外来魚ひとりがたり

滋賀県立大学近江楽座学生団体
滋賀県大生き物研究会の活動あれこれ

ブルーギル生体持ち出し事件@井の頭池

2012-03-09 19:24:56 | 雑談
こんにちは。技術担当者です。
先日2012年1月30日に、外来魚に関する事件が起きたので報告・紹介致します。

私どもの団体もお世話になっている、『生態工房』さんが活動されている東京都「井の頭池」にて起きた事件です。
事件について、生態工房さんのブログ記事から引用させていただきました。
少し長いですが、読んでみてください。


ブルーギルの生体を運搬か?居合わせた警察官は容疑者の言いなり


ブルーギル

▼都立井の頭恩賜公園(三鷹市)で、警察官の眼前で釣り人がブルーギルを運び出すという外来生物法違反事件がありました。

同園では都条例によって釣りや生物の採取が禁止されています。違反者は来園者や警備員からすぐに注意をされるので、比較的よくルールが守られています。今回の違反は、警備員の注意を無視したり、注意をした来園者に激しく毒づくという悪質な事例でした。
そして現場へ来た警察官は来園者の訴えを聞き届けず、違法行為を黙認するという、たいへん残念な結果になりました。

 警察官が必要になった時点において、警察官がその役割を果たさないというのは重大な問題です。現在、井の頭池で環境保全活動を行っている団体・機関が、今後の対策について協議しています。


以下に、事件の当日居合わせた方が事実関係の備忘録として作成したメモを掲載します。なお、本人の特定につながる情報を一部修正してあります。



------------ココカラ------------
<2012年1月30日 不法釣り人事件の覚え書き>

午後2時過ぎにひょうたん池を通行した折に、若者(男性)2名がひょうたん池及びボート池東端にて釣りをしている現場を見たため、ちょうどそこへ来た公園警備員に通報したところ、警備員は「やめるように2度言ったがやめなかった」とのことでした。

そこで、警備員に警察を呼ぶことを提案しましたが、警備員は直接呼びに行った方が早いとおっしゃるので、井の頭公園駅前交番へ警察官を呼びに行っていただきました。しばらくして小柄な年輩の警官1名が到着し、警備員は警官到着時に去りました。

警察官が到着したので私も安心して不法釣り人の近くに行きました。釣り道具は質素なもので、練り餌を持っていましたのでオオクチバス狙いではないようでした。
私は警察官とともに、「ここは釣り禁止ですよ」と注意しました。年長の釣り人は、「お前(私のこと)の言い方が気に食わねえよ。禁止だって分かってんよ。だから今やめようとしているじゃないか。それに、(バケツを指して)これは釣りで獲ったんじゃねえよ。タモ網で獲ったんだ」と主張しました。彼らはバケツにエアレーションをし、中には10匹近くの小魚がいました。そして、これはモツゴではなくてブルーギルだと主張しました。

そこで私は、まず獲った魚がモツゴかブルーギルかを確認させてほしいので、釣り人が持っているタモ網を貸してくれと言い、タモ網のほうに手を延ばすと、年長の釣り人はそれを断り、さらに「俺のものを窃盗しようとした! な、見ただろ、おまわりさん。あいつは俺のものを盗もうとした!」と騒ぎ立てるのでした。
そこで警察官は私に、バケツの魚を確認したければ公園案内所へ行ってタモ網を持ってくるように言いました。私は警察官に、「では、彼らを見張っていてくれるのですか?」と聞くと、釣り人は今度は「俺を逮捕しようとした。見張るってことは逮捕することじゃねえか!」とまた騒ぎ立てました。
警察官が彼らを見張っていてくれそうになかったため、私は近くにある掃除小屋に行ってタモ網を借りようとしましたが、残念ながらアミ目が大きすぎて小魚をすくうのには適しておらず、断念しました。

彼らのところへ戻り、警察官に外来生物法について説明し、「私たちはひょうたん池にモツゴの保護水域を作って守っています。外来生物法の詳しいことについては環境省のホームページを見てください」と言ったところ、また年長の釣り人は「そんなのは東京だけの法律だ」「今、お前はここは私の公園だと言っただろう。なんでお前の公園なんだ!」と、なんのかんのと騒ぎたてました。

どうやら警察官だけではらちが明きそうにないので、公園管理者の○○さんに電話をし、すぐにこちらに来てくださるよう要請しました。
そして年長の釣り人は、「こいつとは話したくない」と言って警察官を呼び寄せ、私から離れたところでひそひそと話し始めました。少し聞こえた内容は「あいつらは外来魚を釣りをさせないから、モツゴとかが減っている。あいつらが自分で減らしているようなもんだ」「自分たちはブルーギルを石神井公園で獲ってきた」というものでした。

その間、年下の釣り人が片づけを進め、帰る支度が整い、彼らは帰ろうとしました。ちょうどそこへ先ほどの警備員が通りかかったので呼び止めてきてもらいました。年長の釣り人は警備員に「お前はどこの警備会社だ?○○か?・・・じゃあ○○の所属か?」などと「警備員」というものに慣れているような質問をしていました。

いよいよ釣り人は、彼らの主張する「ブルーギル」を持って立ち去ろうとしました。私は警察官に「池で獲った物を持ち出すことはいけないので、止めてください」と言うと、警察官は「池で獲ったという証拠はない」と言いました。私はさらに、「どこで獲ったにせよ、ブルーギルを生きたまま運ぶことも法律に違反しているのですから止めてください」と言いましたが、警察官は何もしてくれませんでした。また、私は警備員にも「止めてください」と頼みましたが、首を横に振るばかりでした。
そして、彼らは小魚を入れたバケツを持って吉祥寺方面へ悠々と立ち去りました。

そこへ公園管理者の○○さん、○○さん、もう一名の職員が到着しました。公園管理者の人たちは警察官に、園内で獲ったものは持ち帰ってはいけないことを説明し、具体的にどのような処置をしたら良いかなどについて話し合いました。しばらく話をして公園管理者の人たちと警備員は帰りました。

------------ココマデ------------

注:井の頭池の一部の「ひょうたん池」には、オオクチバスなどの外来魚からモツゴ、トウヨシノボリなどの在来魚を守るために、緊急避難的に囲いが設置されています。
この事業は東京都などの行政機関と地域団体が協力して取り組んでいます。

注2:生きたブルーギルの運搬は、外来生物法違反により懲役1年以下/100万円以下の罰金、
野外に放つことは懲役3年以下/300万円以下の罰金が科されます。




こうした外来魚問題は案外身近なものです。
オオクチバスやブルーギルは釣りの対象魚として有名で多くの人がいわゆるバス釣りをしています。
釣りをする際には、マナー(例えば...滋賀県では釣ったオオクチバスはリリースしない、漁師の網や調査中の器具を破壊しない、釣り禁止エリアでは釣りをしない、など)を守って思い切り、楽しく釣りをしましょう