はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ) (HJ文庫) 価格:¥ 650(税込) 発売日:2010-05-01 |
読了。
ライトノベルネタバレスレで、最新巻に関するネタバレを見て興味を惹かれたので買ってみました。「最初は婚約者がいたとか、婚約者が主人公の身代わりになって死んだので主人公を憎んでいたとかって設定のヒロインが、最新刊では「実は最初から主人公のことが好きだった」ってことが明かされた」みたいな。気になるでしょコレ。
しかしこの作品、実は某俺TUEEスレだと微妙扱いされていたので、かなりの冒険。
どちらかというとハーレム要素に期待して吶喊。
んー、微妙! 1巻読んだ感じだと評価保留かなあ。
というか、面白くないわけではないんですよね。物語の展開に関して「もっとこうすればいいのに」というのは特に感じませんし、起承転結がよくまとまっていると思います。何より重要なのは、作品の様々な設定が非常に好みのものだということで、初っ端から「この設定でどんな物語が展開されるんだろう?」と期待感を煽られました。
しかしまあ、結論から言うと、その期待にふさわしい内容ではなかったかなと。設定などが完璧に自分の好みなのに、中身が微妙なラノベというと電撃文庫の『SAO』などが思い浮かぶんですけど、こういうのってめちゃくちゃ勿体ない感じがしてしまうんだよなあ……。
以下雑感。
・まず第一に主人公の暁月が微妙。暁月自身がトンデモナイ大口叩いたり、作中で周囲が持ち上げるほど、読者目線では「すごいキャラ」という感じがしないのは致命的。強大な敵の存在を匂わせたり、登場させたりするのは、あとの展開を考えると有効かもしれませんが、確実に爽快感を奪っていると思います。
・またバトルにおいて対戦相手と接戦を繰り広げるのは、このバトル単体に限っていえば緊迫感を演出するために必要かもしれませんが、更に強い敵が存在するというのを示した状態だと「え……あんだけ偉そうなこと言っておいて、もう苦戦しちゃうの……?」としか感じないのは僕だけじゃないと思うんだけどなあ。
・このへん、作品スレで見かけた「作品の謳い文句は<強くてニューゲーム>だけど、実際にはデータ引き継ぎで続編をプレイしている感じ」という感想は、非常に的を射ていると思う。
・第二にミュウにあまり魅力を感じないというか、登場キャラが全体的に魅力に欠けるというか、登場するキャラが多いワリに印象に残りにくいので厳しいなと。導入で出てきたメイド隊やツンデレ姫のほうが生き生きしてるってのはどうなんだろうなあ。すぐに現実世界に戻ってきちゃいますけど、むしろ異世界で戦う話を書いたほうが面白かったのでは? みたいな。
・第三にBABELの設定がわっかりにくい。ちゅうか色々な意味で、「規模」がピンとこないんですよね。たとえば作中では自分にもっともふさわしい武装が現れるアイテム「AD」が存在し、暁月は能力が膨大かつ特殊だったから七つ直列で繋がないと使えなかったという展開なわけですが……。ぶっちゃけ、いくら七つ直列繋ぎにしようが、結局は人の手で作られたものでどうにかなってしまっているわけで、これによって暁月というキャラのスケール感がこぢんまりとしてしまった印象が強いです。
・ようするに、強くてニューゲームという謳い文句を誇大広告のように感じたり、本来は強いはずの主人公のスケール感の表現がイマイチだったり、あとは描写の問題で特殊能力がどことなくショボく感じるといったように、どうも僕は全体的にこの作家さんのセンスと合わないようです。
・あと、主人公の能力をエロ方面と絡ませる手法そのものは好きだけど、やっぱり少し自分の好みとズレてる感じが。なにが微妙なのか上手く言語化できないんですが、たぶん「自分の前で涙を見せた女は好きにしていいという美学を持っている」って設定が生理的に受け付けないんじゃないかなと思ったり。この美学(笑)が『SAO』のキリト君(笑)を彷彿とさせて、二つの作品に妙な繋がりを感じてしまうんだろうなー。キモイ。
続き買っちゃってるんだけど、失敗だったかもなあということで一つ。