RPG W(・∀・)RLD6 ―ろーぷれ・わーるど― (富士見ファンタジア文庫) 価格:¥ 651(税込) 発売日:2010-07-17 |
読了。
二巻ぶりに面白かったです。
もっともコレは作品が変わったのではなく、受取手である僕の意識が変わったのが大きくて、ぶっちゃけこの作品って既に初期のころ感じていた(この作品に求めていた)面白さはかなり薄まっているんですよね。具体的に言うと、ユーゴを主人公として中心に据え、味方も敵もすべてユーゴの引き立て役として配していたのが三巻までの『ろーぷれ・わーるど』だったんですが、四巻からはユーゴをリーダーとする集団をまとめてひとつの主人公格として動かしているというか、尊重している感じ。
で、僕は三巻までのノリが非常に好みだったので、四巻で少し戸惑い、五巻で作品から心が離れつつあったんですけど、六巻を読んでいたら「コレはまあ、コレでいいかな」と感じはじめました。振り返ってみれば、あまりにもリーダー然と振る舞おうとするユーゴは行きすぎていて痛々しかったですし、どのような展開を選ぶにせよ、どこかで軌道修正をして「普通の男子高校生」としての面も押し出していかなければならなかったと思うんですよね。そう考えると、作品の掴みをあんな風に「俺TUEE」として描いておいて詐欺くさいという気持ちがないわけではありませんが、徐々に仲間たちが頼れる存在として成長し、大きな責任をユーゴ一人に負わせるような歪な構造が薄れていく、という現在の展開は歓迎すべきなのかな、と。
それはそれとして、ヒロインたちのヒロインとしての魅力のなさはどうしようもないけどな!
以下雑感。
・いきなりエル視点ではじまってショウを持ち上げ始めたときは「うわー」と思ったけど、前述したように気持ちを切り替えたら気にならなくなった。きっと五巻を経てエルへの執着が薄れたからだろう。
・ちょうど『学園黙示録』のアニメが放映中ということでゾンビの集団が襲いかかってくるシーンはイメージしやすかった。タイミングの勝利だなあ。序盤は「倦怠期に陥った仲良しグループ」みたいな雰囲気で読んでて楽しくなかったけど、アーク登場からの怒濤の展開には引き込まれた。あまりシリアスにせず、適度なさじ加減で物語を進めるバランス感覚はやっぱり優れてるなー。
・イシュラとレヴィアの思考がヤバイ。明らかにヒロインのそれではないというか、イシュラがレヴィアに軽く失望したり、レヴィアがエルの腹を探ったりするあたりは、キャラクターの掘り下げかたとしては巧みだと思うんだけど、キャラクターの魅力を上乗せする方向に進んだかと言われると微妙だなあ。イシュラもレヴィアも「仲間」としては面白いんだけど、どうしても「ヒロイン」という感じがしないのは残念。エルはショウにべったりだし、マジでテコ入れしてくださいよ。次に出てくるヒロイン候補がラムダの相手役だったりしたらがっかりだなー。
・ところで、今回の終盤はこれまでになく「ザ・ご都合主義」という匂いが漂う展開だった。勢いに任せて読み進めることができたので、引っかかったわけではないんだけど、登場時まで存在を仄めかすことすらなかった強キャラのお陰で窮地を脱するってすごい力業だよなー。次巻は国盗り合戦になるみたいだし、ちょっとネタギレなんだろうか。でも楽しそうだからいいや。
ラノベはあれこれ考えたら負け。あるがままを受け容れよう。