縁側でちょっと一杯 in 別府

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共に生きる社会 ~ 在日コリアンを巡る問題

2010-12-07 21:22:52 | 最近思うこと
 今年は日韓併合100年にあたる。そのため僕の勤める会社の今年度の人権啓発のテーマは“在日コリアン”。先日、会社で在日の方の講演があった。

 講演を聴いて感じた、いや痛感したのは、自分って何も知らないんだな、ということ。僕は北海道の出身ということもあり、在日や同和の問題について頭ではわかっていても、正直、身近な問題として考えたことはない。東京に出てきて30年近くになるが、差別の問題に直面することもなかった。
 しかし、これは、自分は差別をしていないのだから関係ないと言って済む話なのだろうか。遠い外国の話ではなく、日本の話である。差別の生まれた理由や背景について考えたことがあるか、在日の人の生の声を聞いたことがあるか等、今回改めて考えさせられた。

 講師はNPO法人 多民族共生人権教育センターの李美葉(い みよぷ)氏。仰々しい名前の団体であるが、氏は正真正銘(?)の“関西のおばちゃん”である。本人曰く、在日2.5世。関西のおばちゃんだけあって口、もとい日本語は極めて達者であるが、韓国語はまったく話せないそうだ。

 講演で特に印象に残っているのは、国籍の問題と、名前についての話である。

 まずは国籍について。
 はじめに在日コリアン、つまり在日韓国・朝鮮人についておさらいしよう。日本に在留する韓国籍・朝鮮籍の人で、主に戦前・戦中より日本に定住していた人およびその子孫を在日コリアンという。韓国籍というのは大韓民国籍。では、朝鮮籍は北朝鮮籍かというと、そうではない。あくまで“朝鮮”籍なのである。僕も今回話を聞くまで知らなかった。韓国併合により朝鮮という国はなくなっていたが、戦後日本に住んでいた朝鮮人は皆 朝鮮籍とされたのである。国というよりは、出身地表記としての符号に近い。
 そして、1965年の日韓基本条約締結により大韓民国との国交が正常化した後、韓国籍を取得する人が増え、在日韓国人という言い方も一般的になってきた。
 一方、韓国籍を取らず朝鮮籍のままという人が、全員北朝鮮シンパというのでもない。勿論、中には共産主義を信奉する北朝鮮シンパの人もいて、(日本は認めていない)北朝鮮籍を持っている人もいる。が、単に、自分は大韓民国など知らない・住んだこともなければ見たこともないといった理由で朝鮮籍のままの人も多いのである。また、日本に帰化した人も多い。
 と、なかなか一口に在日といっても複雑である。そのため、最近は“在日コリアン”という呼称が好んで使われているようだ。

 次に名前。
 実は、芸能人やスポーツ選手には在日コリアンが多い。が、ほとんどが通名、つまり日本式の名前を使っている。何も芸能人に限ったことではない。本名で暮らす在日コリアンは、全体の1割程度とも言われている。
 では、朝鮮と同じく日本の植民地だった台湾の場合はどうだろう。在日台湾人、例えば、陳舜臣、蓮舫、王貞治(父が中華民国籍)など、台湾の名前を使っている人が多いように思う。この差はどこから来るのだろう。
 在日台湾人の数が少なかったこと、いにしえの中国(注:中華人民共和国ではない)への敬愛、台湾が共産主義と対峙する同志であること、等が理由として思い浮かぶが、本当のところはわからない。

 こうした中、講師の李氏は通名ではなく、朝鮮の名前を名乗っていらっしゃる。よく、民族としての誇り・アイデンティティですね、と言われるらしい。が、氏はそれを否定する。「だって、これが自分の名前だもの。民族としての誇りとか、そんな大それた思いからじゃない。ただ、あたりまえのことをしているだけ。」

 日本人であろうとなかろうと、自分の名前を名乗る、そんなあたりまえのことが、あたりまえにできる社会に早くなって欲しいと思う。


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