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サブカルとサッカーの話題っぽい

【サッカー】ベスト4 その2

2010-07-08 | サッカー・ワールドカップ

◆ドイツ 0-1 スペイン ~ゲルマン魂の昇華は完成に至らず~

 「今日はスペインが勝ったのではなく、ドイツが負けたのです」
 ……というオシム爺ちゃんのコメントが全てを表しているなあ、という感じで。

 個人的な感想を最初に言わせて頂くなら、少し退屈な試合でした。いやー、フィニッシュワークに繋げられないポゼッションが巧みなチームがペースを握った試合って見所なくなるんだなあ。ここまで無類の強さを見せてきたドイツ相手に60%以上ポゼッションしていたスペインはたしかにすごいけど、なんだかあまり面白味に繋がらないすごさだったなと。
 ぶっちゃけ、ドイツは中盤がマズすぎ。ここまで大きな破綻を見せてこなかったシュバインシュタイガーとケディラのところで全くボールを収められず、配球もできないため、スペインに押しこまれっぱなし。これはダブルボランチの不調というより、両サイドがよくなかったのが原因ぽく見えました。累積で出場できなかったミュラーの不在が痛すぎましたし、その代わりに入った選手がリスクを負うことを怖がりすぎていて、両サイドが完全に死んでしまった状態。あれじゃあポゼッションで押し返すことは難しいでしょうし、攻撃がキレ味のないカウンター一辺倒になってしまうのも道理という感じです。
 逆にスペインはトーレスに代えてビジャをワントップに据え、ペドロをサイドに置いたことで、準々決勝までには見られなかった流麗なパス回しが見られるようになりましたね。ですけど、この形だとビジャがフィニッシャーではなくて、スペースメイクやポストワークで攻撃に絡むようになるので、ここまで五得点の得点能力を活かせないのは少し勿体ない感じ。そう考えるとワントップの難しさがよくわかるというか、本田はよくあんだけ自分でシュートに持ち込めたよなあと改めて感心しました。
 閑話休題。
 まあ正直、ドイツは交代のカードが最後のケディラを除き全てサイドの選手だったというのが、試合運びの難しさを表していたのではないかと思います。ココだけの話、ぼんやりと「ドイツが負けるとしたらこういう形なんだろうなあ」と思っていた通りの展開になってしまい少し残念でした。スペインはトーレス投入直後のビッグチャンスで追加点をあげていれば完璧でしたけど、あそこでプレイの選択を誤ってしまうあたりがペドロの若さ所以というか、オシム爺ちゃんに「スペインはエゴイストの集団」なんて言われてしまう原因なんでしょうね。

 というわけで、今大会の決勝はオランダvsスペイン。
 どちらが勝っても初優勝という興味深いカードになったのは喜ばしいです。
 スペインは予選に比べれば格段によくなってますが、やはりユーロを制したときのようなスゴ味は感じられず、チームとしての成熟度がワンランクツーランク落ちる印象なので、オランダがこれまでの数試合で見せたような前線からのプレスを仕掛けたら面白いことになりそうな気が。ドイツは受け身に回ってしまい、あそこまでポゼッションされるハメになりましたが、実際のところそれほど安定したパス回しとは思えませんでしたし、イニエスタやシャビも独力で打開するタイプの選手ではないので、そこまで恐れることはないと思うんだけどなあ。
 僕はオランダ優勝を希望するよ!


【サッカー】ベスト4 その1

2010-07-08 | サッカー・ワールドカップ

◆ウルグアイ 2-3 オランダ ~32年越しで吹きすさぶオレンジ旋風~

 前半はスコア的にも内容的にも互角の戦い。いかにもサッカーらしい、押しつ押されつの攻防でした。
 キックオフからペースを握ったのはオランダで、両サイドにワイドに広がるカイトとロッベンを基点に、ボール回しからのシンプルなクロスでチャンスを演出。結果から先に語ると、この「両サイドにワイドに広がる」形をオランダは90分続け、対するウルグアイもガチで守り続けました。正直これには驚いたというか、僕は直前の試合で延長PKまでもつれたウルグアイは体力的にキツイと思っていたので、もしオランダがこういう形で攻め続けたとしたら、後半の途中で守備が破綻すると見ていたんですよ。ところがウルグアイは90分持ってしまったわけで、これってよく考えるとトンデモナイことだよなと。
 あと、前半の最初こそウルグアイはボールの取りどころを掴み切れていない感じでしたが、失点してから追いつくまでは完全に試合の流れを掌握してましたね。つまりあれって、ボールの取りどころを掴み切れていないというより、チーム全体でボールの取りどころを探っていた感じなんだろうなあ。ちゅうかウルグアイはファンブロンクホルストのスーパーシュートでビハインドを負ったことで、前半の30分間は追いかける形になっていましたが、あの一点があろうがなかろうが前半の展開は変わらなかった気がします。オランダの「両サイドにワイドに広がる」形って一見合理的ですし、事実ハマってるときは相手に何もさせないことも可能なんですが、ウルグアイが両ボランチにターゲットを絞ってプレスかけはじめたら完全に前後が分断されてましたからね。いっやー、ホントウルグアイ試合運び巧すぎるわ。これには参った。
 しかしまあ、ペースを握られたら握られっぱなしにならないのが、このレベルの試合っちゅーわけで。前半途中から守備から攻撃への流れを分断されていたオランダは先に動き、ファンデルファールトを入れます。この交代が大的中。ファンデルファールトが前後の繋ぎ役をこなすことにより、窮屈そうにしていたスナイデルやファンペルシがボールを受けられるようになり、オランダが再びキックオフ直後の流れを取り戻すことに。逆にウルグアイはほとんどフォルラン絡みからしか攻撃の形を作れない厳しい展開。やっぱスアレスの出場停止は相当痛いようで、フォルランの孤軍奮闘が目立ちました。それでもなんとかしてくれそうなくらい、フォルランはキレキレだったんですけどね!
 後半も前半同様タイトな展開が続きますが、ファンデルファールトが加わって蘇ったオランダ攻撃陣が追加点。三点目のロッベンのヘディングは見事な流れから、オランダの矢野貴章ことカイト(何度言うんだコレ)のアシスト。ただ、二点目のスナイデルの勝ち越しゴールはちとオフサイドくさいシーンでした。前半もメイン、バック側両方の副審が揃ってオフサイドの判定を間違えてましたし、今大会は試合が進むにつれて副審のクオリティが落ちている気がしますね。やっぱレフェリーも疲労溜まってるんだろうなあ。
 このあとは、さすがに二点差がついたオランダがペースを乱されることもなく、ウルグアイは必死の反撃をしますがロスタイムに一点を返したところで試合終了。フォルランの交代は謎でしたが、怪我だったんですね。アブレウを加えてパワープレイを狙いながらも、足下で繋いで点を取ったあたりはいかにもウルグアイっぽい感じでしたけど、やっぱあれだけ攻撃の軸になっていた選手が抜けてしまうと追いつくまでには至りませんでしたね。

 何はともあれ、ピッチ上の選手の判断により攻守の天秤が激しく揺れ、そこに巧みなベンチワークが加わった好ゲームでした。ぶっちゃけJリーグだと45分間ペースが変わらない、なんてこともザラにあるんですが、ワールドカップクラスになると選手、チームの対応力が比べものにならないので、5分先の状況がまったく予想できないですね。
 果たしてオランダの相手はドイツになるのかスペインになるのか。
 どちらになっても面白くなりそうで楽しみ。レッドカードもらわないでくれよー。