縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

SP盤の想い出

2006-02-24 22:25:30 | 芸術をひとかけら
ここ5年、読売日響の年間会員になっており、ほぼ月1のペースでコンサートに行っている。
恥ずかしながら、僕はコンサートでよく寝る。単に疲れていることもあれば、初めて聴く曲でよくわからずに寝てしまうことも多い。以前そんな話をスナックでしたところ、マスターが「それで良いんです。それが最高ですよ。」と言った。

マスターは続ける。
「いいですか、CDは人に聴こえない音を上下とも切っています。でも、それはおかしい。人は耳だけで聴いているんじゃない。体で、体全部で音を聴き、感じているんです。だからCDは無味乾燥というか冷たい音がする。これに対し、レコード、更には生の演奏はやさしく、心の落ち着く音です。まったく違います。演奏会で、体全体で音楽を楽しみ、心が安らぎ、そして眠ってしまう。それは至極自然なことだし、最高の贅沢です。」

 この店はマスターが半ば道楽でやっているような店だった。音へのこだわりが凄い。真空管のアンプを使い、時々鉄針でSP盤を掛けたりもしていた。雑音がひどいが、確かに暖かな音だった気がする。デジタルな世の中への、アナログ世代の抵抗、あるいは郷愁の感じられる店だった。

 事情があって、この店にはもう15年近く行っていない。先日、京橋に行った折、時間があったので、まだやっているかなと思い、探してみた。が、もう店はなかった。時の流れは容赦がない。表通りから路地を入ったこの店の辺りは以前は少し淋しかったが、今では小奇麗な店が増えている。
 もうコンサートでは絶対寝ないぞ、僕は負けないぞ、と思った。

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