縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

自費出版の夢、崩れる

2006-04-22 23:39:00 | お金の話
 自費出版がブームのようだ。背景として大きく二つの要因がある。一つはブログの普及により自らの文章を公表する人が増え、潜在的な出版ニーズが拡大していること、もう一つは団塊世代が定年を迎えつつあること、である。自分の人生を記録に残したいと思う人は多い。
 が、こんな自費出版ブームに水を差す出来事が最近あった。自費出版専門会社、碧天舎(へきてんしゃ)の倒産である。同社は負債総額約8億6千万円を抱えて破産した。

 ところで、この“自費”出版、どこからどこまでが自費で、どこまでが出版社の負担なのかが曖昧である。単に出版社が印刷・製本等を行い、作者が出来た本を全て引き取るのであればわかりやすい。費用は「実費+出版社の利益」だからである。
 だが、出版社が本の編集に係わる、流通に乗せて販売を行う、宣伝を行う、ということになると、一気にわかりにくくなってしまう。出版社が自らのリスクで行う部分があるのかもしれず、両者の負担割合や責任が明示されない限り、“自費”の範囲はまったくわからない。素人にしてみると、言い値でお願いするしかないのである。

 碧天舎が破産した理由はわからない。もしかすると、同社は極めて良心的な会社で販売費は勿論出版費用の一部を負担していたのに本が売れず経営に行き詰ったのかもしれないし、あるいは出版費用ないしそれ以上の資金を作者から集めたにも拘わらず放漫経営で行き詰ったのかもしれない。その辺の詳しい事情はわからない。
 ただ新聞記事(4月12日付読売新聞)によると、同社に本の出版を申し込んだ人の中には、お金を支払ったのに本の出版されない人が250人近くいるらしい。会社を見る目がなかったと言えばそれまでだが、なけなしのお金をつぎ込んだ人、借金してまで費用を支払った人、長年の夢が台無しになった人などがいて本当に可哀そうである。破産の場合、こうした通常の取引の債権を回収するのは難しいので、彼らはほとんどお金を取り戻すことはできないだろう。

 しかし、何より私が驚いたのは、その金額である。本のページ数や部数はわからないが、一人150万円程度支払っているようだ。私もブログがたまったら本にしようかなとか思っていたのだが、この金額を聞いて甘い考えは吹き飛んでしまった。
 もっとも夢がそれで買えると思えば安いものかもしれないし(車を買うのと同じ感覚か)、それが自費出版の増加に繋がっているのだろう。何事も業者選びは慎重にしないといけないということか。
 一方、販売目的で出版しようという人は、冷静かつ客観的に費用対効果を考えた方が良い。これを世に出さないのは惜しい、絶対に売れる、とかいった出版者の言葉に騙されることなく、そこまでの金額を支払って元が取れるのかをしっかり考えるべきだ。大方の場合、答えはノーだ。出版者が見てそれだけの価値があると思えば、自費出版ではなく初めから会社側の負担で本を出したいと言って来るだろう。

 などと今は言っているが、実際に人から作品を褒められると、その気になってしまうのかな。もし、このブログが本になりました、とかいうのを見たら、騙されたんだ、馬鹿なやつだな、と笑ってやってください。

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