エリザベス女王に敬意を表し、今日もイギリスの話。
“大英帝国勲章”という勲章がある。エリザベス女王のおじいさん、ジョージ5世の作った勲章である。イギリスの数ある勲章の中で歴史は浅いが、一般市民も含め広く与えられることから、今ではもっともポピュラーな勲章になっている。
勲章のモットーは「神と帝国のために」。ランクは5つあり、上から順に、ナイト・グランドクロス(GBE)、ナイト・コマンダー(KBE)、コマンダー(CBE)、オフィサー(OBE)、メンバー(MBE)、である。上から二つまではサーの称号が与えられる。ファースト・ネームの前にサーをつけて呼ばれるのである。
この勲章は、政治家、役人、軍人に加え、経済人、文化人や俳優等の芸能人、スポーツ選手なども対象になっている。例えばロックの世界では、ブライアン・メイ(クィーン)、ジミー・ペイジなどが授章しているし、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ミック・ジャガーに至ってはサーの称号まで与えられている。
が、しかし、ロック歌手が初めて授章した際は、一番下のMBEであったにも拘わらず、えらい騒ぎになったそうである。それは1965年、ビートルズの授章である。
この授章の理由がふるっている。ビートルズは、イギリス経済が低迷する中、レコード、映画等を通じ外貨獲得に貢献した、というのがその理由である。
理由はともかく、このビートルズの授章に対し、ロック歌手ごときに、ティーン・エージャーに支持されているだけの長髪の汚い若者に、それも労働者階級・下層階級出身の若者にMBEを与えるとは何事か、といった反論が湧き上がったのである。ビートルズが同じクラスに序せられることを不満とし、勲章を返上する者も相次いだそうである。
さすが階級社会イギリス。日本人にはちょっと理解できない所がある。まあ、何はともあれ、ビートルズは音楽だけでなく、勲章についてもロック界の先鞭をつけたのである。
ビートルズの授章の話にはまだ続きがある。1969年、ジョン・レノンはエリザベス女王から受け取ったこのMBEを返上した。イギリス政府のビアフラへの介入とベトナム戦争支持に抗議したものである。
ビアフラは今ではほとんど忘れられているが(僕もジョンのこの話を聞いて初めて知ったのだが)、ナイジェリアの内戦、部族間の対立で、150万人とも200万人ともいわれる人が餓死した悲劇だ。ジョン・レノンはこの辺りから政治への関心を深めて行ったのであろう。来週はジョン・レノンのことを書きたい。
“大英帝国勲章”という勲章がある。エリザベス女王のおじいさん、ジョージ5世の作った勲章である。イギリスの数ある勲章の中で歴史は浅いが、一般市民も含め広く与えられることから、今ではもっともポピュラーな勲章になっている。
勲章のモットーは「神と帝国のために」。ランクは5つあり、上から順に、ナイト・グランドクロス(GBE)、ナイト・コマンダー(KBE)、コマンダー(CBE)、オフィサー(OBE)、メンバー(MBE)、である。上から二つまではサーの称号が与えられる。ファースト・ネームの前にサーをつけて呼ばれるのである。
この勲章は、政治家、役人、軍人に加え、経済人、文化人や俳優等の芸能人、スポーツ選手なども対象になっている。例えばロックの世界では、ブライアン・メイ(クィーン)、ジミー・ペイジなどが授章しているし、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ミック・ジャガーに至ってはサーの称号まで与えられている。
が、しかし、ロック歌手が初めて授章した際は、一番下のMBEであったにも拘わらず、えらい騒ぎになったそうである。それは1965年、ビートルズの授章である。
この授章の理由がふるっている。ビートルズは、イギリス経済が低迷する中、レコード、映画等を通じ外貨獲得に貢献した、というのがその理由である。
理由はともかく、このビートルズの授章に対し、ロック歌手ごときに、ティーン・エージャーに支持されているだけの長髪の汚い若者に、それも労働者階級・下層階級出身の若者にMBEを与えるとは何事か、といった反論が湧き上がったのである。ビートルズが同じクラスに序せられることを不満とし、勲章を返上する者も相次いだそうである。
さすが階級社会イギリス。日本人にはちょっと理解できない所がある。まあ、何はともあれ、ビートルズは音楽だけでなく、勲章についてもロック界の先鞭をつけたのである。
ビートルズの授章の話にはまだ続きがある。1969年、ジョン・レノンはエリザベス女王から受け取ったこのMBEを返上した。イギリス政府のビアフラへの介入とベトナム戦争支持に抗議したものである。
ビアフラは今ではほとんど忘れられているが(僕もジョンのこの話を聞いて初めて知ったのだが)、ナイジェリアの内戦、部族間の対立で、150万人とも200万人ともいわれる人が餓死した悲劇だ。ジョン・レノンはこの辺りから政治への関心を深めて行ったのであろう。来週はジョン・レノンのことを書きたい。