縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

今風“ジェームス・ボンド”募集

2006-04-27 23:59:00 | 海外で今
 MI6をご存知だろうか。あの007ことジェームス・ボンドの所属する組織、イギリスの情報局秘密情報部である。かつてはその存在すら否定されていたMI6であるが、今日の新聞、タイムズに1909年の創設以来初めて求人広告を出した。国際テロの高まりを受けた人員増強の必要性から、多様な人材を確保すべく新聞での広告を行ったのである。もっともMI6は昨年からWEBでの人材募集を行っており、そこから一歩踏み込んだ形での今回の新聞広告である。

 従来MI6は属人的というか、個人的ルートでリクルート活動を行っていた。信頼の置ける人物を通じて一流大学の才能ある若者をスカウトしてきたのである。更に手の込んだことに、当初はMI6の募集であることを伏せ、数回の面接を行い見込みがあると判断した者に対してのみ正体を明かしていたという。それが昨年のWEBや今回の新聞広告では初めからMI6とわかる形で募集を行っている。

 これには環境の大きな変化がある。冷戦の終結と新たな対立構造の出現である。1989年の冷戦終結以降、米ソを軸とした国際関係からアメリカを唯一のスーパーパワーとする体制へと変化した。007でもジェームス・ボンドの戦う相手がソビエトから犯罪組織などに変わった。又、ジョン・ル・カレに代表されるスパイ小説も大きな方向転換を迫られた。それは一瞬にしてリアリティを失い、大学紛争やグループサウンズの流行と同じような過去の出来事になってしまった。

 もちろん国と国との利害関係の対立がなくなったわけではなく、スパイ行為自体が消えたのではない。先の上海領事館員自殺事件を見てもそれは明らかだ。一方でインターネットの浸透もあり、言葉さえわかれば、スパイにとってはやりやすい世の中になったともいえる。
 こうした中、MI6の主要なターゲットは国際テロ組織となり、爆破、誘拐、サイバーテロ、更には細菌や核によるテロへの対応が必要になってきた。このためアラビア語を始めとする語学に長けた者や、パソコンのスキルを持った者まで求められている。プレイボーイのボンドのイメージとは程遠い。また自薦で応募できるようになり、国の役に立ちたいというイスラム系住民の応募も増えているそうだ。確かに広く人材を公募しない限り、こうした人材は集まらない。

 が、これは両刃の剣でもある。従来の一本釣り的なリクルーティングから公募になると、テロ組織などが人を送り込み易くなってしまう。MI6の内部で壮烈なスパイ同士の争いが繰り広げられるときが来はしないか心配だ。
 でも、そうなるとスパイ小説が再び復活する??

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