネル遊歩道の入り口です。
トンネルなので、勝沼寄りの出口が菱山口、反対側が深沢口と呼ばれています。

手前のポケットパークまでレールが伸びており、トンネル内へと誘います。
明治の風格を残すトンネルの隣には現役の新大日影第一・第二トンネルが口を開けています。
運が良ければ、振り子式のスーパーあずさ号が通ったりもするビュースポットでもあります。







トンネルは往時の雰囲気を保っており、レールもバラストもそのまま。
直線に掘られているため、遥か遠くに深沢口の外光が確認できます。
馬蹄形の狭いトンネルが1367.80mも続いていると、気が遠くなります。

1903年より94年間、列車が往来した歴史が煉瓦に染み込んでいるようです。

近代化に貢献した隧道は各地にありますが、その多くが遺産となる前に閉鎖されてしまうことが多いのですが、この大日影トンネルはJR東日本より甲州市に無償譲渡されました。
そうして今日、貴重な近代遺産に見て触れることができるのはありがたいことです。







菱山口から入って右手の壁には36か所の待避所が、定期的に設けられています。
このトンネルの歴史や遺産についてのパネル展示が設置されていましたが、最近ではアート作品が置かれたりして、展示スペースしても利用されているようです。
金属的な作品なので、トンネル内の雰囲気とも合っているような気がします。


左手には2か所、比較的大きな待避所があり、ベンチが設置されています。
どこかバス停のような不思議な雰囲気があって好きです。
写真家・丸田祥三氏の『東京幻風景』にも紹介されていました。






深沢口に近づくと、線路上に水路が出現します。
トンネルを掘る時には地形の特性上、湧水にも悩まされたようです。

そのため、トンネル内の深沢口寄りの約330mに水路が開削されました。
トンネル内に水路をつくることは珍しいようです。

近年でも漏水対策の大規模な工事を行っていることからも、本当に湧水の多い土地のようです。


私はさすがに音を上げて、反対側の深沢口に出ずに引き返してしまったのですが、トンネルを出るとワインカーブがあります。
このワインカーブは大日影トンネルと同じく廃線となった旧深沢トンネルを利用したトンネルワインカーブだそうで、利用には予約が必要とのこと。
少し気になります。

 








さすがに長時間トンネル内にいると、外の景色が恋しくもなったりしますが、煉瓦や鉄道標識など往時の姿をとどめた世界は一見の価値があります。
トンネル内は平均気温を保っているので、夏には涼しくて避暑にも最適。

通り抜けると約30分かかるので、往復で一時間。
歴史を感じながら歩いてみてはいかがでしょう。




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