『誠にもうしあげにくいことなのですが・・』医師の口が重く開いた。『お嬢さんは愛情が欲しいのではないでしょうか・・』長女と話した内容や表情などから医師が読み取ったのであろうか・・『お嬢さんは寂しがっていますので、よくお話をされてください。入院は受付いたしませんので今日はこれまでとしましょう。』診察室を出ると長椅子に受付の事務員・看護師と長女が並んで座っていた。『もう、落ち着かれたみたいですよ。』看護師が笑顔で言う言葉に少し”ホツ”とした。妻が長女の腕をとり『お姉ちゃん・・帰ろう・・』そのあとを私と次女がついていった。車に乗り込み、あの細く暗い道を走り幹線道路に出たときは車が1台も走ってなく、静まり帰っている。来るときに見たコンビニが異様に明るく道路を照らしていた。『お腹へった。』ボソツと次女が言う。『コンビニで何か買って行こうか?』妻の言葉だけが車内にコダマした。私は黙ってコンビニの駐車場に車を停車させた。