ミスマルカ興国物語 X (角川スニーカー文庫) 価格:¥ 630(税込) 発売日:2012-04-28 |
読了。
このシリーズもついに10巻の大台に突入。刊行ペースの関係でブランクが長くなりがち。
続きを楽しみにしている読者としては、他作品と並行してる&その他作品を読んでないせいで、一冊ずつのスパンが長めになるのがキツイですね。まあ、そのおかげで少しくらい「積ん読」しても気にならないという利点(?)はありますが。
なにはともあれ、今回も面白かったです。
ただ、ここにきて上記した「他作品を読んでいないこと」の弊害がワリと大きめになってしまったのは少し残念。あ、残念と言っても作品に対してネガティブな意味ではなく、「こんなことなら他作品も読んでおけばよかった」という、あくまでも自分の中に向けての感想です。
きっと「ウィル子って誰だよ!」とか、他の読者さんたちは感じないんだろうなあ。林トモアキさんってコアなファンの多そうな作家さんなので、著作をすべてカバーしてる人が大半なように思えてしまうのだわ。そろそろ一つくらいアニメ化してもおかしくは……いや、それは余談か。
以下雑感。
・ユリカかわえええええ!!!!! あまりにもパワーのあるメインヒロイン的振る舞いのせいで、ジェスの相手役ってのを失念しそうになりましたよ。黒歴史が明らかになったときの挿絵になにか大切なものを奪われた気がします。そう……僕の心という……(以下検閲削除)
・しかし帝国編に入ってから三皇女のヒロイン力が高くて毎回楽しいですわ。こんなことならマヒロはさっさと帝国に降るべきだったね! 7冊くらい無駄にしたよね!
・パリエルが本格的に「パリエルさんとはなんだったのか」と囁かれそうな立ち位置になっているのが泣けるというかなんというか。今後も間違いなくメインストーリーに絡んでくるであろうキャラなのに、驚くほどパッとしないのは悲劇を通り越して喜劇。前巻までは「ひょっとしてもう一人の主人公みたいな立ち位置なのかな」と思っていたんですが、今回吐露した胸の内によると、白馬に乗った王子を待つ乙女のようなことを考えていたらしいですし、マジで林トモアキさんはパリエルをどうしたいのか。
・つーか、マヒロがパリエルの振る舞いにチクリと苦言を呈したり、最終的にマヒロとシャルロッテの手のひらの上で踊ってるということがわかったりしたとき、読者がちょっとスカッとしちゃうようじゃアカンと思う。いや、敵役として描いているなら、これ以上ないってくらい正解なんでしょうけどね。さすがに完全な敵には……なる……のか……?
・ちなみに今回一番意外だったのは、シャングリラが生存したこと。でもメタな視点で考えると、さすがにそろそろ物語の着地点らしきモノが見えてきて然るべきなので、そのための「物語における重大なネタバレを抱えるキャラ」が現れてもいいころでしたからね。そういう意味じゃ、マヒロが世界の真実に近づくためには必要なピースだよなあと思ったり。
・と、まあ、大筋において面白いんですが、ひとつ引っかかったのは今回いきなりエーデルワイスに小者臭が漂い始めたこと。ミスマルカ崩壊時には、作品の底の知れなさを演出する上での最大の要因だっただけに、ここにきて感情らしきものを覗かせはじめたのは、ガッカリしたとまでは言いませんがかなり意外でした。この作品って、大物感を漂わせてるキャラが、話が進むにつれてどんどん小物くさくなりますよね。人間(魔人もいるけど)なんて一皮剥けばそんなもの……というような描写なんだろうかコレ。
また続きが読めるのが半年後というのは辛いですということで一つ。