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サブカルとサッカーの話題っぽい

【漫画】うららちゃんのナカの人 1

2011-02-15 | 漫画
うららちゃんのナカの人(1) (アクションコミックス) うららちゃんのナカの人(1) (アクションコミックス)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2011-02-12

 実は某天野こずえさんの『向日葵』と一緒に買ったんですけど、『向日葵』が(描かれた時代を差し引いても)微妙な出来だった代わりに、こっちの漫画がやたら面白かった件。マイナス分を取り返して完全にプラスになったよー(^p^)ノ
 ちゅうか天野さんの作品は『あまんちゅ』が個人的にあまり好みでなくてなあ……。理由としては、僕がダイビングに興味がないというのが一番大きそうですが、なんかアレは天野さん自身が『ARIA』を意識しすぎている感じがしてしまってなー。
 『ARIA』はもちろん、『浪漫倶楽部』や『クレセントノイズ』は好きなんですけど、『あまんちゅ』はなんつーか狙いすぎ? だよね? ぶっちゃけ、『ARIA』の「癒やし系」って評価はあとからついてきたものだったけど、『あまんちゅ』は最初からそういうのを意識してるっぽいのがダメなんだろうなー。あざといのはちょっと。

 閑話休題。

 で、本題の『うららちゃんのナカの人』なんですが、ザックリとジャンル分けすると一部で根強いファンのいるTSモノってやつに含まれる作品ですね。TSってのは「トランス・セクシャル」の略で、ようするに「俺がお前でお前が俺で」状態になっちゃうような作品が代表例の、異性同士が精神だけ入れ替わるとか、身体が異性のものになってしまう系統のモノを指します。
 ちなみに『うららちゃんのナカの人』は、同人活動で食いつないでいるニート(でも一応家に生活費入れる程度には働いてるから厳密にはニートではないよなw)の精神が、隣に住んでいる幼なじみの女子高生の身体に憑依してしまうという内容で、一つの女の身体を男女二つの意識で共有するというお話。
 ただまあ、上でTSモノと紹介しておいてアレなんですが、この漫画はべつにTSモノとして面白いわけではないと思います。いわゆる「女の子の身体に入っちゃった! ドキドキ!」とか「男の身体なんてどうしたらいいのかわからないよぉ~!」的な展開は全く訪れず、なんか二つの精神がお互いの生活の妥協点を見つけていく、みたいな、変な言い方ですけど、すごく真っ当な精神同居モノというか、そんな感じで。
 このへんは、男側の貴春がガチヲタすぎて三次元に興味なかったり(そういえば『神のみ』の桂馬でも似たような感じだった)、女側のうららが物わかりのいい性格だったりと、精神入れ替わりネタで起こるテンプレトラブルを、敢えて最小限まで省いてるっぽいですね。普通この手の話だと、そういうテンプレこそが楽しいので、それを省いてしまうと楽しさ半減になってしまうんですけど、この漫画は不思議とそういうことがありません。逆にテンポがよくなって、読みやすく感じるくらい。
 んで、テンプレネタを省いたことによって薄くなかった中身をどのように補完しているかっつーと、……どうやってるんだろう……。や、こう言っちゃなんですけど、それほど絵柄に魅力があるわけではないし、エロ要素も控え目だし、物語がどういう方向に進んでいこうとしているのか見えないし、ぶっちゃけ「ここがいい! ここが面白い!」って言い切れる部分が思い浮かばないんだよなあ。だけど、不思議とイイ。不思議と面白い。とりあえず、物語の方向性については、最終話の引きを見るに、全くオタクの知識がない子がなし崩し的にそっちの道に引きずりこまれる、みたいな形になりそうですが。
 やっぱ貴春とうららが見ていてストレスの溜まらないキャラってのが大きいのかもしれませんね。うららの家族だったり、貴春の妹の藍だったりは、けっこうやってることも言ってることも過激で、典型的な振り回しキャラなんですけど、主人公の二人が流されっぱなしにならずに自己を確立できてるってのは読者としては嬉しい要素だったり。
 気に入ったので続きもチェックしてみようと思います、ハイ。