人類は衰退しました 6 (ガガガ文庫) 価格:¥ 600(税込) 発売日:2011-02-18 |
読了。
6巻を一言で表すと、
悪趣味wwwwwwwwwww
もーね、コレに尽きますね。いや、面白かったですよ。
6巻はザックリ、「鳥人間コンテストの話」と「同人誌(漫画)の話」の二編が収録されているんですけど、毎度お馴染みとなった独特の世界観を活かし、独特の切り口で語られる物語には相変わらず読み応えがありました。
今回は、これまでチラチラと見え隠れしていた星新一のSFみたいな「読み終わったときにゾクリとくる感じ」は控え目で、どちらもコメディ色強めの話だったような気がします。ただ文章の端々から伝わってくる「毒」はたしかに田中ロミオの世界でした。
ひとつ目の「鳥人間コンテストの話」に関しては、まあ、(危険を顧みない)趣味人たちに付き合わされる裏方は大変よねーとしみじみ。
この手のイベントって、現代では放送局とガッチリ手を組んだうえでの企画として発案されることが多いから、ぶっちゃけ実際の危険度はさておき、人死にが出たら然るべき場所が慰謝料なり保険金なりを支払って、番組がポしゃればそれでハイ終了ってなもんですけど。
問題はこういう「バカが集まることが最初からわかっている」イベントじゃなくて、例えば登山みたいな「基本的に自由に行えるけど、命の危険が高い」ものの存在で、遭難した登山者を救助に行く人って嫌だろうなあと常々思ってたり。いやさー、自分が負うリスクや他人に迷惑かけることばかり意識していたら身動き取れなくなってしまいますが、それでも僕は、登山ってトップクラスの「他人に迷惑をかけるスポーツ(?)」だと思うのよね。そういう議論を飛び越えて、あんなものがスポーツの一種として認知とされている状況はちと異常じゃねーかなと思ったりも。
登山叩きみたいになってきたので強引に話を打ち切りますが、田中ロミオさんってホントこういう人の頭の中で常識になってることをチクチクと突くようなプロット作りが巧いです。相当捻くれてないと書けないよなあ、コレ。
ふたつ目の「同人誌(漫画)の話」も、その捻くれっぷりはいかんなく発揮されていて、シンプルな創作の流行り廃りのネタを自虐で味つけし、自虐が行きすぎて悪趣味な領域に突っ込んでるのに卑屈な印象を受けないのがスゴイ。帯に「アニメ企画進行中」って書いてあるだけに、作中で躊躇なく「アニメ化中止! ごめーん!」とかネタにされたらこっちとしては吹くしかないわ。
なにはともあれ、面白い一冊でありました。
あとがきで『Rewrite』の宣伝を忘れないあたりは抜け目ないですねということで一つ。
あーあ、田中ロミオ単独シナリオだったら予約して買ったのになー。