山本印店

朝刊をぱらりとめくっていたら、新刊本の広告に目がホッチキスづけになった。
不思議なハンコ屋、山本印店物語。あーっ、これってあの三宿の偏屈じじいのハンコ屋だ。
もうかれこれ２０年以上前、十姉妹ちゃんが開運ハンコの話をしてくれた。それが
山本印店だった。実印、銀行印、認め印、なにしろデザインがかわいい。そこで猫社長も
さっそく制作してもらった。山本印店についての細かなことはネットにいろいろ乗って
いるのであえて書かないけど、皆運気が好転するというのはどうだろう。
別に宣伝したわけじゃないけど猫社長の話にのせられて少なくとも１０人は山本印店でハンコを
作ちゃった。猫社長はその気になれば結構優秀なセールスマンなのだった。
ところがそれぞれのその後といえば、直後結婚したチワワちゃんが、名字が変わっちゃったから
使えなくなったとこぼすし、　いいじゃねーか幸せつかんだんだからさー。
その他の人でも今のところそんなにぱっとしている人がいない。もしかして好転しなかった少数派か。
ビルが建った。仕事がうまくいった。宇宙飛行士になれた。仙人になれた。とかうまくいった人の
言葉だけが世間で一人歩きをしているのかもしれない。
肝心の猫社長はどうだったって？もちワーキングプアーの猫大臣ここにあり。

思い出、郷愁

思い出深い場所、それは猫社長にとって幼稚園小学校を過ごしたすこやか村だ。この時代は脳みそが一番
活発に働いていた。学校、道、友達、お店のおばちゃん、夏休みのラジオ体操、雑木林へ取りに行った
カブトムシ、真冬には霜柱を踏みしめながら学校へ通ったさまざまな思い出が鮮明に残っている。
テレビゲームも携帯もなくて遊びはいつも屋外、本当によく遊んだ。
電車で１時間もかからないところだけど引っ越しで一度去ると以外に行かなくなってしまうものだ。
そんなすこやか村にある日突然思い立って訪ねてみることにした。これって郷愁かな。
すこやか駅に着き、駅ビルの回廊からあたりを見渡すとすこやか村はあまりにも変わっていた。
当時のままあるのは銀行と本屋だけ、もちろん建物は新しくなっていて当時の面影はない。
それでもなんとか当時の記憶をたよりに昔住んでいた団地の入り口にたどり着くことができた。
団地は建て直されて高層住宅になっていた。歩道には若い母親と子供連れが何組も歩いていた。
建物が新しくなって住人も新しくなっていた。
ため息混じりに見上げれば五月晴れの空がビルとビルの合間からがっかりしなさんなと声をかけてくれた。
そうだよねえ、昭和３０年代に建てられた古い建築物だもんねえ。
しばらく爽やかな風に吹かれ気を取り直して小学校に行くことにした。だがここからどっちの方向へ
いけばいいのかさっぱりわからない。古い道路が無くなって新しい道路ができていたからだ。
そこで通りかかった一人のおばあさんに声をかけた。
「あらー、猫社長ちゃんじゃないの」偶然にも以前隣の棟に住んでいたカワウソさんだった。
建て直し後もこの場所に住み続けていたらしい。すると高層住宅のあちらこちらのベランダから
次々に声をかけられた。アナグマさん、キツツキさん、トトロンさん、トンビさん、
「おーや、猫社長ちゃん、久しぶりだねえ、婆ネコさんはお元気？」
猫社長が去った後もずーっと住み続けていた人々が手を振ってくれていた。みんなすっかり
おじいさん、あばあさんになっていた。
幼なじみだったアシカちゃんのお父さんが５階のベランダから傘をパラシュートにして
猫社長の側まで風に乗ってふわふわ降りてきた。
「大丈夫ですか、そんな無茶なことして」
「平気平気、ここにはワシの魂が住んでいるだけじゃから」
ふと気づくと、手を振ってくれていた人たちがいなくなっていた。
何となく胸が熱くなった。
その後訪ねて行った小学校は当時のままだった。新しい子供たちを除いては。。。

字幕スーパーが読めないって？？？

映画の字幕を短くする。今時の若い子は字幕を読み切れず尻切れトンボになってしまうらしい。
彼女は悪い人じゃないけど、家庭的じゃない　が　主婦に向いてない　に
美しい季節だなあ、汗をかくって気持ちいいよな、風鈴買おうか　が　初夏だ、風鈴だ　に
明日朝一で羽田から北京に行き、金の受け渡しをする。そこでお前が柱の影からビデオを撮るんだ。
物を渡したらいっせいに突撃だ。いいな一秒の狂いも許されないぞ。　　が
北京でビデオで突撃だ。まちがえるな　になる　かも。
麻雀は３人がプロでも一人が初心者だと初心者のペースとなる。猫社長は麻雀がうまくなりたかった。
でも麻雀のできる友達３人が小さな頃から家庭麻雀で腕を磨いていた人たちで、たまたまその中で
遊んでもらったら、下手すぎて感覚がおかしくなると二度と呼んでもらえなかった。
自分は字幕読みのプロじゃないけど字幕読みがうまくできない人に合わせた字幕なんてやなこった。
最近は吹き替えの映画もある。テレビやレンタルDVDでならまあわかるけど、大画面で日本語を話す
アンジェリーナ・ジョリーなんてみたくない。
字幕は読むのじゃなくて一瞬にして頭のなかに取り込んでぱっぱと言語にして映像と
シンクロするものなのだ。　

ビデオよビデオ

ビデオの録画を失敗した。いつものことだけど、単なる凡ミス。ビデオを巻き戻していなかった。
これってパソコンにデータを入れて保存できなかったことと似ている。ダイアログで保存しますかと親切に
言ってくれているのにいいえでアプリケーションを終了してしまった時だ。どちらもがっくりくる。
自分の不注意なので怒りの矛先を他へ向けられない。１００億長者ならビデオを切り刻み、パソコンは
窓から放り投げるのかな。いえいえ１００億長者様は執事くんがみんなやってくれるのだ。
来るべき悪の帝国地デジになったらビデオともお別れになる。そうなったら後はハードディスクかブルーレイ。
後期高齢者保険でこれだけ大騒ぎになっているんだから、２０１１年津波と大地震とハリケーンが一緒にきた
くらい騒然となるぞ。もっと先延ばししろ。猫社長のアナログテレビもビデオもあと１０年はばりばり
使えそうだ。テレビの画面に鮮明や美しさなんてまったく求めていない。どんなにがんばっても
肉眼でみることにかなうわけないんだから。

ティーカッププードルと手のり柴

小さなペットショップの入り口に ティーカッププードルと張り紙が貼ってあった。最初ティーカップヌードルと
読んでしまった。このペットショップはラーメンを出しているのかと目をこらすとプードルだった。
なぬ！トイプードルよりまだチビがいるのか。ポケットモンキーのように肩にかけて散歩するのか。
一体全体どれだけ小さい者なのかネットで検索してみることにした。するとこのようなことがでていた。
この数年、「ティーカッププードル」という犬種が話題です。
当サイトでもお問い合わせが多いのですが、実はこの「ティーカッププードル」という犬種は、この世に存在
しないのです。犬の血統書を発行する機関、ジャパンケネルクラブで認めているプードルはスタンダード、
ミニチュア、トイの３種のみです。 では、なぜ存在しない犬種名がここまで広まっているのでしょうか？
流行で小さい子を要望される方が多いため、小振りな子犬は価格が上昇します。
なぜ価格が上がるかといえば「その価格でも買う」という人がいるからに過ぎません。
「ティーカッププードル」と名づけて販売している悪徳業者は小さいトイプードル（時には内臓疾患等を持った
未熟児を）を、勝手にそう呼んで高値で販売します。
ぞっとした。犬はブローチやブレスレットじゃない、鍋ネコじゃあるまいにティーカップって名前も取って付けた
ようにへんてこだ。このままでいくとそのうちこんな名前の動物たちが誕生するかもしれない。
手のり柴犬、ゆびさきチワワ、ごまねずみ、パイナップルチーター、トカゲアリゲーター、
冷蔵庫シロクマ、水槽くじら。猫社長は耳の穴を巣にしてミクロふくろうを飼いたい。