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【ラノベ】ハイスクールD×D 11

2012-05-13 | ライトノベル
ハイスクールD×D 11  進級試験とウロボロス (富士見ファンタジア文庫) ハイスクールD×D 11  進級試験とウロボロス (富士見ファンタジア文庫)
価格:¥ 672(税込)
発売日:2012-01-20

 読了。

 イッセー、墜つ

 気づけば敵味方が入り乱れるようになっていますが、黒歌の描かれ方を見ていると、もう完全にヴァーリチームは味方側になったと考えてよさそうですね。もちろん雌雄を決するために戦うことにはなるんでしょうけど、いわゆる〝悪役〟ポジションではなく、正々堂々と戦うライバル的存在というか。
 しかしこの作品、人質を取ったりする外道な行動に出たキャラが片っ端からやられ役になるからホントわかりやすくていいわwwwwwwヴァーリ本人は言うまでもなく、黒歌なんか最初は鼻持ちならない部分があるように書かれたりしてたのに、いつの間にか「こいつらの行動にはいつも正当性がある」みたいな書かれ方になりましたからね。初登場時からブレてないのってサイラーグくらいだよなと思ったりも。
 ただまあ、僕はべつにブレるのが悪いと言っているわけではなく、このあたりの臨機応変さが作品のウリになっているのは、ライトノベルにおいてはすごい武器だと思ってます。
 この手の作品はどうしたってマンネリ化が進んで10巻を過ぎると急激につまらなくなったりするものですけど、『ハイスクールD×D』にはそういう雰囲気がないのが素晴らしいですよね。また同様に、新キャラを投入しすぎてインフレが激しくなりすぎたり、既存キャラの出番が削られてしまうのもつまらなくなる要因のひとつなんですが、今作は逆にそれらもウリにしてしまっているのがスゲエ
 や、このへん、作者の石踏さん自身のセンスやバランス感覚が優れているというのはもちろんのこと、実は編集さんの手腕が大きいのではないかと思いました。
 僕はこれまで富士見ファンタジア文庫の編集さんの能力を疑問視しており、上記した「臨機応変さ」というのがいつも裏目に出ていた印象しかなかったんですよ。いくつかの作品で急に方向性が変わったりするのは、まさにこの部分で失敗していたからに他ならないわけで、『ハイスクールD×D』で全てが上手くハマった例を目の当たりにして、ちょっと見直したという感じです。ハイ。
 以下雑感。

・相変わらず導入のハーレム描写は心を和ませてくれる。ここで小猫が体調悪そうにしていたあたりで、「今回は小猫メインなのかな」とわかるのもこの作品ならでは。しかし前の巻からリアスがメインヒロイン街道を突っ走り始めたのはいいんですけど、そのせいでアーシアの影が薄くなっているような……。このままサブヒロインAみたいになったら悲しいし、リアスとアーシアのダブルヒロインが好きだったので復活して欲しい。

・ドライグが薬漬けになっててワロタ。精神病みすぎ。

・匙が急に〝色々なことを弁えたキャラ〟になっているのが少し面白い。やはり読者から反発の声が大きかったのか、ライバルというよりもイッセーをひたすら持ち上げるキャラになり、レーティングゲームで使った曰くつきの『反転』も禁じ手にすることを宣言するなど、主人公チームの障害になりそうな要素を完全にスポイル。その反面やはり未練はあるようで、シトリー眷属内における匙の立ち位置の説明はあった。ホントはあのあたりをスピンオフで書きたかったんだろうなー。でも人気投票でイッセーがヒロインを抑えて上位に入っているのを見ても明らかなように、皆はイッセーの活躍を求めてこの作品を読んでいるわけで、もしも匙主人公のスピンオフなんてやったらお寒いことになってたでしょうね。変な方向に進まなくてよかったよかった。

・試験勉強や修行を頑張る系の描写に、それを手伝うヒロインたちという形でハーレム感を出すのは上手いと思う。読者だって怠惰な主人公より、何事にも頑張る主人公のほうが好意的に見られるだろうし、ただ主人公が頑張るというだけではなく、それを手伝わせることでヒロインたちの「良い女」描写を忘れないのはさすが。ぶっちゃけ他作品だと、「私が主人公君を手伝う!」「なによ! 主人公君は私が手伝うの!」みたいに争いはじめて、結局邪魔するようなオチになるのが珍しくないので逆に新鮮。あとイッセーが実技試験で対戦相手を倒したときの描写は、『ドラゴンボール』における亀仙人の修行直後の悟空たちを思い出した。懐かしい。

・「せ、先生っ! 大変なことになってる!」からの流れで腹筋崩壊。ここにきてついにリアスのおっぱいへの譲渡設定が回収されるとは!!!!!!! ……どーでもよすぎるwwww

・しかしおっぱいビームはともかく、そのあとでしぼんでしまったリアスの胸を小猫と見比べて、それを鋭く察した小猫がものを投げつけてくるというのはニヤニヤしてしまった。ギャグ描写ですらニヤニヤを誘発させる『ハイスクールD×D』恐るべし。

・そして衝撃(?)のオチへ。コレ、リアルタイムで読んでた人は続きが気になって大変だっただろうなあ。僕はアドバイスに従って12巻を買ってから読んだから問題なしですが!

 つーわけで非常に面白かったですということで一つ。