これは面白い本に逢えたな、と感謝できる本です。
ビジネス書、資格試験の本、勉強本、これらは、毎年何冊、何10冊と読んでいて、アンテナが立つ本です。
これとは対照的に、歴史の本には、うとい。でも、久しぶりうに歴史関連の本を読みたいな、と思って、図書館で出会った本です。
対談の本なのですが、宮部みゆきさんと半藤一利さんが対談をしながら、 昭和の10大事件を選んでいくという内容です。
この、宮部みゆきと半藤一利という組み合わせが、とても素晴らしく、歴史小説を読んでいるような人の心理的な側面や人間性についての深い洞察がありつつ、ジャーナリストによるリアルで鋭い切り口の時代背景の説明があります。
半藤一利は編集長まで勤められた編集者で、ジャーナリスト。「歴史探偵」として、たくさんの歴史書を書かれています。また、 昭和5年生まれで、昭和時代のほとんどを自ら体験している証言者です。リアルに体験しているからこその、10大事件のチョイスで、その経験を面白く聞かせてくれます。
宮部みゆきは、推理小説の人気作家です。226事件を背景にした「蒲生邸事件」のような歴史的な背景の本も多数、書かれています。宮部みゆきさんが選ぶのは、推理小説になりそうな10大事件。人に注目、事件に登場するいろんな立場の人の視点から、事件を考ええ、コメントされています。
このお二人、それぞれ10大事件を選んだ上で、対談の結果2人ともが10大事件と認めるものを、紹介しています。
この本で、特にこれまで全然知らなかった背景、側面、事実を知らされたのが、
・226事件
・東京裁判
・大政翼賛会
です。
226事件の天皇への第一報を誰が行ったかで、流れが決まったこと。
東京裁判のもともとの目的と、結論の違い。
大政翼賛会の本当の目的と、それが残したもの、戦争への影響は。
これらは、当時の時代を経験していた歴史の証言者でジャーナリストの半藤さん、そして、 人に注目して歴史を研究している宮部さんの視点があるからこその気づきです。
実際に歴史を生きた人間として、その時に感じたこと、ショックを受けたことを根拠に選ばれている 10大事件も非常に興味深かったです。
・ヘルシンキ・オリンピック参加
・「ゴジラ」上映
・宮崎勤事件
歴史の専門家が教科書的に書いたものではなく、昭和を生きたジャーナリスト、小説家が選ぶ10大事件。
こういう面白い本に会えることがあるから、図書館に行くのも楽しいんですよね。
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